3 Minutes of DRM:3分でわかるDRM問題

タイトルはもちろんMichael Geistの30 Days of DRMのパクリです。まぁ、日本ではなかなか議論されていないDRM問題を3分くらいで要点を紹介したいと思うわけですよ。といっても、これを書いたのは1ヶ月前でして、最近ではSteve Jobsの発言で結構議論されるようになりましたが・・・。

そもそもDRMって何?

Digital Rights Managementの略、デジタル著作権管理のこと。簡単に言えば、コピーされたり、他のPC、音楽デバイスでの再生やCDに焼くのを制限する仕組みのこと。たとえば、あなたのiPodから楽曲を抜き出して、友達のiPodに入れることはできない。そういう制限を施す技術。

なんでDRMが必要なの?(建前)

1つはユーザ同士がファイルの交換をできなくするため。もう1つは違法ファイル共有に利用されないため。そのためにコピーや再生可能なデバイスに制限をかける。コピーが簡単にできてしまえば、音楽やビデオが売れなくなるんじゃないかと業界団体は主張している。

でも、CDとかレコードとか今までも録音できてたけど?

対象となっているものはデジタルファイルのデジタルコピー。これは全く劣化しない上に、コピー先がデバイスやPCなのでこれまで以上に簡単にコピーできる(MDとかカセットテープに録音するより簡単で早い)。だから制限が必要だと業界団体は思っているみたい。

それで、DRMは役に立ってるの?

ユーザ同士でのコピーが難しくなることで、小規模な交換ができなくなったという点では、役に立っている部分もある。しかし、その効果は小さいものだろう。一方で不特定多数とのP2Pファイル共有ネットワークで流れているファイルは、既にDRMを解除したものか、もともとDRMが施されていないファイルなので、そこではDRMは全く役に立ってはいない。

なんでDRMが必要なの?(本音)

DRMは再生可能なデバイスを選択できる。iTunesで購入した曲がiPodでしか利用できないのはそういう理由。そうすることでどんなメリットがあるかというと、コンテンツを保有する企業にとっては自社コンテンツを提供するのに、自分たちに有利な条件で配信業者やデバイスメーカーとの交渉ができる。DRMを悪用して、ある特定のデバイスにだけ再生可能にすること、ある特定のデバイスにだけ再生不可能にすることもできるためである。

また、デバイス間の利用を不可能にすることで、デバイスごとにコンテンツを購入させることもできる。

そのDRMの何が問題なの?

1)ユーザに対して

買った本人が自分で使うためのコピーが制限される。たとえば、ドライブやパーティにお気に入りの曲を選曲して持っていこうとしても、CDに焼く回数制限やそれができない制限があったりする。自分が買ったものを自分のために使おうと思っても自由にできない。あと友達にそういう選曲したものをあげることができない(もちろんグレーなんだろうけど、そういうのも文化だと思う)。

DRMの種類によって再生できるデバイスが制限される。一番の問題は、いったんそのデバイスにしか対応していないコンテンツを購入すると、次も同じデバイスを買わないと再生すらできなくなること。

既に購入しているコンテンツであっても、他のデバイスで再生したいときには、再度購入するしか方法はないということもある。

2)業界団体に対して

DRMによって再生可能なデバイスが制限されることで、デバイスと配信サービスの連携によるユーザの囲い込みが可能になる。このようなデバイス/ストア一体型の戦略が問題。つまり、独自のDRMを独占的に自社ストアで配信することで(他社にはそのDRMを利用させない)、そのデバイスを持っている人は必然的にそのストアでしか購入できなくなる。iPodがiTMSから購入したファイルしか再生できない、Napsterで購入した曲をiPodで再生できないのはそういう理由。

iPodのシェアが高いことから、iPodで再生できないDRMを利用している配信業者は、Appleによる独占行為だと批判している。でも、Appleは建前上はDRMを義務付けられているからそうしているという。でも本音はDRMでユーザを囲い込みたいだけ。その証拠にAppleは自社DRMを他社に利用させない(保護技術の保護のためだと言い訳)。そうしてユーザを囲い込んでAACファイルを買わせれば、次もiPodを買わせることができる。なぜなら、AACはiPod以外では再生できないから。ちなみにZuneも同じ戦略をとっている。

結局は、本当に役立っているかどうかわからないのに、そのデメリットだけが際立って大きい。

どうすれば解決できるの?

1)DRMを相互に変換できるものにする
DRMによってデバイスが制限される問題は、DRM同士が相互の変換が可能になれば回避できる。でも、ユーザが自由にファイルを使う権利は失われたまま。それにAppleは自社DRM技術の保護を盾に、これに断固反対している。

2)Open DRMを利用する
上記の相互交換可能なDRMの発想に近いが、DRM自体をオープンなものにするというもの。

3)DRMを施さずにMP3で配信する
全てのデバイスがMP3をサポートしているので、如何にiPodが自社DRM以外を受け付けないとしても、DRMの施されていないMP3なら問題なく再生できる。つまり、iTMS以外の配信業者もiPodユーザに配信サービスを利用してもらえる。配信事業でのiTMSの独占を崩壊させれば、次のデバイス選択がそれに縛られなくなる。しかも、制限のないMP3なので、ユーザの自由を制限することもない。ただ、業界団体は著作権保護を名目にこれには難色を示している。でも、そうでもしないと、配信事業をAppleに独占されてしまうということも理解している。

現状はどうなってるの?

各業界団体がDRMを利用してやろうとしたことを、AppleがiPodブランドを利用して独り占めしてしまっているという状況。

今後はどうなるの?

業界団体は未だにDRMの継続を願い、DRMの相互変換を考えているけれど、デバイス/ストア一体戦略を取るAppleやMicrosoftを説得できるかは微妙なところ。一方で、非DRMのMP3配信サービスを提供する配信事業者が増えそうな気配。

3分じゃ読みきれなかった

正直まとめきれんかった。かっとなってやった。今は反省している。

参考リンク

デジタル著作権管理(DRM)- Wikipedia

OpenDRM - CNET Japan/Lessing Blog

FairPlay - Wikipedia

30 Days of DRM - Michael Geist

望まれるDRMの形とは?--iTunes DRM公開法でフランスが残した教訓 - CNET JAPAN

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