塩田紳二のPDAレポート

特色のある2つの電子ペン



 Logitechの「io Digital Pen」については、以前に紹介したが、その後継製品である「io2 Digital Pen」が発売されている。今回はio2 Digital Penと、同じくANOTO技術を使うNOKIAの「Digital Pen SU-1B」について紹介しよう。

●io2 Digital Penとは

 Logitechのio2 Digital Pen(以下io2と略し、以前の製品をio1と略す)は、ANOTO技術を使い、専用ノートパッドなどに書き込んだペンストロークを記録することができる電子ペンだ。以前紹介したio Digital Penの後継機種(2004年9月11日発売)にあたる。Logitechが米国、EU圏などで販売しているが、日本法人であるロジクールからは販売されていないので、米国取材の折に入手した。

 なお、概要については、以前の記事を参照して欲しい。

●io2のハードウェア

 io2と従来機種のio1の違いは、ペンの大きさである。io1は、かなり太くて、条約文書に署名する万年筆みたいなものだったが、io2では、最も太い部分で直径で4mm程細くなった。実際に持ってみても、かなり細くなった印象だ。

Logitechのio2。以前のio1に比べると細く、短くなって普通のペンらしくなった io2(写真奥)とio1(写真手前)の比較。最大幅の差はわずかに4mmしかないが、見た目の印象や持ったときの感じは大きく違う io2のインジケーター部。メモリ状態、バッテリ状態を2色のLEDで表示。動作中は、これが点灯していて電源オンであることを表す

 io1のクレードルは、ペンをさしたときに倒れないように重りが入っており、クレードルからUSBケーブルが直接でていた。さらにPC側のUSBコネクタ(シリーズA側)の根本にACアダプタからのケーブルを接続するようになっていたため、お世辞にも持ち歩きに便利というものではなかった。デスクトップで固定して使う分には問題ないのだが、旅行先でもPCに取り込みたいなんて場合には、ACアダプタとクレードルをセットで持ち歩かなければならないため、ちょっと不便だった。

 しかし、io2に付属するクレードルは、持ち歩き用の「Travel Cradle」で、折り畳むとコンパクトになり、また、USBケーブルは直接クレードルから出ているものの30cm程度と短く、取り扱いが便利になった。最近のデスクトップPCではフロント側にUSB端子が出ているし、USB延長ケーブルを使えば、背面のUSB端子であっても接続は可能だ。また、USB充電となって、ACアダプタが不要になった。

io2に付属するTravel Cradle。平たく畳むことができ、ケーブルをまとめるクリップも付いている クレードルを広げてio2をさしたところ。重りは入っていないが、簡単に倒れてしまうことはない

●io2のソフトウェア

 ioシリーズに付属するソフトウェアは、「io Software」と呼ばれるが、io1ではVer.2となり、io2では、これをベースにしたVer.3が付属する。

 io1は、Explorerの拡張機能をベースにしていて、ページを記録したファイルの管理は、Explorerで行なっていたが、Ver.2からは、io Softwareにファイルの管理機能が加わった。また、Ver.2では、ページ内の図形や文字を認識する「MyScript Notes」と呼ばれるソフトウェアの評価版が付属していた。

 io2では、このMyScript Notesは、製品版が組み込みとなり、標準でページ上の文字や図形の認識が可能になった。もちろん、日本語化されている製品ではないので、文字認識は英語やフランス語、ドイツ語などの欧米言語(全部で6言語)のみである。

 ただし、ページ内の文字認識は、データのダウンロード時に行なわれ、PCに取り込んだページに関しては、MyScript Notesを使わなくても文字列による検索が可能になっている。Tablet PCでジャーナルに手書きでメモを書いたときと似ている。

 MyScript Notesでは、ページ内の文字や図形を自動認識し、文字コードとベクトル図形に変換を行なう。自動でもある程度の区別は可能だが、箱の中にある文字とか文字同士が矢印で結ばれているなど、文字と図形が隣り合うような状態ではさすがに完全に認識できない。一応、手動で、領域を指定して、そこを文字や図形に変換、あるいは手書きのままにしておくことが可能である。

