新聞社辞めて、どうしてる?シリーズの番外編です。今回はアメリカの話。
PaperCutsなどで「この3年間で解雇された新聞社の従業員は4万5000人」などとされていますが、実は記者の全体数は、そう減っていない。むしろインターネットのおかげで、黄金時代を迎えつつあるというのです。
にわかには信じがたいでしょうけど、解説しているのがビジネスウィークの元上席アナリストのマイク・マンデル氏という方。挙げている数字を見ると、確かにその傾向がある。
同氏はマンデルのイノベーション&成長というブログで「ジャーナリズム市場の進化」(The Evolution of the Journalism Job Market)という題名で投稿しています(2010年7月30日付け)。
ご本人は世界各国を回り、ジャーナリズムと経済について話す際、普段は2つ指摘なさるそうです。
確信するには、理由があります。論文を書くに当たって、過去3年間のジャーナリズムの労働市場を研究したそうです。同種の研究は過去にも行っており、2009年9月、論文を2本書いています(これとこれ)。
その際、国家が行う最新人口調査(Current Population Survey =CPS)のデータを使ったところ、「ジャーナリズムの職業に於いて長期的に俗に言う所の下落を起こしそうな証拠は何も無い」との結論に達したのだそうです(2009年9月)。
それから9ヶ月が経ちましたが、マンデル氏曰く。私の結論は驚くほどポジティブだ。 仕事という観点からすれば、ジャーナリスティックな職業というのは、経済全体では上向きだ。しかし、多くのジャーナリスティックな働き口は、従来型のジャーナリズム業界では創出されていないのだと断じています。
元のHPでは、図を幾つか挙げて説明しています。一番上の図は過去12ヶ月間の「ニュース・アナリストや記者、特派員」の平均的な人数を表しています(つまり2009年7月から2010年6月までの数字)。この数字は最新人口調査に基づいています。6万世帯を対象にした国勢調査局と労働統計局の月間共同調査です。
この調査では、回答者は「指定された人が普段行っている仕事、またはその人の最も重要な活動及び義務の説明の種類」に基づく職業分類を書かされます(CPSの面接マニュアルから引用)。
この中の「ニュース・アナリスト、記者、特派員」という職業分類では
更に、この職業的グループの業績を、人口全体と比較したり、新卒の就職と比較してみると、 雇用されているジャーナリストの全体的数字(CPSに基づく)は、過去3年で19%増えています。一方、新卒採用は3%しか伸びていません。そして雇用全体で見ると、CPSの測定では5%近く落ちています。
出版業(新聞含む)や放送業界の雇用が落ちているのに、どうやってジャーナリストの数は増えているのでしょうか? 比較可能な時期全体で見ると、新聞の雇用は26%落ちています。契約社員の雇用は16%下落。ラジオとテレビは11%でした。 マンデル氏は、以下のように推測しています。
説明は4つ全部とも当たっていると思うとマンデル氏は書いていますが、上記の私のブログ記事を見ても分かるように、確かにそういう流れはあるにはある。補足するなら、ハイパーローカルで地方で立ち上げている事例も結構ある筈ですし…。
マンデル氏の結論はジャーナリスティックな雇用は、新興産業への流出、自営業の増加、組織の簡素化、恐らく低賃金化というシフトなのだろう。 故に、ジャーナリズムの黄金時代は、儲からないかもしれないが、楽しいものになるに違いない!だそうです。考えさせられますね。好きで入った業界なのだったら、そういう流れに身を任せるのも手かもしれない。最低限、辞めても同じ仕事を続けて何とかなっていると思えるデータがあるのは、救いです。
PaperCutsなどで「この3年間で解雇された新聞社の従業員は4万5000人」などとされていますが、実は記者の全体数は、そう減っていない。むしろインターネットのおかげで、黄金時代を迎えつつあるというのです。
にわかには信じがたいでしょうけど、解説しているのがビジネスウィークの元上席アナリストのマイク・マンデル氏という方。挙げている数字を見ると、確かにその傾向がある。
同氏はマンデルのイノベーション&成長というブログで「ジャーナリズム市場の進化」(The Evolution of the Journalism Job Market)という題名で投稿しています(2010年7月30日付け)。
ご本人は世界各国を回り、ジャーナリズムと経済について話す際、普段は2つ指摘なさるそうです。
- 次世代の求人口は通信ブームに支えられうるだろうという事(プログレッシブ・ポリシー・インスティチュートにも、同じ趣旨の論文を寄稿なさってます)。
- 我々はジャーナリズムの黄金時代へと向かっているのかも知れない。そこでは通信のコストが落ちる一方で、ニュースへの需要が高いので、違ったやり方でジャーナリズムの様々な展開が出来る可能性が切り開かれる。
確信するには、理由があります。論文を書くに当たって、過去3年間のジャーナリズムの労働市場を研究したそうです。同種の研究は過去にも行っており、2009年9月、論文を2本書いています(これとこれ)。
