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2006年04月28日

「長いお別れ」part12

「長いお別れ」part11のつづきです・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・part12


紳士と淑女の会話・・その2



マーロウは自宅でチンピラと乱闘し、警官に助けられ、かすり傷で片付ける。
リンダに電話して、警告してくれたことのお礼を言い、心配してくれたことのお礼にお酒にさそう。
リンダは運転手つきで、マーロウの家にやってきて、運転手を帰す。


彼女は長椅子に腰をおろした。

「何を飲みますかね」と私は尋ねた。・・・・・・

「シャンペンをあけようを思っていた」・・・・・・

「氷を入れるバケツはないが、シャンペンは冷えている。永い間しまっておいたのが、二本ある。コードン・ルージュです。いい品物だと思うんだがね。ぼくにはよくわからない」


「なんのためにしまっておいたの」・・・・・・・


「君のためさ」



彼女は微笑をうかべたが、信じられないといったように、私の顔をじっと見つめた。



僕はこの一節が、信じられないといったように、シャレた会話だと思いました。

 このシャンパンの「コードン・ルージュ」を調べましたが、世界三位のシェアをもつマム・コードン・ルージュ社のシャンペンです。2000年のF1グランプリから表彰台で勝者が振り撒いているのが、この歴史ある会社のシャンペンのようです。


自分がいった言葉とは裏腹に、マーロウはこのシャンペンが高級品であることは知っていたはずです。ただお相手が大富豪の娘リンダ・ローリングなので、こう言ったのだと思います。

このくらいの上流婦人になると、映画「007のダイヤモンドは永遠に」でショーン・コネリーが飲んでいた「シャトー・ムートン・ロチルド」のワインクラスを年代指定で出さないと、驚くことはないんでしょうね。



あ~・・・、あ~・・・。いやだ、いやだ貴族趣味にはついてけない。



ぼくの自宅の冷蔵庫には、日本を代表するAsahiの「アクア・ブルー」が二缶、冷えています。


   コレでは上流婦人はたぶん無理のようですね・・・・・・・ばかやろう・・・・・。





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「長いお別れ」part1
            →http://ota9.osakazine.net/e841.html  

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2006年04月27日

「長いお別れ」part11

「長いお別れ」part10のつづきです・・・・・・・・・・・・・・・・part11


紳士と淑女の会話・・・その1



「アイリーン・ウエイド」の自殺。
マーロウは事件の真実を世間にに公表しなかった。

この事件の終息と同時に、マーロウとリンダは少しずつ近づいていく。
チャンドラーが演出した、紳士と淑女の会話の真髄がここにある。


午後二時ごろ、リンダ・ローリングが電話をかけてきた。
「きょうは悪口をいわないでくださいね」と、彼女はのっけにいった。
「北の方の湖から飛行機で帰ってきたところですの。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「どういう意味です──前の夫というのは?」

「察しが悪いのね。・・・・・・・・・・・・・・・・そっと離婚するにはパリほどいいところはないのよ。・・・・・・・・・あなたもまだ常識が残っているのなら、いつか私に見せてくれた紙幣を少しばかりつかって、遠くへ出かけた方がいいんじゃないかと思うわ」

「どういう意味なんです」

「二度目のおろかしい質問ね。もっと自分のことを考えるべきよ、マーロウ。虎を撃つとき、どんなふうに撃つか知ってるの?」

「知らない」

「やぎを杭にしばりつけといて、見えないところに隠れているのよ。やぎにはずいぶん残酷なことね。やぎには随分残酷なことね。私はあなたが好きなの。なぜだかわからないのだけど、好きなのよ。あなたがやぎになることなんか、考えたくないんです。あなたは正しいことをしようとして夢中になっていたのよ──あなたの眼から見て正しいと思ったことなんだけど」

「ぼくのことを考えてくれるのはありがたい」・・・・・・・

「英雄ぶるなんてばかなことよ・・・・・・・・あなたが真似をする必要はないわ」

「暇があるのなら、一杯おごろう」

「パリでおごっていただくわ。秋のパリはすてきよ」

「行ってみたいですね。春はもっとすてきだと聞いている。行ったことがないのでわからない」

「一生行けそうにもないわね」


「さよなら、リンダ。ほしいものをうまく見つけることを祈ろう」

「さよなら」と、彼女は冷ややかにいった。

「私にほしいものがあればかならず見つけるわ。でも見つけてしまうと、もうほしくなるのよ」

彼女は電話を切った。



電話でここまで洗練した大人の会話をできる人はいないと思いますがが、ステキな女性はどういう言い回しにしろ、自分の気持ちをストレートに伝えるのが上手です。この一節の「好き」というリンダの言葉はここでは異性としてではなくて、人間として「好き」という意味ですが、この意味であっても、つきあってもいない男性にストレートにうまくつかえる人は、なかなかいないと思います。


