15日午前に開会された衆議院文部科学委員会において、著作権法改正案についての審議が行われ、暗号化技術を回避してのリッピングの違法化を含む政府案が全会一致で可決された。また、自民・公明両党が提出した、違法なデジタルデータの私的ダウンロードを刑罰化する修正案も賛成多数で可決された。改正案は同日午後に衆議院本会議においても可決され、参議院に送付されることになった。
この著作権法改正案は、近年のデジタル化・ネットワーク化の進展に伴い、著作物等の利用対応が多様化し、その違法利用・違法流通が広がっていることから、著作物の利用の円滑化およびその適切な保護を図るために必要な改正を行うことを趣旨としているもの。
政府案にはDVDに用いられるCSSを著作権法上の「技術的保護手段」と認める内容が含まれており、今後はその回避するプログラム・装置を提供することが規制され、刑罰の対象となる。そういった回避プログラム・装置を利用して複製を行うことは、これまで私的使用目的であれば認められていたが、今後は違法となる。ただし現時点では、罰則規定はない。
なお、現在流通している大半の音楽CDのようにコピーコントロールなどの技術的保護手段がとられていない音楽CDのリッピング/私的複製は、今後も規制されない。
また、採決直前に提出された自民・公明両党の修正案には、違法にアップロードされた音声・映像をそれと知りながらダウンロードする行為を2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処するという内容を追加するもの。違法ダウンロード自体は2010年1月1日から施行された著作権法改正によりすでに違法とされていたが、これまでは罰則規定はなかった。
改正案には上記のほか、写真撮影等の対象として写り込んだ著作物などに関する権利の制限、国立国会図書館のデジタル化資料の公立図書館等へのインターネット送信を可能とすること、公文書等の管理に関する法律に基づく利用の規定の整備などが含まれている。