|
ロジクール「MX Revolution」ファーストインプレッション
9月15日 発売 直販価格:12,800円 ロジクールの新機軸マウス「MX Revolution」を試用する機会を得たので、そのファーストインプレッションをお届けする。 ●クリックなしへの潮流に待ったをかける新技術 この製品の特徴は、回したときのクリック感を自由にON/OFFできる「MicroGearプレシジョンスクロールホイール」にある。これまでのほとんどのホイール付きマウスはクリック感がありのものだった。ところが、近年になってホイール感のないスムーズスクロールマウスが登場するようになった。 長年使ってきたというのも大きいが、PCゲームもプレイする筆者としては、クリック感は必須だ。というのも、ゲーム内でのホイールの役割はほとんどが武器の切り替え。そのため、クリック感がないと、武器の切り替えに手間取ったり、誤ったものを選択してしまう。 また、仕事の上でも、画像や文字の大きさなどを1段階変えたいときなども、クリック感があれば行きすぎたりすることがない。 クリックなしの利点は画面のスクロール時だろう。Webではそこまで縦に長い文章は少ないが、何百ページもある資料やスプレッドシートをスクロールするときは、クリック感がない方がストレスが溜まらない。 言い換えるなら、一般的なビジネス用途ではクリックのない方が便利、とメーカーは考えているようで、実際マイクロソフトは、ゲーマー向け以外のマウス新製品は、全てクリックなしのホイールを採用している。 そういった状況の中、クリック感のありなしを両立させる新技術を投入してきたロジクールのチャレンジ精神には非常に好感が持てる。成熟しきったと言っても過言ではないマウス製品だけに、奇をてらって差別化を図っただけと見る向きもあるかもしれないが、一定のブランド力を得ている現状に甘んじず、新しいことを行なおうとする姿勢には見習うところが多いだろう。
●MicroGearプレシジョンスクロールホイールの使い勝手
それでは、この新ホイールの使い方や使い勝手について見てみよう。デフォルトの設定では、クリック・トゥ・クリックとフリースクロールのモードを自動で切り替える「SmartShift」が有効で、開始モードはクリック・トゥ・クリック、モード間の手動シフト許可はON、フリースピンへの自動シフトもONになっている。 モード間の手動シフトというのは、ホイールをクリックすることで両モードを切り替える機能。手動シフトでフリースピンモードに切り替えると、もう1度ホイールをクリックするまで、フリースピンモードに固定される。 フリースピンへの自動シフトは、一定以上の速度でホイールを回したときにフリースピンモードへ自動移行させる機能で、ホイールを止めるとクリック・トゥ・クリックモードに戻る。移行させる際の速度はユーザーが設定できる。 また、Outlook Express/Word/Excel/PowerPoint/Internet Explorer/Acrobat 7.0については、プリセットが用意されており、例えばInternet Explorerでは、フリースピンモードが標準になっている。このプリセットもユーザーが変更が可能だが、これ以外のアプリケーションも追加指定すると、アクティブになるごとに自動的に設定が切り替えられる。 クリック・トゥ・クリックモードでのクリック感は、個人的にはやや弱めという感じもするが、少し回すごとに確実にカチカチッという感触が指に伝わってくる。 一方の、フリースピンモードはこのクリック感がなくなるわけだが、単にクリックがないだけではなく、回したときの抵抗感がほとんどなく、勢いよく回すと最大で7秒間も回転を続ける。ホイールの加速設定にもよるが、標準設定のExcelでは1回ホイールを回すだけで、7秒間で4千行以上もスクロールする。もちろん、ホイールの回転を指で止めれば、スクロールもピタッと止まる。 そして、フリースピンへの自動シフトをONにしておくと、普段はクリックありで使っておき、大きくスクロールさせたいときに、速く回すとフリースピン状態になり、ホイールを止めるとまたクリック感が戻る。 この使い勝手だが、評価期間が数日しかないこともあり、まだどういう局面で上手に利用できるのかが見えてこない。数千行あるようなスプレッドシートなどなら、いいのだが、日々の作業で編集するのは、長くても千行程度のHTMLドキュメントで、その中でもさわるのは500行あたりの場所なので、ホイールをガッと回すとすぐに通り越してしまう。 