新型PS3ハードウェアレポート
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新型PS3 CECHH00 |
11月11日 発売
価格:39,980円
●ゲーム中でも少ない消費電力
前回のレポートでは、新型PS3の起動時の消費電力をお知らせしたが、各機能を使用した場合の消費電力をお知らせしよう。
旧型PS3が何かを再生しているときは190W台の消費電力なのに対し、新型では136~140Wにとどまっている。約4分の3ぐらいになったと言って良いだろう。
新旧PS3消費電力比較(単位:W) | ||
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動作状況 | 旧型PS3 | 新型PS3 |
起動時 | 170 | 117 |
DVD再生 | 198 | 140 |
Blu-ray再生 | 192 | 138 |
PS3ゲーム(リッジレーサー7) | 191 | 136 |
PS2ゲーム(ファイティングバイパーズ | 192 | x |
稼働中の動作音については、音質は似ているが、確実に静かになった。とくに、ファン関係の音が静かになった感じだ。ただ、2台並べるとわかるが、別々の環境で、1台だけ聞いて、それが新型か旧型かすぐに判断できるほどの差はない。2台並べると確実にわかるという感じだ。
なお、PS2対応ソフトをドライブにセットした場合は、「非対応のデータです」と表示されることがわかった。できれば「PS2対応ソフトです、再生できません」と種別を教えてくれた方が親切だったと思う。
PS2のゲームディスクは新型PS3では「非対応のデータ」として表示される |
●HDDは外部から交換可能
まず、外側から唯一アクセスできるHDDを見てみよう。カバーをはずすと、スライド式にHDDが引き出せるようになっている。
ここは日立GSTの2.5インチSATAドライブが使用されていた。インターフェイス類も通常のもので、特注品ではなく、一般品または、それにごく近いものと思われる。
分解せずにアクセスできるHDD | 日立GST製2.5インチSATAドライブが使用されていた | 奥にコネクタが見える |
■■ 注意 ■■・分解/改造を行なった場合、メーカーの保証は受けられなくなります。 |
●すっきりとした本体内のレイアウト
では、分解にかかろう。
まず、SCEIの製品では恒例となっている「警告シール」を剥がす。このシールを剥がすと一切の修理がしてもらえなくなる。また、いったん剥いだシールには「VOID」の文字が浮かび上がる。
本体底部、HDDの上にある警告シール。はがすとこのように文字が浮かび上がる | 警告シールをはがした状態。奥にネジが見える |
シールの下の特殊ネジをはずし、表側のカバーをスライドして外すと、ネジが見えてくる。ここからは通常のプラスネジだ。
以前は、本体を2つに分けた上下間にケーブルが張り巡らされている印象だったが、新型ではほぼすべての機能が下側にまとめられており、上側は単なるカバーになっている。
カバーをはずすと、黒い樹脂製の電源ユニットと、金属製のBlu-rayドライブが表われる。この2つで本体のほとんどを占めているのは、旧型と同様だが、電源はずっと軽快になっている。
電源からマザーボードへの接続はソケット式になっている。これも旧型からの継承だが、専用設計の電源ユニットならではの仕様だ。
電源とBlu-rayドライブをはずすと、シールドが表われる。シールドの面積は旧型の3分の2ぐらいしかない。
シールドをはずして表われたマザーボードは、かなり小さかった。マザーボードはレイアウトがすっきりしており、もちろんジャンパ線などは飛んでいない。
中央にあるRSXとCellの間は、かなり密に線が走っている。いずれもヒートスプレッダのためにコアなどは見えないが、Cellの方は裏側からみるとコアの大きさが推測できる。
RSXについてはヒートスプレッダをはずすと、コアサイズは従来と同じように見える。なお、ビデオメモリはQuimonda製となっていた。
表面カバーは薄く、このようにスライドしてはずす | はずした本体上部 | 本体上部には、このメモリーカードスロットのガイド以外の部品はない |
本体上部に記された日付は2007年9月12日付けだった | 本体上部をはずした状態。左が電源、右がBlu-rayドライブ | Blu-rayドライブはスロットイン式 |
