漫画海賊サイト、利用者にも大きなリスク サイト開いただけで“仮想通貨採掘”の実態
ある大手アダルト系海賊版サイトでは、不正なサイトへ誘導する可能性のあるものが30日間で2000件以上あったそうです。
いわゆる「漫画海賊版サイト」が、利用者に無断で“仮想通貨の採掘(マイニング)”を行っていることが問題視されています。セキュリティ会社のトレンドマイクロが調査したところ、ある大手海賊版サイトでは、トップページを開いただけで採掘用のスクリプトが起動する仕様になっていました。
トレンドマイクロによると、トップページのソース内に「coinhive(コインハイブ)」というスクリプトが埋め込まれていたとのこと。これは利用者の端末(PC、スマートフォン)を使って仮想通貨を採掘させるスクリプトで、起動中はPCの速度が低下したり、スマートフォンのバッテリーが急速に減少したりといった弊害があるといいます。実際に検証用のPCで試してもらったところ、トップページにアクセスした直後からCPU使用率が100%に跳ね上がり、以降閲覧中ずっと100%の状態が続きました。
「仮想通貨採掘スクリプト自体はウイルスではありませんが、海賊版サイトをはじめとする違法なサービスの収益化に利用されたり、閲覧者の同意を得ずに採掘しトラブルになったりするケースが多いことから、トレンドマイクロでは検出時に警告を出すようにしています」(トレンドマイクロ 担当者)
また別の海賊版サイトでは、表示された広告をクリックすることで同じく仮想通貨採掘がスタートするケースもみられました。こちらはサイト側ではなく広告配信側の問題ですが、こうした違法なサイトでは、一般的なサイトに比べて表示される広告内容もきわどいものが多くなりがちなため、「悪意のある広告が表示されるリスクは高いとみるべきでしょう」とトレンドマイクロは指摘します。
さらに、別の大手アダルト系海賊版サイトについても調査してもらったところ、同サイトを経由して、フィッシングサイトなどのいわゆる「不正なサイト」へアクセスしているケースが、過去30日間で2000件以上見つかったとのことです。具体的な誘導方法までは不明ですが、同サイトが不正サイトへの誘導口となっている可能性は高そうです。
海賊版サイトを巡っては、日本漫画家協会が2月13日に「このままの状態が続けば漫画文化が滅びてしまう」といった見解を発表するなど(関連記事)、漫画家や出版社の間でも問題視する声が広がっています。こうしたサイトを利用することで間接的に漫画文化の破壊に加担してしまうのはもちろんのこと、利用者自身もまた多大なリスクを負っているという点は自覚しておくべきでしょう。
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ACCSによる1年間の推定被害額は約731億円にも。
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