●---- -->NTTドコモの定額データ通信サービスがVPNに正式対応したというので契約し、しばらく試してみることにした。さすがに、本当にどこでも使えるというのは、圧倒的なアドバンテージだと痛感した。 ●Bluetooth対応音声端末で定額データプラン 2007年4月に契約したイー・モバイルの契約は「いちねん」なので、残り期間があと3カ月残っている。今、解約してしまうと契約解除料として8,000円が必要になる。春になればローミングサービスの詳細もはっきりするだろうし、音声サービスの開始に伴い魅力的な端末が出てくるかもしれない。それまで様子見をすることにして、解約はせず、とりあえず、ドコモのサービスを体験しておこうという企みだ。 ドコモの定額データプランは、ファミリー割引や長期契約割引など、いっさいの割引プランが適用されない。したがって、新規に契約し、必要なときに使って、いつでも気軽に解約することができるし、使わない月には、従量制データプランSSなどに変更すれば、ファミリー割引も適用されるので基本使用料を1,350円まで落とせる。解約してしまうと、次回、必要になったとき新規時手数料に3,150円かかるが、月に2度までのプラン変更に費用は発生しないので、変更をタイミングよくこなせば、それなりの価格で使用を継続することができる。冬は都心を離れることが多いので、何か方策を検討しなければならないタイミングでもあった。 結局、新規契約として「定額データプランHIGH-SPEED」を申し込み、同時に端末として、かつてパスした「P903iX HIGH-SPEED」を購入した。 近所のドコモショップに赴いて契約した。契約事務手数料に3,150円、端末は8,000円程度だった。今月は日割りで計算されるが、今後は、4,200円の固定コストがかかり、50万パケット以上は従量制で天井額は10,500円となる。また、それとは別にプロバイダ料金としてmoperaUを契約、こちらが840円なので、かかる費用は5,040~11,340円の間となる。ただし、スタートキャンペーンが期間延長され、2/29までは、天井額が4,200円のワンストップだ。また、契約時には定額対応アクセスポイントのみの接続制限を依頼した。同時に、従来、音声端末に設定していた9,000円のパケットパックを1,000円のパケットパックに変更した。これで、トータルで必要な料金はかえって安くなるかもしれない。 端末に、通常の通話端末を選んだのは、Bluetooth機能が欲しかったからにほかならない。130gの重量でBluetoothによるワイヤレス通信ができ、1週間近く待ち受けができる定額サービス対応端末は他キャリアにない。もちろん、新規発売のP905iをすでに通話用に持っているものに加えて追加でもう1台購入してもよかったのだが、さすがにオーバースペックで、さらに7g重い上、いくらなんでも5万円超を投資するほど酔狂ではないと自分を納得させた。 端末代もけちって、スピードが遅いのを承知で、以前に使っていたP902iを使うことも考えたのだが、ドコモに問い合わせたところ、HIGH-SPEED対応端末でしか定額データプランを利用できないとのことであきらめた。 ●端末をコートと一体化 契約を済ませて自宅に戻り、さっそく接続を試してみた。ドコモの定額データプランでは専用のソフトのインストールが必要で、そのソフトを使わなければ接続ができないことになっている。 まず、PCと端末を手持ちの充電対応USBケーブルで結ぶと、Windows Vistaなら、Windows Update経由で通信ドライバがダウンロードされて自動的に組み込まれる。デバイスが認識されたところで、ドコモのサイトから専用ソフトをダウンロードしてインストールし、ウィザードにしたがって作業を進める。このウィザードの中でプロバイダーであるmoperaUのIDやパスワードなどを決めることになる。 専用ソフトはウィザードの中で、モデムとして認識された端末を検知し、Windows標準の接続先エントリを作り、それを使って接続する仕組みになっている。端末にはAPNとして各接続先が登録されているが、定額専用アクセスポイントはその4番目で、*99***4#が接続先電話番号となる。 接続してスピードテストをしてみると、ラクに2Mbps程度は出ているようだ。 試しに、専用ソフトを終了させ、自動作成された接続先エントリを使って手動で接続したところ、接続と認証自体はうまくいくが、そのあと、インターネットに出て行くことができない。いろいろ追い詰めていったところ、tracertが使えるので名前解決やICMPは通っているようだ。ipconfigの結果を見てみると、IPアドレスも通常のものが割り当てられている。 一方、専用ソフトを使って接続すると、新たにIPv6アドレスが用意され、6to4トンネリングかISATAPを使ったデータ通信が行なわれているように見える。専用ソフトは、そのトンネルを生成するために必要だということらしい。IPv6アドレスは、2002から始まるので、おそらくそうなっているのだと思う。 有線での接続がうまくいったところで、Bluetoothでの接続に進む。