いまは男がだらしなく、なっていて、積極的なのはセクハラおやじくらいになっています。

女性も、さりげなく、積極的にモーションをかけないと婚期をのがしてしまう時代なのですが、ぼくのまわりには、まだまだ白馬の王子様がくると勘違いしている人が多いですね。

男女平等の時代を主張するなら、もっと積極的になってもらいたいものです。

そう、むこうからやってくるのは、セクハラおやじだけですぞ・・・・・・・・。



あ~、あ~こっちから飲みにいって、またふられにいこっと・・・・・・。



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2006年04月20日

「長いお別れ」part10

「長いお別れ」part9のつづきです・・・・・・・・・part10


この「長いお別れ」の小説の最後にこういう部分があります。
 

「私はその後、事件に関係があった人間の誰とも会っていない。ただ、警官だけはべつだった。
 警官にさよならをいう方法はいまだに発見されていない。」と


また小説のはじめのほうに

 
「おまえは警官がきらいなんだ。それだけのことだ。警官がきらいなんだ」

「警官がきらわれていない場所もあるんだが、そういうところでは。君は警官になれない」とも


このやりとりのように、マーロウは警官がきらいです。正確にいえば、悪い警官がきらいです。
また、きれいな顔をして汚いことを平気やる人間と、世の中の真理がよくわかっていないのに、わかったふりをして正論めいた言葉をはく人間がきらいです。


マーロウは、探偵としての行動力と、苦い経験から学んだ世の中の真理を見抜く人間としての眼力と、日々の生活を一生懸命に生きる人間に対するやさしさをもっています。

警官とのこういうやりとりもあります。

ばくちで金もうけをする連中に襲われ、バーニーというまじめな警官にたすけられた時、
警官は、おれは、ばくちを憎んでいる。麻薬を売っている奴と同じように憎いんだといって、税金のため法律で認められいるカジノや競馬がいかに庶民のポケットから生活費をまきあげて害になっているかなどと、正論めいたことをいいます。

このときマーロウは警官にこう言っています。


「君は立派な警官だよ、バーニー。ただ、むかっ腹を立てすぎるんだ。警官には君のような人間は少なくないが、間違ったことに罪をきせているんだぜ。

さいころで給料をすっちまうというんなら、ばくちを禁止しろ。よいつぶれる奴がいるのなら、酒を禁止しろ。自動車をぶっつけて人を殺すことが気になるのなら、車をつくることを禁止しろ。ホテルの部屋で女といっしょにつかまる奴がいるのが困るのなら、性交を禁止しろ。階段からおちないようにしたけりゃ、家を建てることを禁止しろ」


マーロウは責めを負わせるところを間違ってはいけないといっています。また世の中の真理を見極める目を持てとも言っています。

アメリカという豊かな国に光があり、その光が影をつくるということを言いたいんじゃないかと思っています。だから、決してなくならないとも言っていますし、これは先進国日本でも同じことです。またこれをまじめな警官バーニーにきつく言うのは、マーロウのいい人間に対する思いやり、やさしさです。


「トラックバックの返事を返すのがいやなら、トラックバックを禁止しろ、コメントの誹謗、中傷が怖いのなら、コメントを禁止しろ、ブログを書くのがいやなら、ブログを中止しろ」


ぼくの家には「人の立場を無視する人間はやがて人から認められなくなっていく」という標語がはられてありました・・・・・・?・・・・・・・・・・・。



さあきょうも、・・・・・・・・・・あーあ、飲みにいく時間はなくなったようです・・・・・・・・・・・・。






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2006年04月14日

「長いお別れ」part9

「長いお別れ」part8のつづきです・・・・・・・・・・part9


マーロウは小説家夫人アイリーンと親友テリーの過去を糸をつなぐように調べていく、真相を暴いて誰かを捕まえようとするわけではなく、自分が信じた親友の行動の謎を自分自身がとくために。男と女のイギリスでの過去の恋愛が浮かびあがり、そして戦争が引き離した事実を知る。

