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さて、「かみぽこ政治学」です。
さすがに驚きましたね。 そして、民主党に対しては 失望することが多いながらも 政権交代のある 議会制民主主義の実現による 日本政治の成熟化を 願ってきた者として 今回は、ちょっと衝撃でした。 まあしかし、これまで 「衆参ねじれ国会」における 与野党の攻防を 左に民主党、右に自民党を 置くモデルで その間に流れる「政治力学」で 説明してきたわけですから、 今回も、淡々と同じモデルで 説明したいと思う。 情報はいろいろ錯綜してるけど あえて、できるだけ シャットアウトして いつものように、ロジックだけで 勝負したいなと思います。 日本で発信する 「かみぽこ政治学」の 第一弾でもあるからね。 まずもって言えることは、 今回の「小沢辞表提出劇」は 「安倍辞任劇の裏返し」 ともいうべき、 「政治力学」の作用が もたらしたということ。 このエントリーで書いた (2007年9月13日 「狂気の首相」遂に自爆す。(中編)) 「安倍自爆」をもたらした 政治力学の作用を 少しおさらいしてみよう。 まず、民主党を左側に 自民党を右側に置いた時、 「衆参ねじれ現象」の下では、 与党である自民党のほうが 政策実現のプレッシャーを より強く受けるため、 自民党のほうが 政策協議を求めて 民主党のほうに どんどん寄っていくことになる。 そして、それを自民党のリーダーが 無理やりにでも止めようとしても 民主党が左側で固まっている限り 止めることができないだけでなく、 リーダーも吹き飛ばされてしまう。 具体的には、安倍内閣総辞職の時 民主党と調整に走る 閣僚たちを止めようと 「テロ特措法延長は国際公約」 と言い放ち、 小沢さんに党首会談を求めた。 ところが、小沢さんが それに応じず 万策尽きたと感じた 安倍さんは自爆した。 今回の「小沢辞表提出劇」は、 これの裏返しみたいな感じに 「政治力学」が働いたといえる。 これも同じように、 民主党を左側に、 自民党を右側に置く。 この臨時国会、 民主党は左側で がっちりと固まって、 一歩も動こうとはしなかった。 逆に、自民党のほうは、 福田首相の話し合い路線もあり、 年金でもテロ特でも、 閣僚は民主党のほうに 話し合いを求めて どんどん寄っていっていた。 これはテロ特を見てもらうと わかりやすいけれども、 高村外相や石破防衛相は、 民主党の主張である 「ISAFへの参加」に 「検討に値する」 と発言するようになり、 遂には、福田首相から 小沢さんに党首会談を申し出て その会談の席で 「恒久法の制定」 まで歩み寄り、 更に、小沢さんによればだけど、 「自衛隊の海外での活動は 国連決議を根拠とする」 というところまで、 福田首相は言及して いたというのだからね。 これは、小沢さんが 今日の記者会見で 「自民党は、大変な政策転換をした」 と主張したけど、 それはその通りだと 僕は思う。 記者会見の記者たちは まったく鈍感だったけれども。(苦笑) そして、福田首相は 民主党に大連立の打診まで行った。 民主党はその打診を断った。 ここまでであれば、 僕は前回書いたように だ~か~ら~♪ 言ったじゃないのお~♪ ということで、(苦笑) 自民党は強烈に 民主党に引きずられて ただ、妥協に妥協を重ね それでも民主党は寄ってこず これから、福田内閣は 「死に体」に追い込まれて いくはずだった。 年金問題では 「年金流用禁止法案」が 民主党から参議院に 議員立法で提案され、 可決された。 防衛省のスキャンダルでは 民主党は「国政調査権」を 行使する構えを見せている。 この「国政調査権」爆弾は、 年明けからの通常国会で 内政問題に関して 次々と炸裂していくはずで、 すべての省庁の すべての政策課題に関して 50年の自民党政権の問題点が 次々と明らかになり、 福田内閣は安倍内閣以上に ボロボロに追い込まれていくと 僕は思っていた。 ところが。。。 ここで、肝心の小沢さんが グラグラしちゃったんだよね。(涙) 小沢さんが福田首相の 連立の打診に なにを思ったか 乗り気になってしまって、 民主党に持ち帰ってしまった。 つまり、小沢さんが1人で 自民党のほうに 寄ってしまったのだ。(苦笑) 「自民党は自衛隊の海外派遣で政策転換した」 とか言いながら。。。 しかし、民主党は 左側に一枚岩に固まって 動かなくなっていた。 しかも、民主党は 自衛隊の海外派遣は 国会の主戦場ではなく、 あくまで主戦場は 「内政問題」 ということで 党内は一致しているから 「自衛隊の海外派遣」を理由に 自民党と連立を組むなど ありえない話だった。 だから、真ん中に向かって 一人で寄っていった小沢さんは 左側から強烈に引きずられて 遂には、左の果てに 吹き飛ばされてしまった。 以前、安倍さんが吹き飛ばされたように。。。 これが、小沢辞表提出劇を 巻き起こした「政治力学」の作用である。 まあ、なんとも言葉がないのは 民主党が左側でがっちりと固まったのは 「ぜんぶ、小沢さんの指示通り」 だったのに、 ということだろうね。 