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活字嫌いの弟に施すラノベ英才教育

タイム・リープ<上> あしたはきのう (電撃文庫)


つい先日、弟に「本を貸して欲しい」と言われた。
一体どんな風の吹き回しだといの一番に疑いかかってしまったのは、我が弟は大の活字嫌いだったからだ。
弟が何らかの娯楽に触れるとすればそれはアニメかゲームであり、「文字を読むのがめんどうくさい」という理由でマンガですらドラゴンボール以上に字数の多いものは嫌厭するという徹底ぶり。前にもなんとか活字に染めてやろうと画策し、下半分がメモ帳に使えそうなラノベ作品をいくつか薦めてみるも、それも途中で投げだされるという有り様だった。
そんな大の活字嫌いがなぜ今に至って本を求めているのか。
なんでも今年度に入ってからバスを使うようになり、バスに乗っている間の往復で三時間もの時間が暇で暇でしかたがないらしい。
当初はマンガを読んでいたらしいが、「すぐに読み終わってしまう上にかさばる」と何かもっといい暇つぶしの手段を求めて自分にすがってきたようだ。


さっそく自分は本棚からタイム・リープ<上> あしたはきのう (電撃文庫)を取り出し弟に手渡した。
何度読んでも色褪せない名作中の名作である。最後まで一気に読み抜けてしまいたくなるような展開に、ページ数も少なめなので普段小説を読んでいなくてもきっと読みやすいだろう。


弟は二日で上下巻の読み終え、感想を伝えてくれた。そして次に読む本を要求してきた。
最初に貸した一作はうまくいったようだ。こうなってくると勧める側としても腕がなる。次に自分はクリス・クロス―混沌の魔王 (電撃文庫 (0152))を貸し与えた。
タイム・リープと同じ高畑京一郎の作品であり、タイム・リープ以前に出版された作者のデビュー作である。
なぜこちらを先に薦めなかったのかというと、アニメで「ソードアート・オンライン」や「ログ・ホライズン」を見ている弟にとって、バーチャルリアリティ小説の走りであるクリス・クロスは食傷に映るんじゃないかと思ったからだ。

クリス・クロス―混沌の魔王 (電撃文庫 (0152))

クリス・クロス―混沌の魔王 (電撃文庫 (0152))


弟はそれを丸一日で読み終えた。バスの中で読むだけでは飽きたらず、家に帰ってからも続きを読み込むほど熱中したらしい。興奮した様子で感想を語って聞かせてくれた。
その勢いのままダブルキャストを薦めてもよかったのだが、あいにくそれに限っては部屋の本棚から押入れへと移動させてしまっていたため、次に自分はある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)を弟に貸した。
古橋秀之のSF短編集であり、表題作はドラマ化もされた。SF・恋という部分が高畑京一郎作品と共通していて、次にすすめるならばこれと決めていた一冊である。


弟はこれを最初は短編集と気付かず読み始めたため驚いたようだが、満足度は高かったようだ。
活字嫌いの弟があれよあれよという間に三作ものラノベを読みきった。これだけでも驚くべき事態だが、自分は既にこのまま蔵書全てを弟に読ませるという企みを働かせていた。活字に対する無尽蔵の欲求を弟にも植え付けようと動き始めた。
さあ次はどんなラノベを薦めてやろうか。