数十から百ページ程度のPDFの資料を読むこともあるので、試してみた。確かに1回ホイールをはじくだけで、高速スクロールしてくれるのは心地よいが、スクロールに画面の描画が間に合わず、白紙のページが流れていってしまい、どこで止めたらいいのかが分からない。 もちろん、ホイールを回したときのスクロール速度は調整できるが、アプリケーションごとに微調整していくのは結構面倒な作業。そういうわけで、個人的にはホイールをクリックしてモードを切り替える方式が気に入っている。 自動シフトモードで、フリースピンに移行して、あっという間に目的の場所を通り越してしまうのは、移行時にある程度の加速度がついてしまっているからで、手動シフトでフリースピンに固定しておけば、もっとゆっくりとした速度でホイールを回転させられるし、加速度の調整も楽だ。 また、自動シフトモードではアプリケーションごとではなく、ウィンドウごとに今どちらのモードなのかをちゃんと覚えていてくれるので、同じアプリケーションのウィンドウを複数開いている時も、ホイールの設定が勝手に変えられることがない。 とはいえ、自動シフトの有用性を否定しているわけではない。自動シフトの方が便利という人もいるだろうし、むしろ自動/手動の両方の切り替え方法が用意されていることがSmartShiftの訴求点となるだろう。 ●そのほかの特殊ボタン そのほかの特殊ボタン等についても触れておこう。「One-Touch Search」と呼ばれる検索ボタンは、テキストを選択して押すと、検索エンジンで検索を行なってくれる。利用できるのは、GoogleとYahoo!で、言語も指定できる。 割と重宝される機能だと思うが、ホイールのチルトによる横スクロールより、マウスカーソルをスクロールモードにして、マウスの移動でスクロールさせる方が好みなので、スクロールボタンに割り当てて使っている。ちなみに、このボタンに特定のキーストロークを割り当てたり、メディアプレーヤーを起動させるホットキーにもできる。 「ドキュメントクイックフリップ」は、見た目はMicroGearプレシジョンスクロールホイールと同じなのだが、レバーのように手前に引くか、奥側に押すかしかできない。これを使うとアプリケーションの切り替えウィンドウが表示され、切り替えを行なえる。 これも個人的には、Alt+Tabキーでの切り替えに慣れているので、ズームイン/アウトとして使っている。仕事柄、毎日多数のWebページを見るが、最少フォントだと小さすぎて読めないサイトもあるので、そういうときにフォントのサイズを変更するのに利用している。 Ctrl+ホイールの操作でもズームイン/アウトやフォントサイズの変更はできるが、フリースピンモードの時は、一段階ずつの変更が難しいので、ドキュメントクイックフリップでやる方が確実だからだ。 最後に本体全体についての感想を述べると、人間工学に基づいたデザインというだけあって、手に良くなじむ。また、両側面はラバー仕上げなので、滑ることがない。 大きさも、手の小さい筆者が使っても、親指を無理に伸ばしたりしなくても、戻るボタン等にアクセスできるのがうれしい。だが、手の大きな人に試してみてもらったところ、戻るボタンが手前過ぎるという返答が戻ってきた。 ●ネックは価格か
ホイールのフリースピンの具合は、もう少し時間をかけて慣れさせたり、ユーティリティで微調整を行なう必要があると感じたが、機能自体は気に入った。惜しむらくは、もう少し価格が安ければ、より多くの人が興味を持って試すのではと思う。 この手の製品を購入するのは、同社のファンや、新技術に興味のある人たちで、そういうユーザーは一般ユーザーよりも積極的に投資を行なうが、マウスに12,800円というのは躊躇してしまう人もいるだろう。 特に残念なのが、製品パッケージ。このパッケージにはMicroGearプレシジョンスクロールホイールがどのように機能するのかが具体的に書かれていない。もう少し、詳しく書けば、購入を考えている人の背中を後押しするのにと思う。 ただし、この機能をきちんと理解すれば、価格は妥当なものだと思えるだろう。もし、店頭などで見かける機会があったら、ぜひ一度試してみて欲しい。 今回試していないが、参考までに「VX Revolution」も写真にて紹介する。
□ロジクールのホームページ (2006年8月25日) [Reported by [email protected]]
【PC Watchホームページ】
|
|