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2006年10月12日
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あれですよね。
「北朝鮮核実験と大国の論理」
ちょっと書き直します。

ただ、書き直すと言っても、
主張を変えるわけではありません。

今回のエントリーは
北朝鮮をめぐる国際関係について、
これまでいろいろ書いてきたことを
読者が読んでいるという
前提にしてしまって
省略したことが
いけなかったと思います。

まあちょっとまだ
博士論文の疲れがあるんでしょう。
それを書くのはしんどかったから
もういいやと思ったんだね。。。(苦笑)

だから、その部分を追加して、
国際関係における大国間の
(これには日本も大国として含めます=苦笑)
駆け引きのダイナミックさを
描写することで
より私の主張が
明快に伝わることを狙って
書き直したいと思います。

まあ、こういうことは
普通やんないんだけど、
博士論文も口頭審査の後、
修正が普通ありますしね。(苦笑)

どうぞお許しください。

まあ、フェアじゃないかもしれない。
だから、メインの主張は変えてない
ということを示すためにも
「黄昏ぶらざ~ず版」も
削除したりはせず、
そのまま残します。

これも自分が書いたもんだからね。
そのへんはできるだけ
正々堂々としたいと思うんでね。

ということで始めたいんだけど、
最初に明確にしたいのは
この北朝鮮核実験に関する
私の問題意識なんだけどね。

「なぜに中国が、あるいはアメリカが
北朝鮮の核実験を阻止できなかったのか」

ということにある。
これを、

「なんか中国が北を説得してみたんだけど、
言うこときかなかった。」

と言ってしまうと
話は終わってしまうのだけど、(笑)
私は中国やアメリカは
そんな甘いもんじゃないと思うのだ。
なぜなら、中国やアメリカといった
大国には、

「大国の論理」

があるからだ。
これはどういうことかというと

「大国というものは、
絶対に小国に自由を許さない。

ありとあらゆる手段を使って
小国の情報を完璧に掌握し、
完璧にコントロールして支配しようとする」

というものである。

もちろん、小国は自分の意思で
行動しようとする。
しかし、その行動は全て
大国によって把握され、
行動の自由は大国の手のひらの上で
踊れる範囲内ということになる。

まあ、現実的には難しい点があるとしても
少なくとも、大国とは小国を
完全に把握しようと動くもの
だということだ。

そして、この「大国」の定義なのだけれども、

「小国を完全にコントロールしようとする
意識を持つ国」

であり、具体的にどの国を指すかといえば、
アメリカ、中国、ロシアは言うまでもなく、
後は、英国、フランスである。

英国、フランスは領土そのものは小さいけど、
いまだ旧植民地の経済と政治を完璧にコントロールして
そこのは一切の妥協はない。

むしろ英国、フランスは
民主主義だと言って、
相手をヤアヤアと持ち上げる形で
それをやってるわけで、
余計にたちが悪いとも言える。(苦笑)

この「大国の論理」という視点で
北朝鮮核実験を考えると、
今回の大国の動き、
特に中国に関しては
非常に理解しがたいものがある。

中国がなぜ北の核実験を
止められなかったとか。

そこで私は、
おそらく中国は
北の核実験の動きを
すべて把握していたはずであると
仮説を立てて、
話を進めたいと思う。

現に、金正日の北京詣は
続いてるわけだし、で
中国はすべてをわかってて、
核実験をやらせたか、
あるいは黙認したか、
と考えるべきではないだろうか。

ということで、
本題に入ります。

うひょひょ。。。(苦笑)

まず、これまでの北朝鮮をめぐる
国際関係について
私が主張してきたことを
おさらいをしておきたい。
(2004年7月9日
「 日本の対北朝鮮外交をもう一度検証する。」
2006年7月8日
「かみぽこ政治学・レビュー:北朝鮮の連続ミサイル発射について。」

これらのエントリーで書いてきたことは、
結局、北朝鮮体制崩壊リスクに関して、
陸続きで難民流出の影響をモロに受ける
中国は非常に立場が弱いと。

なぜなら、
北から遠いアメリカ、
北から海を隔てた日本は
相対的にそのリスクが少なく、
北への経済制裁による
体制崩壊リスクの拡大を
中国に対する外交交渉カードとして
使えるからである。

そして実際、
アメリカ(と日本)は
この経済制裁カードを
中国に対して
非常に使ってきたと思える。
(2006年7月26日
「対北朝鮮国連安保理決議の交渉過程を考える。(前編)」
2006年7月26日
「対北朝鮮国連安保理決議の交渉過程を考える。(中編)」
2006年7月26日
「対北朝鮮国連安保理決議の交渉過程を考える。(後編)」)

