WinMXとかWinnyとか、日本ではろくな扱いを受けていないP2Pですが、海外ではけっこう真面目に議論されてるんですよというブログ。
RIAJが配信業者を対象に違法配信識別マークを交付し、それによってその配信業者の適法性を示すことで、違法配信を抑制しようとしていると、というお話。でも、現実には、ほとんどの人が違法であることを知りつつ利用しているであろうことを考えると、単にマークがついただけで利用をやめるとも思えないのだけれどもね。とすると、狙いは別にあって、ダウンロードの違法化に伴う適法、違法サイトの識別にこのマークを利用しているのではないか、というようにも思われる。とすると、音楽を配信する全ての人がその影響をくらうのだろうけれども、その辺どうなんだろうね。さらに言えば、識別マークを「くれ」「OK」って具合に簡単にことが運ぶわけでもなさそうなので、審査料とかそういう金の臭いもするのよね。
原典:InternetWatch
原題:違法音楽配信の識別に“適法”マーク制度、レコ協が秋から運用予定
著者:増田 覚
日付:2007/06/28
URL:http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/06/28/
16180.html
どうやら、RIAJが「違法配信識別マーク」なるものを導入するようだ。適法なコンテンツに対して、適法であることを示す識別マークを表示させ、それによって、正規に配信契約を結んでいるコンテンツであることをユーザに伝えるんだと。これは、現状での違法なコンテンツ配信の横行に対する抑制策らしい。この識別マークは、配信サイトのトップページや購入ページ上に表示される。
この識別マークの運用に関しては、レコード会社が配信事業者と配信契約を結ぶ際に、RIAJの発行する識別マークの表示を求める。RIAJは、配信事業者にマークを発行する。また、無断使用に対しては使用差し止め請求を行う。
まぁ、ユーザにこれは適法ですよ~と伝えることで、ユーザが安心して利用できる、これは適法じゃないかもしれないですよ~と(間接的に)伝えることでユーザが安心して利用できなくなる。RIAJによる一種の囲い込み?と思えてならないのだけれども。もちろん、彼らの関わっている商用配信のみに限れば、それでいいのかもしれないけれど、現実は彼らと無関係な商用配信、非商用配信もある。ある意味では、営業妨害だよねぇ。いやなら、我々の認証を受けろってところなのかしらね。
気になることとしては、この識別マークの発行は(手数料も含めて)有料or無料どちらを考えているのか。著作権侵害を防ぐため、という高尚な目的のためなのだから、もちろん、無料なんだろうけどね。
で、ほとんどの人が気づいているだろうけれど、この識別マークの問題点としては、それに何の効果が見込めるか、ということ。RIAJとしては、ユーザが識別できることで、違法な配信サイトの利用が抑制されるとしているが、実際に違法な配信サイトと適法な配信サイトを勘違いして利用しているユーザがどれほどいるのだろうか。おそらく大半が違法なサイトだと認識しながら利用しているのではないか。となれば、ここまで面倒ごとを起こしてまでやることなのか、という疑問が湧いてくる。
たぶん、1と4。
それにしても、相変わらずすごい主張しているので以下に紹介。
RIAJによれば、2006年における有料音楽配信売上は535億円。このうち90%を占める携帯電話向け配信については、レーベルモバイルやドワンゴなどの主要事業者にもマーク表示を説明し、了解を得ているという。2007年秋の導入後は、映画をはじめとする他のコンテンツ業界における識別マークの導入・運用を支援するとしている。
違法配信識別マークワーキングチームの座長を務めるソニー・ミュージックエンターテインメント取締役の秦幸雄氏は、「過去1年で携帯電話向け音楽の違法配信は急増した。違法サイトに削除要請してきたが、もぐらたたきの状況でますますひどくなる一方。音楽配信売上が伸びているので被害の実態がわかりにくいが、最大手の配信事業者では、1,000億円以上の被害が出ていると聞いている」と述べ、識別マーク導入の必要性を訴えた。
1000億円以上の被害が出ている・・・。 まぁ、数だけ考えればそうなんだろうけどさ・・・。
さて、上記の発言にもあるように、被害は甚大だ~と叫びながら、識別マークの拡大も考えている模様。これの何が怖いって、将来的に著作権侵害に関わるダウンロードも違法とされるようになった場合、彼らの識別マークを根拠にされる可能性があること。
識別マークのないサイトからのダウンロードが、違法かもしれないことを理解しつつ、ダウンロードしたとみなされる可能性もある。そうなれば、この識別マークのないサイトからのダウンロード=危険なダウンロードとみなされるかもしれない。たとえ、それが配布者が著作権を有するものであってもね。RIAJの目論見どおりであれば、ユーザはそんな危険なダウンロードを避けるわけで、配布者にしてみれば困ったことになる。そうなれば、必然的に識別マークを強要されているも同然である。だから、金のにおいがする、と考えているわけ。
まぁ、ほとんどがIFの話だけれどもね。それでも、著作権侵害に関わるダウンロードも違法であるとされたときに、この識別マークなるものの有無が根拠とされれば、彼らのサイドにいないものが嫌な思いをするんじゃないのかしらね。
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