Kommando: KDEのフローティングパネル
KDEにはさまざまなパネルがある。デスクトップの一番下に置かれるデフォルトパネルのほかに、サイドバー、オープンしているウィンドウ専用のタスクバー、アプリケーションドック、Kasbar(日時とオープンアプリケーションを表示)と多種多様である。これらのうちでKommandoに最も近いものをあげれば、Kasbarだろうか。どちらもフローティングパネルで、仕事の邪魔にならない便利な場所を選んで自由に配置できる。違いは、Kommandoが非常に設定自由度の高いランチャであること、わざわざ目的の位置までドラッグしていかなくても、マウスで最後にクリックしたデスクトップ上の位置にポップアップすることである。この1点だけでも、KommandoはKDEパネル群の仲間入りする資格が十分にある。
Kommandoはほとんどのプログラムと異なり、インストールしても、メインメニューには項目を追加しない。また、各種デスクトップ間に整合性を持たせようというfreedesktop.orgのせっかくの努力にもかかわらず、GNOMEやXfceでは使用できない。アプリケーション選択の基準として、当該アプリケーションの機能より、いま使用しているグラフィカル環境を優先しているユーザにとっては、残念な結果だ。
このランチャアプリケーションを設定するには、コマンドラインからkommando
とタイプする。これでKDEメニューエディタの変形版が開くので、ここでKommandoにボタンやサブメニューを追加していく。ボタンを選択し、そのボタンで起動したいコマンドを手作業で追加してもよいし、Kmenuを選択し、すでにメインメニューに含まれている項目を選択していってもよい。また、UpボタンとDownボタンで各ボタンを並べ直すという方法もある。円形のパネルでUpと言いDownと言っても、意味がよくわからないだろうが、実際にやってみると、”Up”はこのフローティングパネルを反時計回りに移動すること、”Down”は時計回りに移動することだとわかる。
追加するボタンやメニューが数個以上になるときは、設定ツールのAppearanceタブに移動して、フローティングパネルのサイズを調整する必要があるかもしれない。既存のSchemeから選んでもよいが、追加するプログラムの数がとくに多いときは、半径とボタンサイズを手作業で設定するようお勧めする。
Kommandoではパネルの色も変更できるという建前だが、実際には常にデスクトップの背景色と同じ(デフォルト)になる。このため、デスクトップ上でパネルをくっきり見せるには、透過オプションを利用したほうがよいだろう。
キーボードのショートカットキーを使ってフローティングパネルをポップアップさせるという設定オプションもある。デフォルトのショートカットはCtrl-Alt-Hで、これでKommandoをオープンできる。マウスでクリックした最後の場所がデスクトップの端に近すぎて、パネル全体を表示できないときは、端にできるだけ近い位置にポップアップするようKommando自身が調整する。
パネルは円形をしていて、アプリケーションボタンのアイコンが円周上に配置される。テキストは表示されない。サブメニューがいくつもあるときは、どれもフォルダとして表示されるので、最初はとまどうかもしれない。
パネルがオープンしたら、マウスのクリックでアプリケーションを起動できる。マウスを使わず、矢印キーか数字キーで目的のアイコンに移動して、Enterキーを押してもよい。起点となるボタンは、普通、パネルの一番上にあるボタンであり、そこから時計回りに2番目、3番目と移動していく。
パネル中央にあるボタンからも目を離さないでほしい。これは、普通、パネルを閉じるための赤いXボタンだが、選択された項目がサブメニューだと、これがフォルダに変わる。サブメニューに変わったあとは、最上位メニューとまったく同じ要領で項目を選択できる。
何かが選択されると、Kommandoは自動的に閉じる。また、デスクトップ上でウィンドウを切り替えたときも変化する。
Kommandoはまだ完成に程遠く、パネル色を独立に設定できなかったり、パネルのボタンにテキストを追加できなかったりという難点があるが、それに我慢ができるユーザには、KDEの追加機能として歓迎されるだろう。KDE 4のリリースが間近に迫ったいま、開発者にはぜひ開発のスピードアップを、と願っておく。Kommandoをもっと有能で使いやすいものにしてほしい。
Bruce Byfieldは、コンピュータジャーナリスト。Linux.comとIT Manager’s Journalに定期的に寄稿している。