Bluetoothは以前に紹介したプリンストンのUSBアダプタ「PTM-UBT3S」を使った。本当なら製品付属の東芝スタックを使わなければならないところだが、装着したら自動的にWindows標準のMicrosoftスタックで利用できるようなので、そのまま使っている。 P903iXとアダプタをペアリングすると標準Bluetoothモデムが自動生成された。この状態で専用ソフトで再検索すると、そのモデムが検出されて、接続用モデムの選択肢に加わる。ここで指定しておけば、以降は、Bluetoothでの接続が可能になる。 残念ながら、スピードは200~300kbps程度しか出ない。試しに、手元で通話用に使っているP905iでBluetooth接続したところ400kbpsくらいまではスピードアップする。おそらくこれは、端末がEDRに対応しているかいないかの違いだろう。 300kbpsというスピードは確かに遅い。だが、先日まで滞在していたラスベガスのホテルにおける無線LANサービスよりは、ずっと快適だ。それに、スピードが必要な場合は、USBケーブルで接続すれば、2Mbpsを超える。だからぼくは、ノートPCからはみ出る異物の出っ張りを極力少なくする方法を選ぶことにした。イー・モバイルのCF端末の突起に比べれば、プリンストンのアダプタの出っ張りは微々たるものだ。PCがBluetooth内蔵であれば、その出っ張りもなくなる。 これで電車内など、数分間の接続にはBluetoothを使い、コーヒーショップや会議室などで腰を据えて使うときにはUSB接続で充電しながら使うということができるようになった。冬場の外出では、必ずコートを着用するので、USBケーブルを装着しっぱなしの端末をポケットに忍ばせておくことにした。130gの重量は、少なくとも1kgを超えるコートのポケットに収まってしまえば無視することができる。今回は評価のために酷使したため、4日間でバッテリが空になったが、ぼくの普段の使い方では、どうも、そのまま1週間、電源を入れっぱなしで待機させていても充電の必要はなさそうだ。それに、万が一バッテリが切れたとしても、USBケーブルでつなげば充電しながら接続ができるという安心感もある。 ●300kbpsシームレスインターネットの使い心地 イー・モバイルに対してドコモが持つアドバンテージは、やはり、なんといってもそのサービスエリアの広さにある。都市部での利用ではイー・モバイルであまり不便はないが、いったん地方に出てしまうとイー・モバイルは役に立たなくなってしまう。さらに、都心にいても、イー・モバイルは現時点で地下鉄駅構内が全滅だ。だが、ドコモなら地下鉄駅もほぼ100% OKだ。 地下鉄駅では無線LANが使えるが、現状ではSSIDをブロードキャストしていないアクセスポイントが使われているため、Vistaでは自動再接続が機能しなくなってしまっている。1回目の接続とログインは仕方がないとあきらめるとしても、電車内で接続し、駅間で無線LANが途切れたときに、次の駅への到着時に自動接続しないと使い勝手が悪い。 だが、ドコモの端末は、駅間で圏外になっても、次の駅に着けば再接続し、PC側は何事もなかったかのように接続を維持している。地下鉄車内でほぼシームレスにインターネットが活用できる環境は思った以上に快適だ。Webの1ページを読んでいる間に一駅分くらいの時間は経過する。だから接続がその間切れてしまっていても、使いものにならないわけではないのだ。むしろ、シームレス感覚さえ感じるくらいだ。 最初にも書いたように、春頃になれば、イー・モバイル、ドコモともに端末が出揃い選択肢が増え、ハイスピードサービスの見通し、ローミングの料金やその詳細などがわかってくるだろう。その時点で契約を見直し、どちらかに整理することにしたい。 今後のドコモのサービスに期待したいのは、通常の音声通話サービスのオプションとして定額データプランを提供してほしいということと、専用ソフトの撤廃だ。 専用ソフトの使い勝手は、それほどひどいものではないが、やはり、接続先エントリをダブルクリックするだけで接続できるというのとは違う。常駐しているソフトを開き、接続ボタンをクリックし、認証を待ち、接続したことを知らせるダイアログボックスを閉じるという3ステップが必要なのはめんどうだ。それに、専用ソフトを介さなくてもよくなれば、PDAなどから使うこともできるようになる。 また、音声通話サービスのオプションとして契約できるようになれば、持ち歩く端末は1台だけですむ。冬はコートがあるが、春を過ぎ、夏になれば、持ち歩きに困るだろう。端末をカバンに入れておけばすむ話だが、カバンはその日によって変わる。端末を持ち出し忘れて困るのは目に見えている。でも、日常的にポケットの中に入っている通話端末が使えれば、そのリスクは激減する。パケ・ホーダイ、パケ・ホーダイフルに続く第3のオプションとして、ぜひ、検討してほしいものだ。
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(2008年1月18日)
[Reported by 山田祥平]
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