アメリカは6カ国協議での
問題解決を徹底的に主張し、
一切北朝鮮との直接対話を拒絶。

その後のマカオの北朝鮮資産凍結、
ミサイル発射による安保理決議
日本の経済制裁という
いう流れによって作られたものは

「中国だけに北朝鮮問題の
負担が過度にかかる」

というものだ。

そもそも、アメリカは
口ではなんだかんだと言いながら、
資源の乏しい北朝鮮そのものには
実はほとんど関心がなく、
ある意味純粋に
国際関係の中における

「米中関係の局地戦の駆け引き」

に有効に使ってきたと言える。

中国にどんどんどんどん
問題を押し付けることで、
中国を苦しめることが目的だ。

これがアメリカの戦略であって、
北朝鮮問題に関して
アメリカに戦略がなかったという主張は
私が支持するのはちょっと難しいんだよね。

実際、この北朝鮮の核実験の直前、
まさに土俵際に追い込まれていたと言える。

まずもって、7月の安保理決議の攻防では
完全にメンツ丸つぶれになった。

その上、報道規制が敷かれているので、
どこまで深刻なのかはわかりづらいが、
おそらく北から中国への
いわゆる「脱北者」の問題は
想像以上に深刻なのではないだろうか。

繰り返すが、北の問題は中国が主導する
6カ国協議だけで動いているわけで、
これでいざ体制崩壊が起こったら、
中国が北のことを
ぜんぶ抱え込んでしまうことに
なってしまう。。。

追い込まれた中国が
なにをおいても
しなければならなかったことは、
いずれ北の崩壊は避けられないとしても
難民問題や北の復興に関して、
そのリスクを中国だけで
背負い込むことを避けること。

それには、アメリカが北を相手にしない
スタンスを貫いている以上、
国連に北の問題を上げるしかないと
考えるのは極めて合理的に思える。

では、どうやって北の問題を国連に上げるか。
具体案となると、非常に頭が痛かったはずだ。

しかし、そこに
北の核実験準備の情報が
入ってきたのだろう。

北の核実験の意図は
いろんなことが推測されてるけど
それはある意味どうでもいいので
ここではそれについては書かない。

大事なことは、
北の意図はなんであれ、
それをすべて中国がつかんでいた
という前提でもって、
頭の体操を続けてみることだからだ。

まあ、中国にとってみれば
本来であれば隣国で核実験など
物騒極まりないし、
ましてや保護国(?)である北が
核保有国になってしまうなんて
とんでもないことだ。

すでにつぶれまくっている
中国のメンツも更につぶれる。。。(苦笑)

しかし、この問題はそのような
マイナスがありながら尚、
中国にとっては
捨てがたい大きなメリットがあった。

間違いなく、北の問題が国連に上がるからだ。

北が核実験を実際にやってしまったら、
アメリカもさすがに関与しないじゃ
今度はアメリカのメンツがたたないし、
国連安保理も動き出さないわけにはいかない

だから、中国は
北の核実験の動きを把握して、
それを黙認したか、
あるいはより積極的に、
金正日に対して、
核実験をやって
国連での経済制裁が決まっても、
援助は裏で続けるという
ニュアンスを与えたんでは
ないだろうか。

実際、北の核実験後の動きを見ると
国連安保理ではさっそく

『アメリカ主導で制裁決議案の動き』

となった。(笑)

北朝鮮問題は国連安保理に上がり
アメリカ主導の問題となった。
おそらく、中国の狙い通りの
展開になったと私には思えるのだ。

もちろん、国連で経済制裁が決まったら、
それこそ北の体制崩壊の危機になる。

しかし、それは中国にとっては
大きな問題ではない。
経済制裁が決まっても、
裏で物資や資金を流すのは簡単。
なんてったって、陸続きだからである。(苦笑)

それでも、北が崩壊したとしても、
難民問題のことは国連で動くことになる。
中国が抱え込むことにはならない。

復興に関しても、
アメリカは朝鮮半島全体に
基本的に関心がないので、
崩壊後の国連軍は
あっさりと中国主導に
なるかもしれないし、
づかづかとアメリカに
上がりこまれることは
ないだろう。

いや、中国自身、
北に入り込まなくても
別にいいよあんなやせた土地と
思ってるかもしれない。(苦笑)

要するに、国連に北の問題が上がることについては
中国はデメリットがほとんどない。

これで制裁決議の際に
中国のメンツが立つような
形にさえなれば、
それでいいんじゃないだろうか。

つまり、北の体制崩壊問題に関して
アメリカ(と日本)によって
土俵際に追い込まれていた中国は
北の核実験によって
土俵中央まで押し戻すことができたと
私には思われるのである。

それでは、後編へ。





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最終更新日  2006年10月12日 20時31分15秒



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