WinMXとかWinnyとか、日本ではろくな扱いを受けていないP2Pですが、海外ではけっこう真面目に議論されてるんですよというブログ。
以下の文章は、TorrentFreakの「Copyright Trolls, Not Just for Patents Anymore」という記事を翻訳したものである。
原典:TorrentFreak
原題:Copyright Trolls, Not Just for Patents Anymore
著者:Ben Jones
日付:September 20, 2010
ライセンス:CC
by-sa
パテント(特許)トロールは、特許の上に座して、それでなにをする風でもない。ところが、誰かが彼らの『財産』を侵害していると見るや、洞穴から抜け出し、裁判所へと引きずり込む。全ては金のため。こうした態度は、今や著作権にも広がってきている。たとえ20、30年前の曲だろうと著作権侵害だとしてアーティストが訴えられている。
著作権はしばしば、アーティストや創造者個人を保護するものとされているが、実際には、金で彼らを守るという傾向にある。大物アーティストでさえ著作権侵害で訴えられている今となっては、「アーティストのために」などという謳い文句は、今日の音楽著作権の環境にますます馴染まなくなってきている。アーティストたちはヒット曲でちょっとしたサンプリングをしたとして訴えられているし、時にはリリースしてから数十年たってから著作権侵害だとして訴えられたりもしている。
今年初め、オーストラリアのロックバンドMen at Workが、彼らのヒット曲『Down Under』について5%の著作権使用料を支払うよう裁判所に命じられた。同曲のフルートのリフが、1934年の作品『Kookaburra』をベースにしたと判断されたためだ。
もちろん、この著作権侵害は、この曲がリリースされてから28年間、テレビの音楽クイズ番組が取り上げるまで誰も気づかなかった程度のものだった。実際、訴えられるほどにひどい侵害であるのなら、28年前、数十万枚を売り上げたときに、誰かが気づいて然るべきであるし、少なくとも2000年のシドニーオリンピック閉会式での演奏時に気づかれるべきものである。しかし、そのいずれの間にも、誰一人気づく者はいなかった。
こうした遅すぎる訴訟は、昨今しばしば起こされているが、遠いどこかの国のお話というわけではない。米国でも、『Drive in Music Company』(DIM)と呼ばれる企業が、ここ数ヶ月にわたって同様の戦略を採っている。この企業は、スーパーボウルに出されたKiaの広告を巡ってたくさんの人々を訴えた。Hollywood Reporterによると、ターゲットにされているのは、この広告だけで「Kia、CBS、NFL、広告代理店David & Goliath、Ninja Tune Records、その他の関係者」であるという。
この訴訟などは今起こったことについて争うわけであるが、一方で同社は、Men at Workに対する訴訟によく似た訴訟を起こしてもいる。DIMは現在、ずいぶんと古い曲が著作権侵害をしたとして訴えを起こした。
Cyprus Hillの『How I Could Just Kill a Man』は、1991年にダブルシングルの1枚として、また彼らのデビューアルバムとしてリリースされた。他の多くのアルバム同様、彼らも楽曲に複数の曲からサンプリングを行っていた。そのうちの1曲がMusic Machineの1966年の曲『Come on In』であったのだが、その曲についてDrive in Music Companyは訴訟を起こしたのだ。
The Alleged InfringersDIMが訴訟に勝つことにでもなれば、Cyprus Hillのダブルプラチナのセルフタイトルアルバムの在庫もセールスも差し押さえられることになる。さらに同社は、彼らが被った損失に対し損害賠償も求めている。
この訴訟の発端は何だったのだろうか?ContactMusicによると、DIMのボスは、AppleのiTunesで販売されているCyprus Hillの曲を目にして、このサンプリングに気づいたという(訳註:DIMはこの訴訟で、販売したAppleもターゲットにしている)。DIMのターゲットは、Cypress Hill以外にも広がっている。1週間前、彼らは1991年のアルバム『Future Without a Past』に関して、Leaders of the New SchoolとBusta Rhymesに対する訴訟を起こした。
リリースからほぼ20年が経とうとしている今、DIMがアーティストを訴えているのは、金儲けの種になるからである。待った期間が長いほど、もっと儲かるという具合に。オーストラリアでの先例になるが、『Kookaburra』のケースが、こうした訴訟を助けるかもしれない。
しかし、長い期間、何の行動も起こさず侵害を放置してきたことが、事実上の容認とライセンシングを構成する可能性もある。『Kookaburra』のケースとは異なり、特にCyprusの使用は明白である(少なくとも4年前のWikipediaのページにおいても言及されるくらいに明白であった)。とはいうものの、米国法廷がそのように考えるかどうかは疑問が残る。米国法廷はあたかも著作権を神聖崇敬、著作権侵害を大罪として、重大犯罪と同様の罰を科すのだから。
もし、Cyprusがライセンス契約を結ぶことができなければ、DIMは望み通りのものを手にするのかもしれない。合衆国憲法の起草者が、進歩条項がいかにして濫用されているかを目にしたら、少なくともこんな声を上げるんじゃなかろうか。『D'oh!』
“Come on In” by Music Machine (1966)
DIMが訴えているというKiaの件については、実際に見てもらった方がよさそうなので、以下に貼付け。
で、DIMが権利を主張しているのは以下の曲。
これらの件については詳しくは調べ切れていないのだけれども、こちらのブログにあるように
この会社がDyke and The Blazersの原盤権を安く購入して、 Busta Rhymesらを訴えている様です。 Case of the P.T.A.の原曲を知っていて、 それが著作権をクリアしていない事も知っている。 その上で原曲の権利を買う。
みたいな感じなんだろうなぁ。
この件とはだいぶ違うけど、著作権トロールについて最近話題なったニュースとしては、こちらでしょうか。時間があれば訳してみたいところ。
■ Righthaven's Brand of Copyright Trolling - Electronic Frontier Foundation
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