情報通信研究機構(NICT)は10月24日、米国のレイセオンBBNテクノロジーズ、およびルイジアナ州立大学と共同で、現在実用化が進められている2地点間の量子暗号における新理論を確立し、量子鍵配送の1パルスあたりの鍵生成レートの原理的な限界を解明したと発表した。
詳細は、英国科学誌「Nature Communications」に掲載された。
量子暗号は、コンピュータによる解読が絶対不可能とされる究極的な暗号通信として、実用化が期待されている新しい技術である。今回、量子鍵配送について、量子情報理論に基づく新しい理論を確立し、この鍵生成レートの伝送損失に対する指数的な減衰は、個々の量子鍵配送プロトコルによらない普遍的な原理であることを解明した。また、その原理的限界は、現在実現している量子鍵配送プロトコルにおける1パルスあたりの鍵生成レートの10倍程度であることも明らかにした。
このことは、現在の鍵生成レートが、量子鍵配送プロトコルのさらなる改善により、10倍程度まで向上できる可能性を示すとともに、どのようなプロトコルでも超えられない限界も同時に明らかにしたもので、今後、新しい量子鍵配送プロトコルの開発を進める上で重要な指針を与える成果であるとコメントしている。