WinMXとかWinnyとか、日本ではろくな扱いを受けていないP2Pですが、海外ではけっこう真面目に議論されてるんですよというブログ。
以下の文章は、TorrentFreakの「Fleet Foxes Thank Piracy For Their Success」という記事を翻訳したものである。
原典:TorrentFreak
原題:Fleet Foxes Thank Piracy For Their Success
著者:Ernesto
日付:June 12, 2009
ライセンス:CC
by-sa
Fleet Foxesのセルフタイトルアルバムは、Pitchforkを始めとする多数の音楽評論家によって2008年のベストアルバムだと評された。興味深いことに、Fleet FoxesのフロントマンRobin Pecknoldは、彼がこれまで長きに渡りパイレート(著作権侵害)してきた数百枚のアルバムなくして、このアルバムを作り上げることはできなかっただろう、と話している。
Fleet FoxesのシンガーRobin Pecknoldは、デビューアルバムで成功を収めるやいなや、彼がメジャーレーベルを中心とした企業の貪欲さを嫌っていることを明言した。彼はFleet Foxesがメジャーレーベルと契約したという噂が流れた際も、「Fleet Foxesはたとえ何があろうとも、絶対にメジャーレーベルとは契約しない。」とブログに綴っている。
Pecknoldは、メジャーレーベルはアンチ・ミュージックなのだという。彼やその他のバンドが自らのサウンドを形作り、創造性を爆発させる本当の助けとなったのは、ファイル共有であった。「今日、僕が愛して止まない音楽のほとんどは、その(ファイル共有)のおかげで出会うことができたんだ。そしてそれは今でも、マイナーな音楽をを見つけるための一番簡単な方法なんだ。」と彼はBBCに話す。
「僕はそのメディアを通じて、たくさんの音楽を発見してきた。それは僕ら世代のアーティストみんなにとって真実だよ、絶対にね。」とPecknoldは付け加える。音楽産業が声高に叫ぶような「音楽を盗む行為」から利益を上げているのは、彼だけではない、という。音楽の無限のライブラリへのアクセスは、ミュージシャンにとって利益以外の何物でもない。
Fleet Foxes performing in Germany (credit)
実際、音楽を専門とするBitTorrentトラッカーには数千ものアーティストが自ら参加しており、自身の作品、そして他のアーティストの作品を共有している。最も有名なところとしては、Nine Inch NailsのフロントマンTrent Reznorが、今は亡きOiNKトラッカーのメンバーであったことを高らかに語っている。
Pecknoldもそれと少しも違わない。彼の父親が自宅にモデムを持ち帰り、インターネット―現代のミュージシャンにとってのキャンディストア―に繋がったことで、彼の音楽ライフは最高のものとなったと懐かしがる。さらに、もしファンが彼らの最新アルバムを共有したいと思ったとしても、彼は全く気にしない、という。
「僕は、数百、数千のレコードをダウンロードしてきたよ。なら、どうして誰かが僕らのアルバムをダウンロードしていることを気にしなきゃいけない?気にするほどのことじゃない。要は、人間1人、どれくらいのお金が必要になるか、ってこと。誰かがそれについてとやかく言うのを聞く度にウンザリさせられるよ。僕個人としては、ね。」と彼は認めた。
もちろん、海賊行為問題に対するレーベル側の見解はこれとは全く異なる。彼らは海賊行為によって数億ドルもの損失が生み出されていると主張する。もう今となっては、大半の人がこれは真実からほど遠いということを理解している。しかし、レーベル側が音楽ファンを裁判に追い込んできた歴史は、ミュージシャンのレーベルへの信頼を失わせ始めている。
それでも音楽レーベルは今のところキッズのスターをそこかしこにうまく売り込むことをやってのけることができるかもしれない。しかし、多くのデジタル世代のアーティストにとって音楽を配信するためにレーベルが必要かといえば、もはやそうではない。その時、BitTorrentが大きな役割を果たすだろう。そうだろうRobin?
Pecknoldは23歳、まさにNapsterの洗礼をうけ、それ以降のファイル共有の爆発的な人気の中、10代を過ごしたのだろう。個人的には、新たな創作に繋がるのだから海賊行為もアリだ、というつもりはない。ただ、こうした考えを持つアーティストが少なからず世に表れ始めている、ということを理解して欲しいなと。
なお、Fleet Foxesは、私にとっても商用アルバムとしては2008年のベストアルバムだと思っている。非商用のものも含めれば、Sean Fournierの『Oh My』が2008年ベストアルバム。どちらのアルバムも最高に素晴らしいので、是非。特にOh Myの方はフリーで提供されているので、試しに聞いてみてくれると(更にいえばダウンロードして、そしてそれを誰かとシェアしてくれれば)彼も大喜びだろう。
コメント
なんと800万曲です。洋楽メインですがたいていのアルバムは入っていてFleet Foxesももちろん入っています。