電源とBlu-rayドライブの側面 | 電源部の後方。一番、複雑な配線でもこの程度 | Blu-rayドライブ後方にある無線LANアンテナと思われる部品 |
Blu-rayドライブの信号線は、ドライブの腹にコネクタがある。さすが専用設計 | 左に2本見えるコンセントのような突起はマザーボードのもの、右に置いた電源にそのままはまる。これも専用設計ならではだ | 電源とBlu-rayドライブをはずした状態。旧型に比べシールドの面積がずっと小さい |
電源ユニットの外観 | 本体のカーブにあわせて、このような形になっている | 電源ユニット仕様 |
左手の小さなシールドをはずすと、HDDのマウント部が見える | HDDのマウント部 |
通信関係を集めたサブボード | サブボードの裏にはUSB端子が直付けされている。ケーブルの先は無線LANアンテナ | サブボード上の主要チップ |
これでようやく、マザーボードにアクセスできる。ヒートシンクのリテンションから外す | マザーボードを取り出した状態 | マザーボード全景 |
マザーボードのサイズ | 電源ユニットに接続するソケット |
マザーボード表面 ※別ウィンドウで大きな画像が開きます |
マザーボード裏面 ※別ウィンドウで大きな画像が開きます |
RSX | Cell | RSXとCellの間には信号線が何本も走る |
Cellヒートスプレッダのサイズ | RSXヒートスプレッダのサイズ |
マザーボード背面から見たCellのコアサイズ |
RSXのヒートスプレッダの下にはコアと4個のメモリが隠れている | メモリはQimonda製だった |
ヒートシンクはかなり小さい。素材はアルミ製とおもわれるが、重量も軽い。ヒートパイプが走り回っていた旧型とは、だいぶ様子が異なる。動作中の消費電力と冷却機構の差からみて、少なくともCellは65nmと断言して良いだろう。ファンも口径は大きいが軽快なものに変わっている。
マザーボードをはずした状態 | ファンの口径はあまりかわらないが素材は軽い物になっている | 旧型と異なり、ファンの下にはヒートシンクはない |
ヒートシンクはかなり小さくなった | Cell用とRSX用は独立している | 高さは低い |
背面パネルは独立した部品になっている。仕様の変更にも対応しやすい | 底面パネルの製造日付は2007年10月5日になっていた | 底面パネルの刻印。いくつか仕様があることが推察される |
旧型PS3は、筐体に対して発熱が大きく、力ずくで冷却していた印象だった。これに対し、新型PS3は、筐体の容量に対して常識的な割合の冷却機構となっており、バランスがよくなった印象だ。
また、各部品の位置や取り付け方についても、錯綜した印象だった旧型に対し、新型はすっきりした。たぶん、組み立ても筐体を固定した状態で行なえるようになっており、生産性は大きく向上していることが推察できる。
個人的な感想ではあるが、ハードウェアの完成度は新型の方がずっと高い。PS2互換機能とSACD再生機能について、妥協できるのであれば新型の購入をお勧めしたい。
なお、振動対応のワイヤレスコントローラ「DUAL SHOCK3」も到着しているので、Blu-rayドライブの内部構造と合わせて、近日中にレポートしたい。
□PlayStation.com(Japan)
http://www.jp.playstation.com/
□新形PS3 CECHH00製品情報
http://www.jp.playstation.com/hardware/ps3/cechh00.html
□関連記事
【11月12日】「新型PS3 CECHH00」ファーストインプレッション
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/1112/ps3.htm
【2006年11月11日】PLAYSTATION 3ハードウェアレポート【速報編】
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1111/ps3.htm
【2006年11月11日】PLAYSTATION 3ハードウェアレポート【部品編】
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1111/ps3_2.htm
(2007年11月12日)
[Reported by [email protected]]