 なお、io1とio2は、USBドライバが違うため、io2のソフトウェアでio1 Digital Penを使うことはできない。ただし、io1とio2のソフトウェアは共存可能であり、また、io2 Softwareは、io1のデータ(Ver.1、Ver.2)を読みこみ、自身の型式(Ver.3)に変換できる。このため、移行などには大きな問題はないが、io1とio2のDigital Penで同時に1つのノートに対して書き込みを行なった場合、それぞれのソフトウェアでダウンロードすることになるため、ストロークデータが別々のファイルになってしまう。

 ioシリーズは、同じページに書き込んだデータは、あとから追記すれば、先にダウンロードしたファイルに対して追加されるようになっている。なので、ノートをわけるか、io2に完全に移行するかのどちらかの使い方になるだろう。

io2のページデータ管理ソフト「io2 Software」。実行には「.NET Framework」が必要だが、日本語版でも動作した io2付属のMyScript Notesによるページ認識画面。これは何も設定を行なわず、ページ内の文字、図形、フリーハンド部を認識させたとき 領域を指定した場合とその認識結果。日本語の部分は、すべてフリーハンドに指定してある。何度も線を引いたページ中央右の部分以外は、わりと図形の認識がうまくいっている

●io用ノート

 io用のノートは、Logitechのサイトなどからオンラインで購入できるものの、製造は別メーカーになっている(米国、EU圏ともに日本への出荷はできないようだ)。また、米国とEU圏では、違うメーカーが販売を行なっているし、後述するNOKIAのSU-1B用のノートも違うメーカーが製造している。EU圏で販売されているioシリーズでは、米国で販売されている製品とは違う専用ノートが付属する。どうも、ペンとノートは違う契約になるらしく、1つのメーカーで全部を提供することはないようだ。また、米国とEU圏でメーカーが違うことなどから、地域を限定した契約になっているのかもしれない。

 米国で販売されているのは、Meadブランド(MeadWestvaco)のノートが付属し、EU圏では、Oxfordブランド(Hamelin Stationery Ltd)のものが付属している。

 Oxfordのものは、A4の横罫、A5の方眼用紙「Easybook」やB7サイズの「TinyPad」などがある。用紙のレイアウトは各社で微妙に違っている。ANOTO技術では、各ノートは個別のIDを持っていて、それぞれを識別できる。

 io Softwareは、このIDを使って、ページのイメージを切り替える。各ノートの先頭には、「New Note」というチェックボックスがあり、これをチェックすることで、以後のノートは、新しいノートとしてファイルが作られる。つまり、以前にダウンロードした同じノートの同じページのファイルへストロークが追加されるのではなく、新規にページに対応したファイルが作られるようになる。

 ノートによっては、ページ内にタイトル(サブジェクト)欄や、メール作成欄などがあり、io Digital Penで書き込んだり、タップすることで、ダウンロード以後の処理などを切り替えることができる。

 なお、タイトル欄などの文字列を記入する欄は、ICR(Intelligent Character Recognition)と呼ばれ、ここに書き込まれた文字は、io Softwareで自動的に文字認識され、ページのタイトルとしてページファイルのプロパティに登録される。

 後述するように、EU圏でio用に販売されているOxfordのノートブックは、SU-1Bでも利用できるし、裏表紙にあるストロークの色指定や線の太さの指定を行なって記入することも可能だ。SU-1B付属のノート(ESSELE、詳細は後述)のようにSend欄はないが、携帯電話が書かれた欄をタップしたのち、OK欄をタップすれば、SU-1Bでは、Bluetoothによる送信が行なわれる。

米国で販売されているCAMBRIDGE(Meadブランド)のA5ノート。下の部分は、自動文字認識用 EU圏でio2用として販売されているOxfordブランドのノート。A5の「EasyBook」とB7の「TinyPad」。同名の普通のノートのANOTO版になっている EU圏でioシリーズ用に販売してされているOxfordのA5 EasyBook。こちらは方眼で下の欄を見ると携帯電話とSU-1Bでの利用も意識しているようだ
OxfordのB7 Tinypad。作りは、SU-1Bに付属のものと似ているが、イメージサイズの大小ではなく、送信先を携帯電話にするかPCにするのかという欄になっている SU-1Bに付属していたESSELTEのA5 Notebook。こちらは携帯電話、PC接続の欄があるが、SU-1Bでは、PC欄をタップしたのち、Send欄をタップしてもBluetoothによる送信は行なわれなかった SU-1B付属のB7 notebook。ページ内には罫線はなく、右側に転送イメージサイズの指定と送信用のSend欄がある。また、裏表紙には、色や線の太さを指定するタブページがついている

●NOKIA Digital Pen SU-1B

 Logitechのio Digital Penと同じANOTO技術を使い、Bluetoothで携帯電話と接続が可能なのがNOKIAのSU-1Bである。2003年に発表され、同年の第3四半期の出荷となっていたが、入手が容易になってきたのは昨年ぐらいから。特に、国内では、ノキア・ジャパンの製品として、英語版のまま販売が開始され、海外に行かなくても入手できるようになった。筆者は、海外取材のときにアムステルダム空港の免税店で入手した。価格は190ユーロ(140円換算で27,000円弱)だった。