年月はいく年か過ぎて、時のいたずらで再会する男と女。女は昔愛し合った男の酒びたりの姿をみる。男は昔愛した女が昔の心をなくしたことを知る。お互いそのまま過去を隠したまま生きていければいいが、ひきずった過去が、からみあった人間関係が、女に事件を起こさせる。
 そして男はすべてを抱え込んだまま逃げ、マーロウは逃亡をたすける。そして遠いメキシコから「僕の思い出にギムレットを飲んでくれ」と書いた一通の手紙を残し、しだいに自殺が伝わる、二度と会えない親友。その死にたくさんの疑問をのこしたまま・・・。


アイリーンと真相について話したあと、同席していた出版社のハワード・スペンサーとマーロウの会話にこういう一節があります。


「警察にしらせなければならない」

「そんなことはする必要がない。はえを叩き殺せるほどの証拠もないんだ。いやな仕事は警察にまかせておこう。面倒なことは弁護士にまかせればいい。法律というものは、弁護士が判事という名で呼ばれてる弁護士の前で理屈をならべて、べつの判事がその判事をやりこめ、最高裁判所がそのまたべつの判事をやりこめるためにつくられているんだ。もちろん、法律というものがあることはぼくも知っている。われわれは首ねっこまで法律の中につかっているんだ。弁護士が失業しないように法律があるんだ。弁護士たちが入れぢえしなければ、いくら大物のやくざだって永つづきはしない。」

「そんなことはなんの関係もないこの邸で・・・・・・殺された・・・・・誰が殺したかを、あんたと私が知っているじゃないか。世の中には正義というものがある」

「明日でいい」


マーロウを動かしているものは、カタチだけの法律への正義ではありません。証拠を見つけ親友の罪を晴らそうとしているのでもありません。親友は潔白であるという信念のもとに、本当のことが知りたいのです。それと彼の信条として人を犠牲にしても、自分はそのままできれいでいようとする人間を許せないのだろうと思います。


マーロウはこの真実を知っていること利用してアイリーンと偽装結婚すれば、ウエイド家の財産をごっそりネコババできたはずです。まぁ、しないでしょうが。
 しかし、マーロウの言葉を聞けば、さすがアメリカは日本と違って訴訟社会で、司法の歪みがかなりあるようですね。よっかた日本に住んでて。


自分の信念の旗のもとに、社会と渡り合って人間として生きていく。・・・難しいですね。


マーロウは「プレイバック」のなかでこの有名なセリフを残しています。



       「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない」



 この言葉をもう説明する必要はないでしょう。




 さあきょうも、人に強く、自分に優しく、飲みにいこっと・・・・・・・。


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2006年04月11日

「長いお別れ」part8

「長いお別れ」part7のつづきです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・part8



「長いお別れは」ハードボイルド探偵小説ですが、作者のレイモンド・チャンドラーはそれ以上の小説を求めていたように感じます。マーロウが探し出した酔っ払いの小説家のロジャーはF・スコット・フィッツジェラルドを崇拝していたように、チャンドラーもまた感性の塊のような完成度の高い小説を書くフィッツジェラルドに憧れていたのでしょう。


マーロウとリンダがバーからの帰りの別れ際の会話に、こういう一節があります。

「おやすみなさい、マーロウさん。お眼にかかれてよかったわ・・・・・・・あなたは?」

「はでな喧嘩をしましたね」

「あなただけがなさったのですわ・・・・・それも、ご自分となさったのよ」

「いつもそうなんです。おやすみなさい、ローリング夫人。この近くではないんでしょうね」

「アイドル・ヴァレーなんです。湖の向こうがわですの。夫は医者ですわ」


F・スコット・フィッツジェラルドの有名な長編小説に「グレート・ギャツビー」があります。若き日に苦労をして富と名声を手に入れたギャツビーが湾の向こうがわに住む昔の恋人の上流夫人を取り戻そうとする物語で、人生の無情を独自の描写であらわしています。相続で永遠に金を持つ人たちへの反感と一人の女性に思い憧れ努力するが報われない人のはかなさを描いた小説です。 
 あらすじは少し違いますが映画にもなっていてF・コッポラがメガホンをとってロバート・レッドフォードがギャツビーを演じています。


