公務員の職種、勤続年数別平均年収が知りたい

何かと叩かれることの多い公務員。両親とも公務員だった私としてはちょいとアンフェアに感じる。公務員の給与に関していろいろと議論をするためには少なくとも

  • 国家公務員か地方公務員か
  • 一般職なのか、特別職(技能職)なのか
  • 勤続年数(5年単位か10年単位)

でまとめられていないと。

と思って人事院のサイトを見たらほぼ上記要求を満たすものがあった。ただし国家公務員行政職俸給表1だけ。wikipedia.ja:行政職によれば

行政職(ぎょうせいしょく)とは、行政事務に従事する公務員の職に用いられる区分の一種である。厳密に定義すれば、国家公務員法あるいは地方公務員法上の一般職であって、かつ給与額の決定に当たって一般職の職員の給与に関する法律(一般職給与法)または各地方公共団体が制定した職員の給与に関する条例により規定される行政職俸給表(一)または行政職俸給表(二)(以下便宜のため「行政職俸給表」と総称する)の適用を受ける職をいう。

では、行政職俸給表(二)の適用を受ける職はどういう職かというと人事院規則九―二(俸給表の適用範囲)によると

(行政職俸給表(二)の適用範囲)
第二条  行政職俸給表(二)は、次に掲げる職員に適用する。ただし、第一号から第八号までに掲げる者のうち、海事職俸給表(二)の適用を受ける者及び指令で指定する者を除く。
一  守衛、巡視等の監視、警備等の業務に従事する者
二  用務員、労務作業員等の庁務又は労務に従事する者
三  自動車運転手、車庫長等の業務に従事する者
四  機械工作工、電工、大工、印刷工、製図工、ガラス工等の製作、修理、加工等の業務に従事する者
五  建設機械操作手、ボイラー技士等の機器の運転、操作、保守等の業務に従事する者
六  電話交換手の業務に従事する者
七  理容師、美容師、調理師等の家政的業務に従事する者
八  前各号に準ずる技能的業務に従事する者
九  総トン数五トン未満の船舶、湖、川又は港のみを航行する船舶、総トン数三十トン未満の漁船及びその他しゆんせつ船等の作業船に乗り組む者並びに指令で指定する船舶に乗り組む者(公安職俸給表(二)の適用を受ける者及び指令で指定する者を除く。)

なので、行政職俸給表(一)の適用者は国家公務員の一般的な職員と考えてもよさそう。ちなみに人事院:平成19年国家公務員給与等実態調査の結果の「職員数、平均年齢、平均経験年数及び平均給与月額」を見ると国家公務員数286,617人中行政職俸給表1は166,568人。

「〔参考1〕行政職俸給表(一)の年齢階層別、給与決定上の学歴別人員及び平均給与月額」を参考に年齢別年収を計算してみる。ただし、一般にボーナスと言われている期末手当・勤勉手当は本給の4.4ヶ月分であるが、以下の表は計算を簡単にするために平均給与月額の4.4ヶ月分を足している。ちなみに本給とは俸給表に記載されている額のこと。平均給与月額には諸手当が含まれている。

å¹´é½¢ 人員(人) 平均給与(円) 予想年収(16.4ヶ月) ニッポンの平均年収
20 歳  未  満 415 154,820 2,539,048 --
20歳以上 24歳未満 3,962 174,794 2,866,621 --
24歳以上 28歳未満 12,132 211,223 3,464,057 --
28歳以上 32歳未満 17,655 250,650 4,110,660 484万円(30代)
32歳以上 36歳未満 25,527 299,277 4,908,142 484万円(30代)
36歳以上 40歳未満 22,006 351,361 5,762,320 484万円(30代)
40歳以上 44歳未満 20,964 408,375 6,697,350 589万円(40代)
44歳以上 48歳未満 21,209 463,738 7,605,303 589万円(40代)
48歳以上 52歳未満 17,610 506,181 8,301,368 589万円(40代)
52歳以上 56歳未満 14,078 532,257 8,729,014 573万円(50代)
56歳以上 60歳未満 10,915 541,260 8,876,664 573万円(50代)
60 歳  以  上 95 610,532 10,012,724 --
俸給表(一)給与平均月額 -- 383,541 6,290,072 589万円(40代)

「第4表  適用俸給表別、級別(最終学歴別)平均年齢」と「第6表 適用俸給表別、級別平均俸給額」と行政職俸給表(一)PDFファイル(役職は本府省の役職)より、級と給与の関係を表にしてみる。

俸給(本府省/県別機関など) 級別人員 級別平均年齢 級別平均俸給 級の最低俸給
1級(係員/係員) 14,213 25.2 175,494 134,000(1号俸) 244,100(93号俸)
2級(主任/主任) 25,381 30.8 223,089 183,800(1号俸) 309,900(125号俸)
3級(係長/係長) 53,187 38.1 299,325 221,100(1号俸) 357,200(113号俸)
4級(係長/係長) 32,340 46.1 381,062 262,300(1号俸) 391,200(93号俸)
5級(課長補佐/課長) 18,752 51.2 413,173 289,700(1号俸) 403,700(85号俸)
6級(課長補佐/課長) 15,935 51.3 429,631 321,100(1号俸) 425,900(77号俸)
7級(室長/機関の長) 3,307 51.4 454,797 367,200(1号俸) 460,300(61号俸)
8級(室長/機関の長) 1,941 50.5 485,023 414,800(1号俸) 482,600(45号俸)
9級(課長/--) 1,373 50.9 536,817 468,700(1号俸) 542,600(41号俸)
10級(課長/--) 139 51.9 564,396 534,200(1号俸) 575,300(20号俸)
俸給表(一)給与平均月額 166,568 40.7 383,541 -- --
中央値(メディアン) 53,187 38.1 299,325 -- --

この表と上の表を合わせてみるに、40歳までの国家公務員は経済的に素晴らしいとはいえない。40歳まではニッポンの平均給与以下。多分、労働時間と給与のバランスは取れていない。一方、40歳以降の給与は平均からいえば相当良い。そして、国家公務員の平均給与として紹介されるのは俸給表でいう3級〜4級あたりの給与額。ちょうど、国家公務員の給与が一般平均給与を超え始めるライン。

しかしながら、年齢別の中央値(若い方から数えて83284番目)は40歳前後、級別の中央値は3級。国家公務員の半数以上が日本の平均給与よりも低い額で働いている。そりゃ、国家公務員の平均給与が話題になるたびに「公務員は給与もらいすぎ」という意見と「そんなことはない全然もらえていない。カツカツだ。」という議論がでるはず。半分以上の国家公務員の人たちの実感と国家公務員の平均給与額が一致していない。

まあ、ここまでがんばってまとめてみたけど。人事院:国家公務員給与関係の「国家公務員給与の概要」にほとんどまとまっていた。

追記

こちらのBlogでは、マクロな視点でまとめられています。