 入手したパッケージは、初期の製品だったようで、ファームウェアをアップグレードしないと、携帯電話などとのペアリングが行なえなかった。筆者は、これをボーダフォンの702NK(NOKIA 6630と同タイプ)と組み合わせて使っている。

 このSU-1Bも、専用のノートに書いたストロークを記録し、USB経由または、Bluetooth経由で携帯電話やPCに送信できる。

●パッケージ

 筆者が購入したSU-1Bには、ペン本体、ACアダプタのほかに、USBクレードルとUSBケーブル、B7ノートパッド、A5ノートパッド、2枚のラミネートカード(予定/アドレス入力用、MMS用)、CD-ROM、印刷した説明書などが同梱されていた。

 ノートパッドやラミネートカードは、ESSELTEのもので、B7は罫線のない自由欄タイプ、A5は横罫のものである。MMS用のラミネートカードは、表がメッセージ記入欄、裏が、ストロークの色や太さの指定用。予定/アドレス入力用も両面になっていて、片側が予定(Meeting)入力用、もう一方がアドレス帳(Contact)入力用である(これについては後述)。表面加工がしてあり、SU-1Bなどで書き込んでも、インクを拭き取り繰り返し利用することができる。もっとも、強く書き込むと後が残ってしまうが。

 ACアダプタは、NOKIAの携帯電話用のものが流用でき、前述の702NKと同じものが付属する。ただし、筆者はアムステルダムの免税店で購入したため、電源コネクタはEU圏仕様だった。ACアダプタ自体は、全世界対応であるため、電源用の変換コネクタを用意すれば日本の電源コンセントでも利用することができる。

SU-1Bパッケージに付属してきたノート類。B7、A5のノートブックとラミネートカードが2枚 付属のラミネートカード。カレンダー入力(Meeting)とアドレス入力(Contact)が裏表になっている
付属のラミネートカード。このカードでメッセージを作る場合には、毎回左上のNew note欄をタッチしてSU-1B内のメモリをクリアする必要がある

●ハードウェア

 SU-1Bは、サイズ的には、前述のio2とあまり変わらない。

 スペックでは、内蔵メモリは1MB、A5サイズのノートで100ページ分を格納可能ということになっている。

 バッテリは、リチウムポリマー充電池で、クレードル経由、あるいは本体後部の電源コネクタから充電を行なう。

 スペック上は、フル充電時に動作2時間以上、キャップをつけたスタンバイ状態で10時間以上持つことになっている。付属ソフトウェアの表示だと、フル充電で動作時間3時間30分程度、スタンバイ時間で21時間30分程度になっていた。

 Bluetooth Ver.1.1に対応し、GAP(General Access Profile)、SPP(Serial Port Profile)、OPP(Object Push Profile。オブジェクト交換プロファイル)、DUN(Dial-up Networking Profile)の各プロファイルをサポートしている。Bluetoothによるページデータの送信時には、オブジェクト交換プロファイルが使われる。

 USBは、USB 1.1対応で、接続には専用のドライバを必要とする。

 付属のMeeting/Contactラミネートカードだが、これは、Bluetooth経由でのみ利用可能で、予定表データをvCalendar型式、アドレス帳データをvCard型式としてオブジェクト交換プロファイル経由で送信するもの。ただし、筆者の環境では、文字入力を行なうことができなかった。

 Meetingの日時やアラームのオンオフは正確に転送されるが、カード下部にあるキーボードの部分をタッチしても何も反応がなく、転送されたデータにも何も入らない。最近の製品には入ってないとの話もあり、入っていたのは筆者の購入したパッケージが古かったからかもしれない。だいたい、Meetingの日時指定は2005年までしかなく、来年以降の入力も行なえない。まあ、オマケで入っていてラッキーというものなのかも。

SU-1Bは、Bluetoothを内蔵したANOTOペン。USB経由でPCと接続することも可能 SU-1Bのインジケーター部。白色LEDが使われており、銀のミラー部分にある。LEDは3つで、写真左からバッテリ、Bluetooth、電源状態の表示になっている SU-1Bのクレードル。わずかに角度がついていて、SU-1Bをさすと斜めのラインがそろうようになっている。コネクタは、後部の奥まったところにあり、背面にあるNOKIAのロゴの下をケーブルが通るようになっている