岸の向こうがわには金持ちが住む、というところはおなじです。


もし僕が感性という点で小説を三つ選べといわれたら、
   
    ひとつはサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」
    ひとつはカミュの「異邦人」
    もうひとつにこのフィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」になるでしよう。



「百万ドルをとりかえせ」の英国作家のジェフリー・アーチャーも自分は単にストーリー・テラーに過ぎない、フィッツジェラルドみたいにはなれない。といったいいますし、「ノルウェイの森」の村上春樹さん
も60歳までに「グレート・ギャツビー」を翻訳できるかなあ・・・。といっているので僕などの凡人にはとうてい理解できない、すごい小説なのでしょうね。


さあきょうは帰って、「グレート・ギャツビー」をよみ返すことにしますか・・・・・。
 これで3回目です、凡人はつらい・・・・・・・・・。



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2006年04月06日

「長いお別れ」part7

「長いお別れ」part6のつづきです・・・・・・・・・・・・・・・・・part7

マーロウは小説家ロジャー・ウェイドの捜索を進めていくうち、その妻アイリーンと親友テリーの間にイギリスでの過去に戦時中の接点があることに気づく。テリーが巻き込まれた事件の真相に1歩1歩近づきかけたちょうどそのころ、リンダ・ローリングという上流の婦人と知り合う。
そう、殺されたテリーの妻シルヴィアの姉で大富豪ハーラン・ポッターの長女である。

最初の出会いは、テリーとよく飲みにいった思い出のある静かなバー、「ヴィクター」である。


「ぼくの名前はマーロウです」

「私はリンダ・ローリングですの」

「あなたはちょっとしたセンチメンタリストですのね、マーロウさん」

「ここへギムレットを飲みに来たからですか。あなたはどうなんです」

「ギムレットが好きなのかもしてませんわ」

「ぼくはそうかもしれません。しかし、あまり偶然すぎますね」

彼女はかすかに微笑した。エメラルドの耳飾りとエメラルドの襟ピンが眼についた。ななめに切ってあるところを見ると、ほんものの石らしかった。酒場のうすぐらい光線のなかでも、美しい光沢を放っていた。


ぼくは、大阪キタのバーでよく飲んでいますが、ビール以外で同じ銘柄の酒を同じスタイルで飲んでいる人にまだ出会ったことはありません。そのスコッチが置いていない店も多いということもありますが、洋酒のロックをダブルでたのむ人が少ないためだと思っています。いくらゆっくり飲むといっても、ダブルは基本的に酒が強くないといけないし、次におかわりをする場合も二杯目はシングルというわけにはいかないからです。

酒を飲むことが好きな人間は何年も飲んでいると自然に、自分に合う酒とスタイルが決まってしまいます。それがウイスキーでなくても、日本酒でも、焼酎でも、いっこうに構わないと僕は思っています。それがその人の個性でおもしろいところですし、自分の金で飲むのだから、ファッションなんかで飲んでもおいしくはないでしょう。

マーロウはこのギムレットをダブルで飲んでいます。それが彼のスタイル、古臭い言い方をすれば、流儀なのです。ただ、カクテルの「ギムレット」を銘柄に選んで飲んでいるのは、親友テリーとの思い出があるからです。


自分のスタイルで飲ませてもらえる店、それがいい店だと思っています。

1件のバーはチャージも、お酒も高いですが、どの銘柄を注文しても、一流ホテル同様ちゃんとしたカクテルが出せるところ。
もう1件のバーはカクテルの種類は少ないですが、安く飲めて店主のハートがあり、品のいい友達と知り合うことができるところ。


この両極端な2つの店をぼくは、もっています。そういう店が大好きです。


後者のバーでは、キャパクラのおねーさんが来ると、入ろうとする時にいきなりその人たちだけ閉店になり、カップルがじゃれてキスなどしようとすると、その瞬間にお勘定になります。


バーの経営はビジネスですから、どういう客を集めて、どういう風に儲けようがそれは全く自由です。
  それが、ごく普通のお店です。

キタの東通り商店街は大阪で一番のキャパクラのメッカです。仕事を終えたおねーさんたちが朝7時ごろまでいろんな普通のバーで飲んで遊んでいます。最高にお行儀のいい人たちです。


