WinMXとかWinnyとか、日本ではろくな扱いを受けていないP2Pですが、海外ではけっこう真面目に議論されてるんですよというブログ。
以下の文章は、TorrentFreakの「Google's Anti-Piracy Filter Is Quite Effective」という記事を翻訳したものである。
原典:TorrentFreak
原題:Google's Anti-Piracy Filter Is Quite Effective
著者:Ernesto
日付:July 12, 2011
ライセンス:CC BY
Googleは今年1月より、同社の検索サービスにて複数の「パイラシー関連」キーワードの検閲を開始した。Googleによると、アンチパイラシーフィルターはオンライン著作権侵害を抑制するためのものであるという。このフィルターは実際の検索結果に影響を及ぼすものではないが、検索ボリュームを見る限り、検閲されたキーワードを検索する人の数が大幅に減少していることがわかる。
Googleによると、このブラックリストはオンライン著作権侵害を抑止する効果的なツールであるという。そのコトバが著作権侵害だけにリンクしたものでないとしても。
数カ月前より、Googleは『オートコンプリート』および『インスタント』機能において、「パイラシー関連」語のフィルタリングを開始した。用語のブラックリストは公表されていないものの、「torrent」「BitTorrent」「uTorrent」「Megaupload」が含まれていることが判明しており、先月には「Mediafire」もその仲間入りを果たした。
「オンラインの著作権侵害に対する特効薬はありませんが、これは、私たちがオンライン著作権侵害を抑止するために講じた措置の1つになります。」とGoogleのスポークスマン ミスティーク・カノは以前にTorrentFreakに語っている。
「オートコンプリート・アルゴリズムの変更は、それほどネガティブな影響を及ぼさず、そして比較的容易にでき、それでいて有効であると考えています。」とカノは付け加えた。
しかし問題は、このフィルターが実際に有効であるのかである。
我々は以前、多くのユーザが、Googleのサジェスチョンをもとにパイラシー関連サービスを発見すると指摘した。したがって、Googleの検閲の試みが、フィルターされたキーワードの検索回数を実際に減らしているのであれば、「うまく機能している」と言えるだろう。
このアンチパイラシー・フィルターがもたらした影響を知るため、我々はGoogle自身が提供する検索トレンドを見てみることにした。その結果は驚くべきものであった。
以下は、フィルターされたキーワードの検索トレンドのグラフである。アンチパイラシー・フィルターが実装された1月以降、すべてのキーワードの検索回数が大幅に低下したことが示されている。
BitTorrent Searches on Google
このグラフから、「BitTorrent」の検索回数が急激に半減したことがわかる。その影響は現時点でも変わってはいない。以下のグラフから、「Megaupload」でも同様のパターンが観察できる。このキーワードはGoogleのブラックリストに入れられるまでは、上り調子であったにもかかわらず。
Megaupload Searches on Google
こうした検索トレンドは、他の検閲されたキーワードでもほぼ同様であった。このフィルターの導入後、人気のBitTorrentクライアントuTorrentですら、2006年以降最も少ない検索ボリュームであった。
以下のグラフは、今年4月末にブラックリストに加えられた「Mediafire」の検索トレンドである。
Mediafire Searches on Google
もちろん、検索ボリュームの減少は、実際の著作権侵害の減少とイコールではないにしても、こうした減少は驚くべきものがある。
我々も、アンチパイラシー・フィルターの導入によって、検索トラフィックはわずかに減少するだろうと予測していたが、これほどの影響を及ぼすとまでは考えもしていなかった。著作権ロビーは、さらに多くのキーワードを禁止するよう求めることになるだろう。
著作権ロビーから見れば、この結果は勝利ということになるのだろうが、インターネット全体の利益を考えると必ずしもベストというわけではない。Googleは検閲キーワード・リストの透明性を欠き、また、『torrent』という辞書に乗っているようなコトバや『RapidShare』といった企業名が含まれていることなどを考えると、懸念せざるをえない状況ではある。
たしかに想像以上に大幅に減少している。このフィルタリングは、あくまでもGoogle検索のオートコンプリート、インスタント機能にのみかけられたもので、検索結果から除外されるというわけではない。アクセスさせないわけではないが、近づけない、接触の機会を設けないというやり方なんだろう。
個人的には、単純に特定の用語だけを排除するのではなく、特定の用語が特定の組み合わせでのみ表示されない、という方がインテリジェントだと思うんだけど、まぁ難しいよね。ただ、キーワードを増やしていくにつれて、パイラシーとは無関連の検索でも引っかかってしまう可能性はあるわけで、その点ではTorrentFreakの懸念には同意したい。
関連:Google: ハリウッドの圧力に屈っし"torrent"関連キーワードを検閲 - karasuyamatenguの日記
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