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漢字と字体のおさらい (1)新字体と旧字体の位置づけ?
●「改訂常用漢字表」が2010年末には告示されることになっている。というニュースを、昨今目にします。その追加表や教育上の問題点を眺めているうちに、「漢字の正しさなんて、時代によって大きく変わるものなのね」と痛感。
現在の暮らしの中では、戦前教育を受けた年配者とそれ以降の世代では、「正しい漢字」が大きく違う。年配者は「旧字体」で習っているから。あの画数の多いヤツ(参照サイト:みんなの知識【ちょっと便利帳】内「旧字体(旧漢字)・新字体(新漢字)対照表」) <以下、旧字体に関するグチ、かつ本題の枕> 身内の手伝いでやっている、「短歌の会」の、歌集つきあわせチェックが難しい。年配者がほとんどだから&短歌の世界では好んで旧字体を使うから。ワタシが旧字体を見慣れぬだけではなく、パソコンで出せない漢字が多い。それを無理矢理、画像処理ソフトで作字、Wordの歌集に配置しプリントしている。面倒くせぇ(^^;)。先月は会からの強いご要望で、「蝉」の旧字体(つくりの三点が「口」二つ)を作字。「本当だったらパソコンでは絶対に出せない字なんだからね!」と恩着せがましく申しつつ。 「蝉」。以前もココで「この字は俗字である」と取り上げたことがあるけど、そのときは「ふ~ん、そうなんだ~」でおしまい。なぜ、辞書の見出しにない漢字がパソコンでは出せるの? なぜ、正しいとされる字体が打てないの? と疑問に思いながら常用漢字表追加漢字を眺めていたら、「蝉」以上にわけのわからない漢字を見つけちゃった。「餅」です。これについては、後日。 それらの謎(←この字もしんにょうの点の数で現在揺れ動き中)を頭の中で整理すべく、今さらながらの調べ学習、再び。 専門家でないし、ネット外資料も相変わらず古いし、理論的に語るのは苦手だし(^^;)。きっとどこか間違っているに違いないのですが、ご興味のある方は、以下しばらくおつき合いくださいまし。 ●まず基本の確認。 現在の日本では、18世紀中国で刊行された『康煕字典』の見出しの字体を「正字体」としています。 しかし参考資料『新編 校正技術 上巻』(1999年)に掲載されている同字典の図版を見る限りでは、「迷」の字のしんにょうの点が二つ。現在は、しんにょうの点が一つの「迷」が、常用漢字表に採用されていますわね。このたびの改訂で問題になるのですが、それはまた別の折にでも触れるとして。 康煕字典と常用漢字表の間にどんな事件(?)があって、 しんにょうの点が減ったのでしょう? → 答えは「当用漢字表」の誕生、です。1946年、戦後すぐの生まれ。 同表は、学習の負担軽減やら、複数字体の整理(ex.「島」「嶋」など)やらの意図から、新字体を導入。それまでの活字体を、約500字も新字体に置き換えたらしい! ある意味「旧字体の使用制限」的な一面もあったらしく、一部文化人から反発もあった模様。戦後すぐに、多くの漢字は簡略化され、それまで「正しい」とされていた漢字が「古い(旧字体)」ことになり、使われなくなったのです。 使われなくなった……とはいっても、一般的な文書・印刷物において、旧字体が使われなくなったということです。戦前教育を受けた方の一部は、今でも手書きでご使用の傾向。もし自分が戦前世代だったら……あまりの変化に戸惑っただろうなあ……。 戦後すぐの「当用漢字表」をほぼ踏襲して漢字を追加したのが、1981年から現在まで使われている「常用漢字表」。ということは、常用漢字のいくつかは、康煕字典の字体ではなく「新字体」に置き換わっている……と、へなちょこは解釈。その確たる証拠は、今のところ手元の資料からは得られていないので、間違っていたらゴメンナサイ。図にすると、こんな感じ? ※研究者ではないので、正確な概念はわかっていません。あくまでもイメージとして、ボンヤリ眺めてくださいませ。 ※クリックすると、別窓でもう少し鮮明に表示されます。 上図では、「新字体は康煕字典の字体とは違うのでは」という推測から、教育漢字(小学校で習う漢字)と常用漢字が康煕字典の青枠からはみ出ています。 