その際、国家が行う最新人口調査(Current Population Survey =CPS)のデータを使ったところ、「ジャーナリズムの職業に於いて長期的に俗に言う所の下落を起こしそうな証拠は何も無い」との結論に達したのだそうです(2009年9月)。
それから9ヶ月が経ちましたが、マンデル氏曰く。私の結論は驚くほどポジティブだ。 仕事という観点からすれば、ジャーナリスティックな職業というのは、経済全体では上向きだ。しかし、多くのジャーナリスティックな働き口は、従来型のジャーナリズム業界では創出されていないのだと断じています。
元のHPでは、図を幾つか挙げて説明しています。一番上の図は過去12ヶ月間の「ニュース・アナリストや記者、特派員」の平均的な人数を表しています(つまり2009年7月から2010年6月までの数字)。この数字は最新人口調査に基づいています。6万世帯を対象にした国勢調査局と労働統計局の月間共同調査です。
この調査では、回答者は「指定された人が普段行っている仕事、またはその人の最も重要な活動及び義務の説明の種類」に基づく職業分類を書かされます(CPSの面接マニュアルから引用)。
この中の「ニュース・アナリスト、記者、特派員」という職業分類では
- ニュース価値のある出来事について、取材や調査や観察などによって事実を集めて分析。新聞やニュース雑誌、ラジオやテレビで書いたり報じたりする。
- 様々な情報源から得たニュースを分析し、解釈し、報道する。
更に、この職業的グループの業績を、人口全体と比較したり、新卒の就職と比較してみると、 雇用されているジャーナリストの全体的数字(CPSに基づく)は、過去3年で19%増えています。一方、新卒採用は3%しか伸びていません。そして雇用全体で見ると、CPSの測定では5%近く落ちています。
出版業(新聞含む)や放送業界の雇用が落ちているのに、どうやってジャーナリストの数は増えているのでしょうか? 比較可能な時期全体で見ると、新聞の雇用は26%落ちています。契約社員の雇用は16%下落。ラジオとテレビは11%でした。 マンデル氏は、以下のように推測しています。
- ジャーナリストは、新興産業に雇われつつある。例えば、ヤフーはビジネスウィークの優秀なワシントン支局長だったジェーン・サッセン氏を雇った。政治取材の強化の為だ。こうした仕事は過去3年の間に22%の成長を示した「インターネット出版や放送やウェブサーチ・ポータル」か、私の仕事であるVisible Economy LLCで出現しつつあるのだろう。我々は3人の若いジャーナリストを雇った。しかし、彼らの仕事が教育サービスかジャーナリズムの中で見つかるかどうかは言い難い。
- ジャーナリズムの仕事が増えた幾つかの原因は、単に自営が増えたという説明でいける。そうだろう。しかしそれは何処かに雇われている「ニュース・アナリストや記者、特派員」の数が、過去3年で15%伸びている証拠でもある。(雇用されているジャーナリストの数の)19%まで行ってないにせよ、悪くは無い数字だ。
- 仕事的に見て、記者は編集者やサポート担当に比べて潰しがきいている。ざっくり話せば、新しいテクノロジーは報道機関から、管理職の数を減らして組織を簡素化する事を可能とした。少ない編集者とサポート担当で、同じ量のコンテンツ業務を行う必要があったのだ。 この図を見ると、多くの人が「編集者」のカテゴリーに入れられているのに気付く。 記者と違って、編集者の数は過去3年間で2%減っている。しかし、もし我々がカテゴリーを2つにするなら(”ニュース・アナリストや記者、特派員”に”編集者”のカテゴリーを加えるなら)、「ジャーナリスティックな仕事」方面の全体の雇用は丁度5%で、大学卒業生の雇用増加よりも上なのだ。
- 仕事はあるにせよ、時間が短くなったり、お金の入りが悪くなったりしているなどの可能性はある。この幾つかは事実だろう。労働統計局が計算した所では、2008年から2009年の間に、フルタイムの記者などの週給は平均で1.5%落ちた。一方、管理職や専門職の週給は平均で1.9%上がった。2010年に、これが拡大するかは自信を持てない。
説明は4つ全部とも当たっていると思うとマンデル氏は書いていますが、上記の私のブログ記事を見ても分かるように、確かにそういう流れはあるにはある。補足するなら、ハイパーローカルで地方で立ち上げている事例も結構ある筈ですし…。
マンデル氏の結論はジャーナリスティックな雇用は、新興産業への流出、自営業の増加、組織の簡素化、恐らく低賃金化というシフトなのだろう。 故に、ジャーナリズムの黄金時代は、儲からないかもしれないが、楽しいものになるに違いない!だそうです。考えさせられますね。好きで入った業界なのだったら、そういう流れに身を任せるのも手かもしれない。最低限、辞めても同じ仕事を続けて何とかなっていると思えるデータがあるのは、救いです。
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