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ニュースの現場で考えること

オーマイニュース、始まる。

オーマイニュース日本版が始まった。初日には、市民記者による記事が80本近く掲載されたそうだ。アクセスも順調のようで、ページを覗きに行くと、画面が非常に重い。画面が重いということは、アクセスが多いことの裏返しでもあるから(もちろん技術的理由等もあろうが)、読者としては、つながりにくい画面をじっと待つ。つながりにくいと、余計見たくなるのだ。待ちながら、「画面が重いのはオーマイニュース側の戦略かもしれないなあ」と思ったり。だから、まだ、ほんの一部のページしか見ていない。

一部のページを見た中で、気になったことがいくつか。一つは、<ある日本人男子留学生に「怒り」 中国大連の空の下、30女は吠えた!>という記事である。今現在、アクセスランキングは第2位で、すでに3万以上のページビューがあったらしい。気になったのは、記事の内容そのものよりも(内容も気になったが)、コメント欄に記された筆者自身のコメントだ。

そのコメントは、60番目にあり、筆者は「準備中ブログの時掲載された記事が創刊号にも掲載されるとは思っていなかった為、自分でも驚きました」と書かれている。そのコメント内容が事実その通りとした上での話しだが、これは編集部がまずいと思う。過去に同じ企業体に投稿したものであるとはいえ、「準備号」と「本番」は、媒体と注目度も違う。それに、「ニュース」をうたうならば、たとえそれが評論的なものであっても、「新鮮さ」は命だ。

「準備ブログ」の掲載が8月8日だから、本番への掲載までに20日以上も過ぎている。この間、記事の登場人物や背景、その他諸事情に、どんな変化があったか分からない。それを考慮せずに、まして筆者当人にも知らせずに再掲載したとしたら、これはもう、ニュースに対する編集部の感覚が少しおかしいと思わざるを得ない。ふつうは「再掲載しますが、書き換える場所とかないですか?」と連絡するのが筋だろうと思う。

もう一つは、トップページの左上にある「オーマイ速報」だ。各記事を読んでいると、ソースはほとんど「NHK」「朝日新聞」「読売新聞」である(米国の航空機事故のように、ソースが明示されていないものもあるが、これは論外)。おそらく、推測ではあるが、これらの速報記事は、オーマイニュースの在東京本社の編集部員が、本物の新聞やテレビを見ながら、重要だと思った記事を要約して掲載しているのだと思う。

しかし、日本のメディアの構造的欠陥の一つは、ニュースの過半が「東京一極集中型発信」にあることは疑いない。そのことは、私自身もこのブログに何度か綴ってきた(たとえばこのカテゴリーの記事など)。オーマイニュースの「オーマイ速報」は、全体の中では単なる付け足しかもしれないが、編集部の手のみで作られているからこそ、その姿勢も垣間見える。「東京発」「中央発」のニュースに頼っていては、既存の大手メディアの目線と、なかなか違いは打ち出せないように感じる。
by masayuki_100 | 2006-08-29 03:34 | ★ ロンドンから ★