多分、想像だけど……学校で習う漢字および常用漢字表のいくつかは、実は「正字体」とされる康煕字典の字体とは異なるんだけど、今後は新しい方を正しいとしてみんなが読み書きしやすいようにしておこうよ……みたいな流れで、現在まで来たのだろうと思います。それに対する賛否の意見は、不肖へなちょこ、持ち合わせておりません。依頼主様が正しいとされる字体に従って校正チェックをするのみ、です。 <流れのおさらい> ・18世紀・中国……『康煕(こうき)字典』 ↓ ・1946年……「当用漢字表」 (1850字) 複数ある字体の整理と簡略化を旨とし、 康煕字典を正字体としながらも!? 新字体が採用された。 ・1981年……「常用漢字表」 (1945字) 当用漢字表に「猿」「猫」「皿」「缶」「濯」「枠」「褒」など95字を加えたもの。 当用漢字表の簡略化の流れをほぼ踏襲。 2010年現在まで一般社会で使っている漢字は、この表を基準としている。 常用漢字のうち1006字が、小学校で習ういわゆる教育漢字。 残る939字も、中学校で「大体を読むこと」(中学校指導要領より引用)が、 学習の目安とされている。 ・2010年……「(改訂)常用漢字表」 (2136字) 「自分で書けなくても読めればいいよ」という方針で196字追加。 「勺」「錘」「銑」「脹」「匁」を削除。 熟字訓などで付表に追加されるのは、 「海士」「鍛冶」「固唾」「尻尾」「老舗」「真面目」「弥生」。 読み方の変更・追加・削除分については、ココでは省略。 ……一般社会で使う漢字は、戦後どちらかというと 字体が簡単になる方向で整理されてきたわけでございます。 字体は整理しているものの、時代の変化によって、常用する漢字の数は徐々に増加傾向。「鬱」「潰瘍」みたいな字も、「当用漢字表では書きにくいからって外したけど、最近じゃパソコンが簡単に変換してくれるから、常用漢字ってことでよくね? ストレス社会ではよく使うしぃ」みたいなこともあって(;_;)、改訂常用漢字表に追加されるんですな。 ●今年末の常用漢字表の改訂は、戦後すぐの当用漢字表の導入時ほど大きいものではない。ただ、以前コメント欄で書かれた方もいらしたけど、「類い」はこれまでになかった送り仮名。今後はこの字に「い」を振るか振らないかで、世代がバレそう(笑)です。笑っている場合ではなくて、改訂後の校正時には要注意かも。 個人的には、読みの変更で「関わる」が追加されたのが、気分的にスッキリ。これまでは常用漢字表の読みに入っていなかった。その割にはとてもよく使われる語で、書く人によってトジ(漢字にする)ヒラキ(平仮名表記にする)の好みの差が発生。表記統一の際にトジたりヒライたりのチェックが面倒だった。改訂後は堂々と「関わる」と漢字にしちゃえばいいのね。校正の仕事がいただければ、ですが(笑)。 (続く) <参 照> ・旧・国語審議会(現・文化審議会国語部会)「表外漢字字体表」前文 ・『漢語新辞典』(大修館、2001年初版) ・『新編 校正技術 上巻』(1999年) ←新版が出ているけど未見 ・「朝日新聞」2010年5月20日付朝刊28面特集、同6月8日朝刊38面 ・みんなの知識【ちょっと便利帳】内「旧字体(旧漢字)・新字体(新漢字)対照表」 ……何を基準に作られた表かわからないけど……確かに高齢者はリンク先のような 旧字を使いますわね。「こんな面倒くさい字、よく手書きできるね~」と思う字体、多数。 ***************************************************** ※当ブログ内の広告は、作成者「nonki」個人の意図しないものです。内容も保証いたしません。 広告リンクの閲覧は、自己責任でお願いいたします。 *****************************************************
by nonki1068
| 2010-06-20 17:37
| │ └常用漢字
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