将棋電王戦、出場ソフトにバグ修正の“特例”認める 「棋士に失礼」「興ざめ」と非難の声も
佐藤紳哉六段と「やねうら王」開発者が出演する予告PVも“炎上”する騒ぎに。
ドワンゴは3月15日、22日に開催する「第3回 将棋電王戦」第2局で佐藤紳哉六段と対戦する将棋ソフト「やねうら王」について、「バグ修正」を行なった新バージョンを使用すると発表した。「やねうら王」開発者の磯崎元洋さんも自身のブログで経緯を説明している。
今回の電王戦の規定では、プロ棋士側に本番と同じソフトおよびハードで事前に練習対局ができる環境が用意されている。ソフトを入れ替えれば、そのぶん研究時間が短くなり棋士にとっては不利な状況となる。その上、改訂版のやねうら王は以前より棋力が向上してしまった可能性が高いという。そのためこの決定に対し、ネットでは非難の声が上がっている。
ドワンゴは「予期せぬソフトのフリーズでイベントが中断することは望ましくない」として、佐藤六段、日本将棋連盟と検討した結果、ソフト入れ替えを決めたと説明している。
公式PVも炎上……
ドワンゴの発表や磯崎さんのブログによると、当初佐藤六段に貸し出された「やねうら王」は「ある局面でフリーズしてしまう」「角とか飛車をタダで(無条件に)捨てる」などのバグがあり「動作が非常に不安定」だった。そのため開発者側がバグ修正を要望したという。
ドワンゴは「棋力や指し手に影響を与える思考部には手を加えない」ことを条件に動作を安定させるための修正を承諾し、ソフトの入れ替えを行なった。ところが「修正されたソフトの指し手は以前とは別物であり、かなり強くなっている」と佐藤六段が指摘。開発者に確認したところ、修正した複数のバグの中に棋力に影響するバグがあり、「棋力が向上してしまった可能性が高い」ことが分かった。
15日に公開された第2局の公式予告PVでもこの件に触れており(6分過ぎから)、佐藤六段はルール違反となるソフト入れ替えについて「開発者は最低の人だと思います」などと強く批判。一方、磯崎さんは「勝ちたいという意図はない」などと釈明する内容となっている。これを見たネットユーザーからは「棋士に失礼だ」「興ざめ」「プロレスなの?」「演出だとしてもひどい」といった反応が寄せられた。
磯崎さんはPVの内容についてブログで「『ひどい悪意のある編集だなぁ』と思う一方、今回の件で佐藤紳哉六段や関係者の皆様にご迷惑をおかけしていることは事実であり、どう編集されていようと、そこはすべて受け入れる所存」とコメントしており、PVの内容がどこまで“演出”なのかは不明だ。
一方、今回の電王戦の第5局に登場する将棋ソフト「Ponanza」の開発者・山本一成さんはTwitterで「やねうら王さんは悪意をもってレギュレーション違反をしていると思います。私はやねうら王の失格を望みます」などと書き込んでいる。
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プロ棋士側は本番と同じソフトおよびハードで事前に練習対局ができるなどルール変更も。
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