米国調査:P2PはISPに年間50億ドルのコストを課す?

以下の文章は、P2P Blogの「Study: P2P costs ISPs almost five billion dollars per year」という記事を翻訳したものである。

原典:P2P Blog
原題:Study: P2P costs ISPs almost five billion dollars per year
著者:Janko Roettgers
日付:December 10, 2008
ライセンス:CC by-nc-sa

市場調査企業 Multimedia Intelligenceは、ISPがユーザのファイル共有習慣の結果、1年間にほぼ50億ドルを費やしていると推定している。最近公開された研究「P2P Networking: Content’s "Bad Boy" Becomes Tomorrow’s Distribution Channel」によれば、米ISPは今年だけで、P2Pに関連して7億ドルの運営コストを費やしている。

米ISPはまた、2007年にはP2Pのためにおよそ41億ドルを「設備投資」に費やした。Wallstreet風に言えば、Comcast & Co.が増大するデマンドに対処するため、ネットワークをアップグレードしたというところだろう。ほんの数分前に、私の元に届いたプレスリリースより、Multimedia IntelligenceのアナリストRick Sizemoreの言葉を引用しよう。

P2Pトラフィックの大部分が無許可のコンテンツであるため、我々の調査は、海賊行為のコストがコンテンツオーナーだけではなく、ブロードバンドプロバイダーにもインパクトを与えていることを証明した。

いつものことではあるが、こうした数字は割り引いて考えるようお勧めしたい。先ず第一に、設備投資は後になってよい結果をもたらすということ。つまり、これは実際にはお金を失っているのではなく、今後数年のうちに高速なブロードバンド接続を求める人々が契約していくれる、といったことにも繋がるのである。

さらに重要なことは、P2Pは単にデマンド―この場合はデジタルエンターテイメント―を満たすためのテクノロジーに過ぎないということだ。このデマンドはP2Pがなくなったからといって、そのデマンドがなくなるわけでもない。ユーザはデマンドを満たすための別の方法を模索するだけだろう。そうしたデマンドはフラッシュビデオストリーミングやオンラインストレージによっても、ますます満たされてきているのだから。

Multimedia Intelligenceは、2007年にファイル共有ネットネットワーク上でやり取りされた音楽は690億ドルの市場価値があるとの推定を以前に公表している。

もちろん、これらの数字はISP1社ではなく、全体としてこれだけの金額がかかっている、ということだろう。なお、設備投資額は2006年は42億ドルとのこと。

MultiMedia Intelligenceは、今回の調査結果からの知見・予測として

  • P2Pコンテンツの全てが無許諾のものではない。P2Pネットワークにおける許諾されたコンテンツファイルの流通は著しく増加しており、その増加率は、無許諾のそれを上回る。ただし、許諾されたコンテンツはもともとのベースが少なかったためというところが大きい。
  • P2Pインターネットトラフィックは、長期に渡りかなりのペースで成長を続けてきたが、今後5年間でも400%の成長が予測される。2007年の1.6ペタバイト/月から、2012年にはおよそ8ペタバイト/月にまで成長するだろう。
  • P2Pの最大の可能性は、P4Pのような効率的かつハイブリッドなソリューションであると思われる。これらのプラットフォームは、ライブ配信のみならず、記録されたコンテンツの配信にも効果的である。さらに、PeerAppのようなキャッシングソリューションも、ネットワーク相互接続の必要性をさらに減じることで、これらネットワークの効率性を強化するだろう。

概説している

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