先に書いたように、 これから通常国会に向けて、 民主党はいくらでも 自民党を攻撃する材料を 持っていたし また、「年金流用禁止法案」を 皮切りに、 「哲学論争」 に基づいた対案を 参議院に提出することも これからどんどん進んでいく はずだった。 (2007年10月8日 小沢一郎はなにがしたいのか。(前編) 小沢一郎はなにがしたいのか。(後編)) 連立を断ったことなんて 民主党にとっては なんにも問題ないはずだった。 小沢さんの指示通り 自民党を解散に追い込み、 総選挙で政権交代を 実現するだけだったのだから。 なんでここで小沢さんが グラグラする必要があったのか。。。 要するに、ここまで 民主党と自民党を左右に置いての 「衆参ねじれ国会」の 政治力学の分析を してきたわけだけど そこからは、 今、巷に溢れているらしい 「福田康夫策士説」 を、証明するようなものは 申し訳ないけど 見えてこないんだよね。(苦笑) まず、福田首相は なんにも仕掛けてるように 見えない。 ただ、無原則に 政治力学に従って 民主党に寄っていっただけ。 そして、確かにそれは 小沢辞表提出劇を 誘発したけれども、 ただ、民主党そのものは なんにも変わってないわけでね。(苦笑) 小沢さんが福田首相の連立打診を 党に持ち帰った時の 役員会でのやり取りは、 民主党が「政権交代の実現」について 完璧に一枚岩であることを はっきりと示したわけだ。 「民主党は分裂する」と 言っている人がいるみたいだけど、 実態を突き詰めてみると、 「小沢さん一人と民主党の 考え方が違っていた」 というだけだからね。(苦笑) 民主党は今まで通り 左側でしっかり固まるだろう。 自民党は、もっともっと 左に寄って行くしかない 状況は何一つ変わっていない。 僕は「策士」というのは 例えば小泉さんのように 「法案を参院で否決させて、 衆院を解散して抵抗勢力を一掃する」 みたいなことをする人だと 思うんですね。 要は、仕掛けの段階で 「負け」のように思われることをして、 結果として大きな結果を 得ているというのが、 策士のやることだと。 だけど、福田首相は 小沢辞表提出劇という 目先の小さな成果は あるかもしれないけど、 実際は民主党は なにも変わらないし、 自民党の苦しい国会運営も なにも改善されていない。 これで、福田首相は策士だと 評価するというのは、 ちょっと僕的には 疑問がありということだ。 ただ、策士が別のところにいる 可能性はあると思っている。 というのは、小沢さんの 記者会見を聞いていて 思ったんだけど、 つまりは小沢さんの言いたいことは 「総選挙を通じて政権交代を実現するのは 今の民主党には困難だ」 ということかなという 印象を受けたんだよね。 つまり、選挙といえば、 最近、まったく表に出てこない あの人のことが気になるわけです。 「古賀誠さん」 そう、この方、 選挙対策の責任者として どういう動きを 始めているのだろう。 小沢さんに切り崩された 地方組織と支持団体を どう再組織しようと しているのだろうか。 小沢さんが次の総選挙を 非常に厳しいと見ているならば、 それは、今の民主党が 古賀さんを倒す力はないという 認識があったからじゃ ないだろうか。 そういう意味じゃ、 僕はいまだに福田首相よりも 古賀さんのほうが 気になるわけですね。 まあ、それ以前に、 小沢さんは 辞表を提出しただけで 受理されたわけじゃないから まだなにがあるやら わからんとも思います。(苦笑) ただ、民主党に言いたいことだけど もう、小沢さんはあきらめたほうが いいんじゃないだろうか。 小沢さんが「総選挙による政権交代の実現」 一本やりで代表に戻るなら いいと思うかもしれないけど、 今後はどうしても 「また、自民党に近づくんじゃないか?」 と、党内外は疑心暗鬼になるだろう。 小沢さんはこれまでのように 求心力を保つことは難しいと思う。 一方、小沢さんの主張を 民主党が受け入れて 代表に戻るケースだけど、 これは、政治力学的に 絶対に、民主党の弱体化を引き起こす。 自民党と組んだら、終わりなのよ。 これまでの歴史が証明してる ことじゃないかということだ。 よって、小沢さんが代表では これからの民主党は難しいと思う。 次? ああ、自民党に寄りそうな 鳩山由紀夫さんよりは 攻撃力があって、 野党党首だと生き生きする 菅直人さんのほうが いいだろうね。(苦笑) もしかしたら、 「衆参ねじれ現象」は、 小沢さんよりも、むしろ 「自民党の遺伝子を持たない」 づかづかと厚生省に乗り込み、 「資料を見せろ!」 と、遠慮なしに 役人を恫喝するのが あまりにもはまってしまう、 菅さんの出番なのかもしれない。 それでは、またね。 ------------------------------------------- 「かみぽこ政治学」バックナンバーはこちら。 <推薦図書> 石原信雄著「首相官邸の決断」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年11月05日 22時07分10秒
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