●SU-1Bの動作

 SU-1Bは、専用の用紙に記入したストロークを記録する。ANOTO技術では、ノートの種類やページを区別するため、一度に複数のノートを使っても、複数ページを同時に記録しても、ストロークが混ざってしまうことはない。

 また、このSU-1Bは、同種のノートなら、新しいノートに変更しない限り1度記録したストロークをページごとに記憶したままになっている。このため、他のページを記録したのち、また元のページに戻ってきて追記しても、ちゃんとページのイメージを保存できる。

 スペック上は、A5ノート100ページを記録できるため、基本的には、容量不足になるようなことはないと思われる。ANOTO技術では、同種のノートを区別することはできないが、違う種類のノートは、区別可能であり、付属のB7とA5のノート、あるいは他のANOTO用ノートは同時に利用してもページが混ざることはない。

 前述の702NKに対してBluetoothでページデータを送信すると、受信箱にGIFデータとしてページイメージが入る。あとは、これをメールの添付データとして送信したり、画像として保存するなどを行なえばよい。

 すべてのページを保存しているのは、Bluetooth経由では、画像データとして携帯電話にページイメージを送信するため。過去に記録したストロークをすべて記録してあるため、追記した場合でもちゃんと正しいページイメージを構成することができるわけだ。

 なお、ペンをフルリセットするか、新規ノートの利用を開始すると過去のページデータは消去される。新規ノートの利用は、各ノートの先頭ページにあるNew Notepad欄をペンでタッチすることで行なわれる。

SU-1Bに付属のDigital Note Viewer。USBドライバやストロークデータ転送ソフトと組みになっており、SU-1Bからの転送が終わると自動起動する

 PCとUSB経由で接続するには、付属のCDから「NOKIA Digital Pen Application Suite」をインストールする。これは、USBドライバや、ページデータの転送ソフト、データビューアーなどが含まれたもの。付属のクレードルを使って、PCとSU-1Bを接続すれば、自動的にページデータのダウンロードが行なわれ、その後、「Note Viewer」が起動する。ここからは、Word、PowerPoint、Outlook(メール)などにデータをエクスポートすることが可能。

 なお、PCに保存される場合のページデータは、ioシリーズのものとは違った型式になっている。また、ioシリーズと、SU-1BのUSB接続は、ペンの検出機構が同じであるため、io softwareとNOKIA Digital Pen Application Suiteは同居させることができない(SU-1Bを接続するとio softwareが起動してしまう)。

●Bluetoothで携帯電話以外と接続する

 SU-1Bは、PCとBluetoothで接続することも可能である。ただし、SU-1Bは、ペアリング先を1つしか記憶していないので、携帯電話とPCの両方とBluetoothで接続するには、そのたびごとにペアリング処理を行なう必要がある。これはちょっと面倒だし、実際のページイメージは、USB経由でもPCにアップロードできるので、PCとはUSB経由、携帯電話とはBluetooth経由という使い方のほうが便利だ。

 オブジェクト交換プロファイル(OOP)は、多くのBluetoothスタックでサポートされているので、Bluetoothがサポートされている機器ならば、ほとんど相手を選ばない。Windowsマシンでは、Bluetoothスタックが、マイドキュメントあたりに受信したオブジェクト(ファイル)を保存するフォルダを設定しているはずである。SU-1Bでノートの「SEND」欄をタッチしたあと、設定されたフォルダに「Jot-xxxx.gif」(xxxxは4桁の数字)というファイルができているはずなので、これを表示させればよい。

 なお、このSU-1Bは、自身が持つサービス(プロファイル)を正しく伝えることができないようで、Bluetoothスタックによっては、エラーとなってペアリングが行なえないことがある。筆者の手元にある東芝のDynabook SS MXに付属する東芝製のBluetoothスタックでは「サービスの検出に失敗しました」というエラーとなりペアリングは行なえなかった。しかし、IBM ThnikPad A31P用のBluetoothスタック(Widcomm社のOEM)では、エラーは通知されるものの、ペアリングが可能だった。

 携帯電話やPDAなどでもペアリングは可能なので、東芝のBluetoothスタックの実装に原因がありそうである。東芝はBluetoothの提案メーカーの1つでもあるし、仕様に厳密すぎるのかもしれない。

 Palm系OSで使う場合、標準でGIFファイルを表示するアプリケーションがないため、まずは、GIFファイルの表示可能なアプリケーションをインストールしておく必要がある。Palm OSのメインメモリはデータベースになっており、PCでいうようなファイルを扱うことができず、必ず対応のアプリケーションを必要とする。このため、Bluetoothのオブジェクト交換プロファイルでオブジェクトを受信する場合、かならずオブジェクトを解釈できる対応アプリケーションが必要となる。

