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◎。バリ山行 松永K三蔵

松永K三蔵 バリ山行
講談社 (2024.7)

古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた波多は同僚に誘われるまま六甲山登山に参加する。その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る目的の気楽な活動をするようになっていたが、職人気質で職場で変人扱いされ孤立しているベテラン社員妻鹿があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知ると……。

「山は遊びですよ。遊びで死んだら意味ないじゃないですか! 本物の危機は山じゃないですよ。街ですよ! 生活ですよ。妻鹿さんはそれから逃げてるだけじゃないですか!」(本文より抜粋)
会社も人生も山あり谷あり、バリの達人と危険な道行き。圧倒的生の実感を求め、山と人生を重ねて瞑走する純文山岳小説。第171回芥川賞受賞作。


バリの山のお話かと思って読み始めたのだけれど、全く違った このバリとは『バリエーションルート』の事 調べて見ると
=バリエーションルートとは、登山において一般ルートとは異なり、より登攀が困難なルートのことをいう。
登山道は道が木道や階段が設置されていたりと、登山道周辺の植生保護の目的と、登山者が迷わないよう標識が設置されていたり、と整備されている登山道のことを一般登山道という。ガイドブックや登山図にはこの一般登山道が表示されている。
これに対して、バリエーションルートとは、一般登山道ではない登山道をルートファインディングしながら歩くことである。整備はされていないが、踏み跡はできている場合もあるが、岩壁などもあったりする場合もあるので、登山技術を持つ、登山熟練者向きのコースである。木に目印がついている場合もあるが、基本は自分が頼りになるので、読図技術を習得していることと、常に確認しながら歩くことになる。
一方で、バリエーションルートはあまり知られていないので、登山者が少なく、静かに自然を満喫できる点もある。=

この本の中にも描かれているけれど、このバリ山行の是非は、人によって色々な考え方があるようで、危険を伴い 人に迷惑をかけかねない行為としてタブー視する方もおられるし、登山のひとつの楽しみ方として肯定的な方もいらっしゃるみたい

『バリ山行』という危険な登山を通して、人の生き方の根本的な部分に踏み込んだ作品になっていると思う 日常生活で満たされる事の無い大切なものを、バリ山行という 命さえ掛けかねない行いで 感じようとしているのか…
サラリーマンの日々の生活と、バリ山行という興味深い題材を巧く絡めた、とても面白い作品だと思います



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