[an error occurred while processing the directive] |
アップルストア銀座が報道関係者向け内覧会を実施
|
スティーブ・ジョブズCEO |
11月30日午前10時開店
銀座三丁目、松屋の正面に位置するアップルストア銀座。今日は報道関係者向けの内覧会ということだが、同社の狙いどおりにたまたま通りがかった一般の人々も興味深げにのぞき込む様子が多くみられる |
“アップルストア銀座”は、現在全米で72店舗を展開するApple Computer直営店のもっとも新しい店舗ということになるが、同時に初めての海外店舗にあたる。
ジョブズCEOは、銀座は世界有数のショッピングストリートであるとして、ここに店舗を構えることの重要性をあらためて強調した。また決して芳しい状態とは言えないPC業界全般のなかで、着実な成果をあげているのは同社とDell Computerの2社であると位置づけ、Webによる直販と直営店展開が奏功しているとした。
実際、2年半前に同社が直営店展開に乗り出した際は否定的な見方も少なからずあったが、すでに2,000万人を超える来客を得て直営店ビジネスは黒字で推移していることを明らかにしている。
またジョブズCEOは銀座店について前述した立地面での優位性から、ここに直営店があることを知ったうえで訪れる客以上に、たまたま銀座を歩いている人に対して同社製品をアピールすることができる“攻めの店舗”になると説明している。特に日本で初めてとなる店舗ではあるが、主要購買層である日本人に加えて、銀座を訪れる外国人観光客にも訴求力を持つ店舗になると考えているようだ。
ワールドワイド直営店担当上級副社長のロン・ジョンソン氏は、2001年5月の第1店目をオープンして以来、13日に一店のペースで開店しているApple直営店では約50%の客が自身で最初となるMacintoshを購入していると説明した。また、97%の購入者が友人にアップル直営店を奨めているというデータを示して、直営店における顧客満足度の高さを強調した。銀座店については、全米の店舗以上に人口密集度が高いことから、来店者数はより多数になると見込んでいるが、こうした直営店ならではのクオリティは維持し続けるという。
銀座店に勤めることになる店員数は約140名で、1,200名に及ぶ候補者のなかから採用されたスタッフだという。男女比は半々で、銀座店全体として10の言語によって来客とのコミュニケーションが可能と発表された。また店員のおよそ80%はWindowsについての知識を持ち、いわゆるPCからMacへの“Switch”についても十分な説明を行なった接客ができるものとしている。
11月30日に銀座店はグランドオープニングを迎えるが、この日は国内二番目となる店舗の構想も発表された。店舗の詳細な場所は明らかにできないとしながらも、2004年秋には大阪地域での開店が予定されている。
●全5フロアで構成される銀座店はエレベーターまでクリック不要!?
銀座三丁目の松屋銀座の正面、いわゆる銀座の目抜き通りに位置する銀座店は全5フロアで構成されている。全米展開されている直営店の多くは郊外のショッピングモールの1テナントになっているものが多く、そのほとんどは広い床面積を持つ1店舗ワンフロアが主流だ。ニューヨークSOHO店や、シカゴのミシガンストリートなど一部旗艦店は2フロア構成のところもあるが、店内のレイアウトなどはワンフロアの店舗が基準になっている。
狭い土地、高い地価という特徴からペンシルビル化している日本の店舗を、こうした海外店舗の基準に合わせるため、店内配置には工夫が凝らされている。代表的なものは、店舗正面に位置する2基のエレベーターだ。たとえばニューヨークSOHO店などは中央に位置する強化ガラスの階段がひとつのシンボルになっているわけだが、銀座店はエレベータがその役を担うことになるのだろう。
なんとこのエレベータには、ボタンがない。もちろん非常時のコールボタンや身障者向けの扉延長ボタンなどはあるのだが、本来あるべき開閉ボタンとフロア番号のボタンが一切ないのである。この2基のエレベータは常時反対方向にシャトル運転しており、各フロアごとに自動停止、自動運行を繰り返す。もちろん乗降が長引けば扉が開いている時間は延長される仕組みだ。製品でもワンボタンマウスによるシンプル操作にこだわる同社だが、こんなところにもこだわりを見せている。いわゆる箱と各フロアの扉部分は強化ガラス張りで、中からも外からも見渡すことでき、壁のアップルロゴが透けて見えるという演出も施されている。
3階にあるシアターは全84席で、全米の店舗と比べても最大数。デジタルフォトワークショップ、Pantherの紹介などをはじめ数々のセミナーが常時開設される |
まず1階にはPowerMac、iMac、PowerBook、iBookなどのPC本体が展示されている。2階は1階との吹き抜けがあり、同社のデジタルハブ戦略のもと、デジタルカメラ、デジタルビデオ、PDAなどが実際にハンズオンできる状態で展示されている。そして、3階全体がシアターエリアになっていて、1つ上の四階には各種周辺機器とソフトウェアが展示されている。つまり、製品をひととおり見ようとした際は、必ずガラス張りのエレベータから3階を通過(扉も開閉する)することでシアターの認知率を高めようとしているものと思われる。
また5階には、現在初台のオペラシティで定期的に行なわれているトレーニングコースの一部が移設されるほか、パーソナルトレーニングも実施される。これらは11,000円~(テキスト代含む)という有料のものだが、12月中に予定されているものはすべて定員に達しているという人気ぶりだ。
そのほか、エキスパートがユーザーの疑問に直接答えるジニアス・バー(GENIUS BAR)、キッズコーナーなど米国店舗ではおなじみの施設に加え、10数台のiMacが並んで自由にネットサーフィンできるインターネットカフェも用意されている。また、銀座店は機器トラブル解消の拠点ともなり、持ち込みによる修理依頼も受け付ける。バックヤードに修理のための設備を設け、ポータブル機なら数時間という持ち込み当日の持ち帰りを前提に、デスクトップ機でも48時間以内の修理完了を基準に機器トラブルへの対処を行なうということだ。
ジェネラルマネージャーのSteve Cano氏と、銀座店スタッフ。総勢140名になる銀座店のスタッフは、1,200名の応募から選ばれたという精鋭がそろう。男女比は半々。銀座店全体では10の言語によって来客とのコミュニケーションが可能という |
この銀座店を統べるジェネラルマネージャーが、Steve Cano氏。米国Palo Alto店を皮切りに、旗艦店舗たるニューヨークSOHO店の準備から立ち上げ、マネージングを担当した人物だ。その彼が初の海外店舗である銀座店を任されるということからも、同社がこの店舗に見せる意欲が見える。
Apple Store Ginzaは、11月30日午前10時に開店を迎える。来店者先着2,500名には記念品のTシャツがプレゼントされるが、消防法の関係上、店内に同時に入店できる人数には限りがある。開店初日は、行列になることは間違いないだろう。
(2003年11月27日)
[Reported by 矢作 晃]
|