 Palm OS用の最近のソフトウェアであれば、サポートするデータ形式をBluetoothのOOP経由で受信したときに自身のデータとして受信する機能を持っている。とりあえず、評価用に「Grx View」(inDev Sofware)をソニーの「CLIE UX50」にインストールして使ってみたが、正しくページイメージが転送できた。

 Pocket PCの場合、ペアリングを行なっておけば、PCと同じくページ送信で同じようにGIFファイルを受信できる。Pocket PCでは、PCと同じファイルとしてデータを扱えるため、受信するだけなら、特にソフトウェアをインストールする必要はない。GIFファイルは、My Documents以下に保存される。筆者が使っているHPの「rx3200」では、付属の「HP Image Zone」でgifファイルの表示が行なえた。

●io2 vs SU-1B

 どちらもANOTO技術を使い、ノートなどは共有できるものの、この2つの使い道は少し異なる。io2は、メモ中心的な使い方に向く。もちろん、電子メールの送信用に利用できるし、WordやOutlookなどへの自動登録もできる。しかし、接続にはUSBが必要で、接続先もPCに限られる。

 これに対して、SU-1Bは、Bluetoothによるワイヤレス接続が可能で、1度ペアリングしておけば、手軽に利用できる。特に携帯電話で、手書きや絵入りのメモをメール送信できるのは便利。また、入力中は、ペンとノートだけなので、どこでも使えるし、わざわざケーブル接続する必要もない。もう1つ、Bluetoothは物理的なコネクタ形状に依存しないので、携帯電話でも、PCでも、PDAでも、Bluetoothさえサポートしていれば、接続できて利用できるのは便利な点。

 ただし、画像ファイルとしてページのイメージを扱うので、あとから再利用するなんてことはあまりできない。この点、io2では、ページイメージを文字認識したり、図形データに変換でき、再編集したり、他のアプリケーションに取り込んで利用するなんてことが可能。SU-1BでもPCとUSB接続すれば、Wordなどでベクトル型式のデータを受け取れるのだが、Bluetoothの手軽さに比べるとUSB接続はちょっと面倒な感じがある。

 ioシリーズは、各ストロークを日時とともに記録しているため、ファイル(.penファイル)を解析すると、そのストロークがいつ書き込まれたのかを知ることができる。ファイルは、XML型式で、ストロークデータは、ZLIBで圧縮されたのち、BASE64エンコーディングされてXMLタグ(Layersタグ)として保存されている。なので、ちょっとしたプログラムを書くことで、これらの情報を取り出すことも可能だ。また、単にページがいつ書かれたのかを知りたいなら、ファイル中の“<FirstStrokeDate>”タグで囲まれた日時を見ればよい。

 io2は、PC専用で、出先でメモを取り、デスクトップPCに戻ってきたら、データをアップロードして保存という使い方、SU-1Bは、Bluetooth対応の携帯電話やPDAとともに出先で利用という位置づけになるのだろうか。

 同じANOTO技術を使うため、ノートブック自体はどちらも共有可能なのだが、ioシリーズ専用のものは、SEND欄がないため、SU-1BのBluetooth経由では利用できない(USB接続でPCにページデータとしてはアップロード可能)。逆にSU-1B付属のものなどはio2ではそのまま利用できる。また、io2用でもヨーロッパで販売されているOxfordブランドのものはSU-1Bでの利用が考慮されている。

 なお、Logitechは、2005年3月のCebitで、ioシリーズのBluetooth対応を発表している。SU-1Bと同様な機能を持つioシリーズを開発していて、今年の夏には製品化するようだが、プレスリリースは「2005年夏には、ビジネス・ソリューション・プロバイダーが入手可能」という表現になっており、ioシリーズのように一般販売されるかどうかはまだ不明だ。筆者的には、現在のioのデータフォーマットのまま、Bluetooth接続できる機種を望みたいところなのだが……。

□Logitechのホームページ(英文)
http://www.logitech.com/
□NOKIAのホームページ(英文)
http://www.nokia.com/
□製品情報(英文)
http://www.logitech.com/index.cfm/products/
features/digitalwritingtopics/US/EN,CRID=2095,
parentCRID=1545,contentID=9246
(io2 Digital Pen)
http://www.nokia.com/nokia/0,4879,5787,00.html(Digital Pen SU-1B)
□関連記事
【2003年2月3日】【塩田】専用パッド不要の手軽な電子ペン
「Logitech io Personal Digital Pen」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0203/pda12.htm

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(2005年5月10日)

[Text by 塩田紳二]


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