 ですからキタの東通り商店街の普通のバーで、僕が飲むことはありません。


さあ、いまから特別なバーに行って飲むことにしましょうか・・・・・・・・・・・・・・・。




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2006年04月04日

「長いお別れ」part6

「長いお別れ」part5つづきです・・・・・・・part6


レイモンド・チャンドラーは、『大いなる眠り』『さらば愛しき女よ』『高い窓』『湖中の女』『かわいい女』『長いお別れ』『プレイバック』の7作の長編に女性と煙草と酒とチェスが好きな探偵フィリップ・マーロウを登場させている。この趣味の中からチェスと音楽を入れ替えれば、ほぼ誰かと同じになるが、まったく違う点はマーロウは卑しき街をゆく貴公子だということだろう。


チャンドラーはこのユーモアと辛らつな皮肉を吐く探偵マーロウの目を通して、当時のアメリカの社会を見事に風刺している。だから登場人物との会話の中には世の中がフタをして隠したいような真実がたくさん隠されている。

僕が気に入っていのは、大金持ちハーラン・ポッターとのやりとりだ。


「・・・マーロウやめたまえ。われわれは民主主義とよばれる世界にすんでいる。すべては多数決によってきまるんだ。そのとおりに実行されれば、りっぱな理想にちがいない。選挙は国民がするが、指名は党の機関がする。そして、党の機関が強力であるためには多額の金をつかわなければならない。その金は誰かが出さなければならないし、その誰かが個人でも、財界のグループでも、かならずなんらかの報酬を期待する。・・・・・・・・・・・・・

新聞が声をからして叫んでいる報道の自由ということは、ほんのわずかの例外をのぞいて、醜聞、犯罪、性、憎悪、個人攻撃を書き立てる自由、または、宣伝を政治的、経済的に使う自由なのだ。新聞は広告収入によって金をもうける事業だ。発行部数がものをいうわけだが、発行部数の・・・・・・・・・・・」



「金というものはふしぎなものだ」

「ひとところに多額に集まると、金に生命が生まれ、ときには良心さえも生まれる。金の力を制御することがむずかしくなる。人間はむかしから金に動かされやすい動物だった。人口の増加、戦争に要する多額の軍事費、税金の重圧────こういったものが人間をさらに金に動かれやすくしている。ふつうの人間は疲れて、怯えている。疲れて怯えている人間に理想は用がない。まず家族のために食物を買わなければならないのだ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

マス・プロ時代に品質は望めないし、もともと、望んではいない。品質を高めると永持ちするからなのだ。だから、型をかえる。いままであった型をむりにすたれようとする。商業戦術が生んだ詐欺だよ。ことし売ったものは1年たったら流行おくれになるように思わせないと、来年は商品を売ることができない。われわれは世界で一番きれいな台所と一番光輝いている浴室を持っている。しかし、アメリカの一般の主婦はきれいな台所で満足な食事もつくることができないし、光り輝いている浴室はたいていの場合、防腐剤、下剤、睡眠薬それに、化粧品産業と呼ばれている信用だけにたよる事業の商品の陳列所になっている。われわれは、世界で一番りっぱな包装箱をつくっているんだよ、マーロウ君。しかし、中に入っているものはほとんどすべてがらくただ」


「私に何を要求するのかね、マーロウ」

「いくらほしいかという意味なら、一文もいりません。僕はここへ来たくてやって来たわけでは・・・・・・・・・」


ハーラン・ポッターの言葉をきくと(マーロウは現代文明の説明といっているが)、アメリカも日本も資本主義なんておなじです。そのうち中国もおなじでしょう。しかも大金持ちハーラン・ポッター自身がちっとも幸せそうではありません。所詮は世の中に回っている金のブン捕り合戦です。なにかこの地球のために人類がおこなっていると思うのは例外を除いてほとんどが錯覚だと僕は思っています。それでも、納得のいかない金に興味がないマーロウは偉いですよね。


このマーロウがハーラン・ポッターと別れるときのこの金持ちの言葉と仕草がカッコイイ。


彼は、手を差し出した。「来てくれてありがとう。君は正直な人間らしい。英雄ぶるのはやめためえ。なんの得もないのだから。」

私は彼と握手をかわした。ねじまわしでねじあげたような握力だった。彼は私をいたわるようにやさしく笑った。たしかに、彼の方が役者が上だった。


‘きみは正直な人間らしい’というところがあります。ビリー・ジョエルは「オネスティ」の曲でこう歌っています。      honesty is a such a lonely word ・・・・・・・・・
       正直という言葉は最近きかなくなった、寂しい言葉・・・・・・・と。


