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G大阪が変身した「大人のチーム」。
浦和にかかる重圧と、3冠の可能性。
posted2014/11/26 10:40
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
ガンバ大阪が2-0で浦和レッズを破り、リーグ戦優勝、3冠達成がいよいよ現実味を帯びてきた。
天王山となった試合は、G大阪が浦和のスタイルを見切ったことが勝利のポイントだった。
「俺らもどうやって点取ろうか、焦りはあったけど、点は取られる気がしなかった。基本、レッズはサイド攻撃かロングボール。中盤はほとんど人がいない。ポゼッションもリスクがなく、ただボールを回しているだけなんで恐さはなかった。
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だから、サイドからのクロスに対応して俺らは真ん中を固めていれば良かった。ただ、セカンドボールを拾われるとピンチになるんで、事故が起きなければいいなって思っていました」
試合後、今野泰幸は余裕の表情でそう語った。
最終ラインの4人と、中盤の底に入った今野と遠藤保仁の6人は、サイドからクロスを入れられても焦らずに真ん中で対応しようと決めていたという。また、ボールをキープされてもその時間は我慢し、冷静にカウンターを狙っていた。それが佐藤晃大の決勝点に結びついた。試合展開はG大阪が劣勢のように見えていたが、実はG大阪の選手たちは浦和の攻撃をいなしつつ、冷静に勝負時を判断していたのである。
自分たちで戦い方を変える“大人のチーム”。
選手が状況を判断して対応するのは、7月のリーグ戦再開後から快進撃を続けるG大阪の「強さ」の要素のひとつであり、もともとG大阪の「伝統」でもある。西野監督時代、遠藤はトップ下や2列目で起用されていたが、チームが機能しない時はボランチの位置に下がるなど、自分たちでポジションを変えてリズムを取り戻すプレーは十八番だった。
それが、長谷川監督の下でも徐々にできるようになってきている。浦和戦の2週間前、ナビスコ杯決勝では0-2から試合を引っ繰り返して広島を破った。
この試合でも最初はダイヤモンド型の中盤だったが、遠藤らが監督と話をして後半はボックス型に変更し、2点を奪って逆転優勝を手にした。ベンチからの指示を仰ぐだけではなく、自発的にピッチ内の選手で問題解決をする“大人のチーム”になっている。こういうチームは、簡単には負けない。