読むことに困難がある子のためのICT活用「イマーシブリーダー」(行フォーカス機能や図解辞書機能もある!)
▼正月休みは時間があるので、かなり本が読めました。
僕は本を読むときは4色ボールペンを片手に読みます。
そして、覚えておきたいところは、線を引きます。
後でもう一度読み返すために、ページの端も折ります。
自宅のデスク周りを超久しぶりに整理していたら、後でちゃんと調べるために一時置きしていた本が出てきました。
一時置きが、なんと2年以上も続いていました。
やべえ・・・。(゚д゚)
今回取り上げるのは、以下の雑誌です。
その中の、平林ルミ先生の寄稿
「発達障害・学習障害のある子供たちのための
テクノロジー・ICTを使った新しい学び方」
という記事に、読んだ当時、とても衝撃を受けました。
そこで、その中で取り上げられていた「イマーシブリーダー」を、2年後の今、実際に使ってみることにしました。
平林ルミ先生は、上の雑誌記事のなかで、こう書かれていました。
・Microsoft の Office 製品には標準でイマーシブリーダーという読みの補助機能が搭載されています。
イマーシブリーダーには不必要な部分に色をかけて隠す行フォーカス機能や単語の意味を図で表す図解辞書機能があります。
(p43)
イマーシブリーダーには不必要な部分に色をかけて隠す行フォーカス機能や単語の意味を図で表す図解辞書機能があります。
(p43)
僕はこれを読んだとき、「すげえ!」と思いました。
当時から、「イマーシブリーダー」が音声読み上げをしてくれるのはすでに知っていたのですが、その他の読み支援機能については知らなかったのです。
「これはちゃんと調べておかないと・・・」と思いながら、いつしか忘れて、時が経ってしまいました。(´・_・`)
実は、ちょうど今受け持っているお子さんが、
「単語の意味を図で表す図解辞書機能」があればとても助かりそうなのです。
小学3年生なのですが、3年生って、国語辞典の勉強があるんですよね。
そのお子さんはひらがなの読みに困難があって、国語辞典を引くということが、とても難しいのです。
でも、絵を描くのはとっても得意で、絵から読み取ることも、大得意です。
こういったお子さんにとって、「単語の意味を図で表す図解辞書機能」が利用できるなら、こんなにありがたいことはないのです。(^o^)
普段の国語の授業で、新しい文章を勉強するとき、「意味調べ」という時間があって、みんなで国語辞典を引くことは、よくあります。
でも、文字を読むこと自体が苦手な子にとっては、辞書を引く自体が難しいのです。
そこで、該当のお子さんには、通級の時間に「Googleの画像検索で調べてみたら?」と提案してみました。
そうすると、マイクボタンで音声入力をして、国語教材に出てくる言葉を、どんどん画像で調べて、「ぬるでって、こんなんなんだ~」と喜び、「もっと調べる~!!」と一気に元気になったのです。
#『三年とうげ』という教材です。
前置きが長くなりました。
で、まさにこういったお子さんのための、「イマーシブリーダー」です。
ここからは僕がやってみたときの画面写真を添えて、解説します。
#後で、動画もつけます。
Wordの場合、かなり古いバージョンから「イマーシブリーダー」は搭載されていました。
ただ、最新の機能を使う場合は、クラウド版のWordを使わないといけないようです。
音声読み上げなどの基本機能だけなら、古いWordでもOKです。
読み支援のICTツールとしては「デイジー」が有名ですが、「イマーシブリーダー」も「デイジー」とほぼ同じことができます。
・テキストの音声読み上げ
・読み上げスピードを聞きやすい速さに変更
・背景色を見やすい色に変更
・文字の大きさを変更
・文字の間隔を変更 等
※「デイジー」については、過去記事をご覧下さい。 ↓
以下、僕が先ほどやってみた、実際の画面写真です。
なお、本当は教科書教材などの学校の授業で使う文書を例にした方がいいのですが、
著作権の関係で他の人の文書は使えないので、僕が以前作ったプリント教材を例にやってみます。
著作権の関係で他の人の文書は使えないので、僕が以前作ったプリント教材を例にやってみます。
Wordの最初の画面は、以下のようになっています。
で、これが、「表示」から「イマーシブリーダー」を選ぶと、こんな表示に切り替わります。
↓ ↓ ↓ ↓
かなりドデカイ文字で表示されました!
文字を読むことが困難な子の場合、文字自体が大きかったり、文字間隔や行間隔が空いていたりする方がよい場合が多いので、これだけでもかなり読みやすくなります。
「▶」マークの再生ボタンを押すことで、AIによる音声読み上げが可能です。
#後の動画で実際に聴いていただきます。
文字のサイズも「デイジー」同様、自由にカスタマイズできます。
その子に応じた、読みやすい文字サイズで表示するといいですね。(≧∀≦)
フォントの変更や背景色の変更も、同じ設定画面からできますよ。
フォントの変更や背景色の変更も、同じ設定画面からできますよ。
加えて、「行フォーカス機能」と「図解辞書機能」も、利用できます。
「行フォーカス」の実際の画面は、こちら。
↓ ↓ ↓ ↓
「絵辞書」と書いてある、「図解辞書機能」は、実際には下の画面写真のようなものです。
↓ ↓ ↓ ↓
写真だけだと読み上げ音声が聞こえないので、動画も作成してみました。
2分以下の短い動画ですので、ぜひご覧下さい。
どうですか?
最近では日本語の読みが難しい、外国から来られたお子さんも増えてきているので、そういったケースにも使えそうです。\(^o^)/
ただ、機能としてはかなり「すごい」のですが、欠点もあります。
僕が感じたのは、次のような課題です。
・横書きのみ対応。縦書きに非対応。
→国語の学習で使いにくい。
→国語の学習で使いにくい。
・「図解辞書機能」が不十分。
(絵辞書が出てこない単語が多い。)
・そもそも日本の子どもの学校での学習を前提に作られていない。
(そもそも英語の読み支援からスタートした外国製のサービスで、日本発のものではない。)
課題もあるが故に、今すぐ授業での学習支援に役立てられるかというと、実は、微妙なところはあります。
ただ、今後、AIを活用してその欠点を補った使い方ができるようになると、かなり使えるものになるのでは、と思います。
生成AIのChatGPTが、そのあたりはわりと的確に「こうなるといい」という提案をしてくれました。
最後に、それを載せておきます。(≧∀≦)
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