飲みにいきたいので、きょうはこのへんで、・・・・・・・・。


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2006年03月27日

「長いお別れ」part5

「長いお別れ」part4のつづきです・・・・・・・・・part5

夫テリーが自殺して、殺された妻シルヴィアの父、大富豪のハーラン・ポッターは警察、マスコミ、など、圧力をかけ事件をしまいこもうとする。マーロウは親友の無実を信じている。そうして事件が過ぎ去ろうとしているころ、出版社を通して小説家ロジャー・ウエイド捜索の依頼がタイミングをはかったように舞い込んでくる。小説家の妻アイリーン・ウエイドがここで登場します。

マーロウは「長いお別れ」の中でこの美女を「夢の女」といっています。


バーでその女性に最初に出くわす、そこの部分をちょっと抜粋して紹介してみると


かなり背のたかい、すらりとした女で、特別仕立ての白麻の服に黒と白の水玉のスカーフを顎にまいていた。髪はおとぎばなしの王女のようにうすい金色に輝いていた。・・・・・・・・・・・・・・・・・・

           ~~~~

私はじっと見つめた。彼女は私の視線をとらえて、目を半インチほどあけた。私はもうそっちをみていなかった。しかし、どこを見ていたにせよ、私は呼吸(いき)をのんでいた。   ・・・・

           ~~~~

向こうの端の「夢の女」はこれらのどの種類の金髪でもなかった。山にわきでる泉のように澄んでいながら、その色のようにとらえどころがなく、分類することがむずかしかった。私のひじのすぐそばで私に呼びかける声が聞こえたとき、私はまだ女の方をみつめていた。

          ~~~~

チャンドラーの難しいハードボイルドの英文を雰囲気をそのままに和訳している訳者の清水俊二氏に読者を代表して、感謝したい。


僕は飲み屋で飲んでいる時やましい気持ちなしに、マーロウが呼吸をとめたような情景に合ってみたいといつも思っているのですが、ここ10年ばかり一度も遭遇してません。

 まずこのような大人の美女が大阪の安酒場に一人で入ってくるなんてことがあるわけないか・・・・。

たまにはステキな熱帯魚を観賞をしながら、うまい酒を飲みたいものです。フナやメダカはしょっちゅう見ているのですが。

アーこんなことを書きすぎると、世の女性を敵にまわして四面楚歌のなりそうなので、
きょうは、このへんで・・・・・・・・・・・。




映画「愛と青春の旅立ち」part1~
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2006年03月25日

「長いお別れ」part4

「長いお別れ」part3のつづきです・・・・part4

 事件が起きる。テリー・レノックスの妻シルヴィアが殺され、マーロウはテリーの逃亡を助ける。
何もしゃべるな、自分は私立探偵だから、知っていると鑑札を取り上げられると言いながら・・・。


男でも女でも、どんなに愛想がよくて人付き合いがいい人でも、本当の親友というのは少ないと僕は思っています。社交辞令で交わす会話が本当の人の気持ちだと思ったことは一度もありません。
では、どう思っているかというと、そのどちらでもないと考えるのが本音です。


お酒で言えば、また一緒に飲みたいと思う人が親友になれる可能性があり、この人とは二度と一緒に飲みたくないと思えば、その可能性のない人だと思っています。

マーロウとテリーはそういう意味でも親友です。何の得のもならない逃亡を助け、仕事を失いかけないリスクを負い、さらには警官にとっちめられ、ブタ箱に放り込まれ小突き回される。損得を考えればできることではありません。この二人の友情がわかる会話が大好きです。


「すまない」   ・・・テリー

「当然だ。君ような人間はいつもすまないといってる。しかも、いうのがおそすぎるんだ」・・・マーロウ


          ~~~


「わかった。君の言うとおりにしよう。よく覚えておいてくれ。面倒なことになっても、ぼくをかばう必要はない。われわれはいっしょに酒を飲んで、友だちになって、ぼくが自分のことをしゃべりすぎただけだ。コーヒーの缶に百ドル紙幣を五枚入れてきた。怒らないでくれ」・・・・・・テリー

