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1試合でMLB投手1年分の酷使度!
米指標で見る、マー君160球の衝撃。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/11/06 11:45

1試合でMLB投手1年分の酷使度!米指標で見る、マー君160球の衝撃。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

日本一を決めた瞬間の田中。星野監督は試合後に「考えられないような継投なんだけれども、どうしたって田中が行くと言うのでね。最後はあいつ(田中)がふさわしいだろうと。彼に託した」とコメントした。

“日本シリーズ第6戦、田中将大、160球を投げる”

“翌日の第7戦、連投で15球を投げ、セーブをマークする”

 このニュースを聞いたメジャーリーグのスカウトで、「田中推し」の人たちは生きた心地がしなかったのではないか。

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 アメリカでは、あくまで肩は消耗品。完全に回復することはなく、消しゴムのように擦り減っていくと考えられている。

 日本のマスコミ報道では、肩の消耗は感覚的なものでしかないが、アメリカでは肩の消耗度を図る数式がある。

 決して科学的なものではないのだが、投手の酷使という点での「指標」になっている。

「田中の160球」をこの数式に当てはめてみると、驚くべき数字が導き出された。

“Pitcher Abuse Points”という「酷使」の目安。

 その指標の名前は、“Pitcher Abuse Points”(投手酷使ポイント)というもので、PAPと略され、米サイト「Baseball Prospectus」で公開されている。

 その数式は非常に簡単で、

(投球数-100)の3乗

 で導き出せる。

 ただし、100球以下で降板したときはマイナスにはならず、「0」で計算する。

 たとえば、メジャーで先発投手の交代の目安である110球を投げた場合、計算式は110-100=10が導かれ、10の三乗、つまり酷使ポイントは「1000」ということになる。PAPというのは、投球数が増えれば増えるほど投手は疲労が溜まる、という発想のもとに考えられた数式なのである。

 大切なのはその数字を単体で考えるのではなくて、シーズンを通して積算していくこと。

 現在、アメリカで「酷使」と見なされるのは、シーズンで10万ポイントを突破した投手だ。

 かつては20万ポイントを超えた投手もいたほどだが、PAPといった指標が出てくるにつれ、だんだんと減っていった。

 指標が出ることで、「あの監督は投手を酷使したがる」という評判が立つと、その監督の後々の「就職活動」にマイナスに働くからだ。数式の考案は、結果的に投手を守ることにつながった。

 2013年シーズンでは、PAPのランキングは次のようになっている。

【次ページ】 10年前からの投手起用法の劇的な変化が数字にも。

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