「そんなことはしないでもらいたかった」・・・・・・マーロウ

「いま持っている金の半分も使えそうにないんだ」・・・・・・・テリー

「元気でな、テリー」・・・・・・・・マーロウ


          ~~~~

  事件についても、ぼくについても忘れてくれたまえ。だが、そのまえに、ぼくのためにヴィクターでギムレットを飲んでほしい。それから、こんどコーヒーをわかしたら、ぼくに、一杯ついで、バーボンにを入れ、タバコに火をつけて、カップのそばにおいてくれたまえ。それから、すべてを忘れてもらうんだ。テリー・レノックスのすべてを。では、さよなら。        ・・・・・・・テリーからとどいた手紙


いい関係ですね、もう二度と会えないとわかっている親友の会話です。


同姓ならこんなに感じもありですが、これが男女の別れときたら、・・・・・・・・・・。
やめておきましょう、ただ修羅場になることが多いことは確かです・・・・・・・・・・・。



きょうは、週末で店がこんでゆっくり飲めないので、まっすぐ帰るとしましょう・・・・・・・。
 では、さよなら。




映画「愛と青春の旅立ち」part1~
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2006年03月24日

「長いお別れ」part3

「長いお別れ」part2のつづきです・・・・・・part3

マーロウとテリーは飲み友達になり、その後テリーが殺人に巻き込まれるところから事件の幕が開いていく。

事件に巻き込まれる前、最後に二人がバー「ヴィクター」で飲んだときの会話がとてもオシャレです。


 テリーがこう言う
「ぼくは店をあけたばかりのバーが好きなんだ。店の中の空気がまだきれいで、冷たくて、何もかもぴかぴか に光っていて、バーテンが鏡に向かって、ネクタイがまがっていないか、髪が乱れて いないかを確かめている。酒のビンがきれいにならび、グラスが美しく光って、客を待っているバーテンがその晩の最初の一杯をふって、きれいなマットの上におき、折りたたんだ小さなナプキンをそえる。それをゆくっり味わう。静かなバーで最初の静かな一杯・・・こんなすばらしいものはないぜ」


私は彼に賛成した。 とマーロウ


(僕も彼に賛成した。・・・筆者)



 次にまたテリーがこうつづける
「アルコールは恋愛のようなもんだね」

「最初のキスには魔力がある。二度目はずっとしたくなる。三度目はもう感激がない。それからは女の服を脱がせるだけだ」


「そんなに汚いものか」と、私は尋ねた。・・・とマーロウ


(僕も・・・ Mu・・・Mu・・・ノーコメント・・・筆者)

それからしばらく、会話がつづいて、
 
 

 テリーがこう言う
「・・・・・・そうだ。ぼくは夫にちがいはない。役所の記録ではそうなっているまっ白な階段を三段上がると、緑色の大きな扉ががある。真鍮のノーカーを長く一つ短く2つ叩くと、女中が出てきて、百ドルの女郎部屋に入れてくれる。それがぼくの生活だ」


「よけいなことをしゃべりすぎるね」と、私はいった。・・・とマーロウ


(僕は・・いくら女が気に入らないたって、そんなセレブな生活が満足できないなんて、なんていう贅沢なヤツ・なんだ、こっちは馬車馬みたいに働いてんのに、バカヤロー!う、う、うらやましい・・・・・筆者)


なんか、お金持ちの生活を想像すると、キレて取り乱しそうになりましたが、ここで僕の経験から一言。
飲みに言って、男女限らず自分のことをしゃべりすぎる友人には注意しましょう、相談にのっているとよくトラブルに巻き込まれます、そういう時はマーロウのように切り上げてさっさと店をあとにしましょう。

では、きょうも飲みにいく時間がきたので、このへんで・・・・。

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2006年03月23日

「長いお別れ」part2

「長いお別れ」part1のつづきです・・・・・・・・・part2


「長いお別れ」のストーリーは前述の貴公子探偵フィリップ・マーロウがサンセット・ブルーバード沿いの駐車場でイギリス帰りの紳士テリー・レノックスが酔っ払って動けなくなっているところをを助けるところから始まる。この若くして白髪、過去の傷を隠すための整形手術のあと、イギリス人を思わせる丁寧な物腰、大金持ちの娘と離婚暦を持つ紳士、テリーとこれが縁で飲み友達になっていく。

途方も無い金持ちハ-ラン・ポッターの娘シルヴィアと二度目の結婚したテリーとマーロウはその後も
静かなバー「ヴィクター」のカウンターに座って飲み交わし、親交を深めていく。

このとき二人が飲んでいたのが、イギリス生まれのカルテル「ギムレット」である。


この「ギムレット」というカクテル、錐とかコルクの栓抜きを意味するが、その通りにキリッと辛口でさっぱりしている。本当の由来は1890年ころイギリスの東洋艦隊で軍医ギムレット卿がジンをストレートでのむ将校を見かね健康に悪いといって、ジンをライムジュースで薄めて飲むように提唱、これがギムレットの始まりとなったといわれている。

レノックスとマーロウのヴィクターでの会話にこういう一節がある。



「ギムレットの作り方を知らないんだね」と彼はいった。

「ライムかレモンのジュースをジンとまぜて、砂糖とビターをいれれば、ギムレットができると思っている。ほんとのギムレットはジンとローズのライム・ジュースを半分ずつ、ほかには何にも入れないんだ。マルティニなんかとてもかなわない」



テリーのいうように実際にこのとおり作れば本当は甘すぎる。バー、ヴィクターにはローズ社のライムジュースはないのだが、それでもそのとき二人は甘めの「ギムレット」を飲んでいたようだ。現代ではジン3/4、ライムジュース1/4がふつう。

僕ももちろん飲んだことはある。冷えたシェイカーから注がれた「ギムレット」はキリッしたジンの男らしさに少しだけ甘みがきいた最高のカクテルだ。

あなたもちょっとマーロウを気取って小粋なバーで辛口の「ギムレット」を注文してみてはいかが・・・?


もし自分に似合わないと思う方は辛口の「キクマサ」といえばいい、まわりの笑いくらいは取れると思いますよ・・・・・・・・笑・・・・。


では飲みにいく時間が来たので、きょうはこのへんで・・・・・・。  

Posted by Mr.x at 19:17Comments(0)

2006年03月20日

「長いお別れ」part1

             「長いお別れ」The Long Goodbye

 レイモンド・チャンドラーの小説「長いお別れ」で‘酔っ払いにかかわるのは間違いのもとだ’と探偵マーロウは言っている。英国のカクテル、ギムレットを世界的に有名にしたハードボイルドの傑作。男の友情、女の哀愁、非情な人生、そして酒。数々の名セリフをのこした作品について・・・・・。

この作品はハードボイルド、推理物、探偵物のジャンルのなかでは僕の1番好きな小説です。
このブログの中で、少しずつ語ってみましょう。

まずは、マーロウをご紹介。
トレンチコートを着て帽子をかぶり、辛口のタバコをふかしている姿はハードボイルド探偵のイメージとして定着いますがこれはフィリップ・マーロウからです。マーロウはロサンゼルスの私立探偵で、風貌は身長183センチ体重86キロで、濃い褐色の髪に茶色の目をした、二枚目の中年男性です。地方検察局の検事調査員として働いていましたが、「口答えが多い」という理由で解雇されたのをきっかけに独立して、ハリウッド・ブルーヴァードの7階に事務所を開設して探偵業をスタートします。


このマーロウの風貌のついて、
最近、トレンチコートがはやっていますが、いまのトレンチは肩口を絞った、たけの短いショートトレンチでファッション性重視。つまり日本人の女のコが着てもシルエットがきれいでよく似合うように作っていますが、この時代のロングトレンチは背が高くて、体格がよくないと様になりません。もともと、イギリスの軍事服として開発されてたもので、寒さへの機能性は抜群ですが、似合う人が着ないとコートを着ているのか、コートに着られているのかわからなくなる代物です。僕自身も何年か前にバーバリーのロングトレンチを着ていたことがありますが(注※恐ろしく高いので無理して買わないように)、当時かなりやせていたので、これが似合わないこと散々でした。


ということで、マーロウは背がたかくて、体格もがっちりした、着やせするような風貌の、いい男みたいです。映画ではカサブランカで有名なハンフリー・ボガードがイメージがあっているかな。どっちにしろ
オンナにもてる、卑しき街をゆく誇り高い騎士にはかわり無いでしょう。なかなかなれない男の理想です。




いまから飲みにいかないといけないので今日はこのへんで・・・・・・・・・。  

Posted by Mr.x at 20:58Comments(0)