シリコンバレーのエンジニアたちが問題解決や製品開発に用いていると言われる「デザインシンキング」。デザインシンキングはすぐに導入できるものではないが、理論を理解すればやってみることはできる。
The Next Webの記事「プロジェクトでデザインシンキングを利用する方法(原題:How to use design thinking in your next project)」がわかりやすく、仕組みと根本にある考え方を説明している。
デザイナーの思考法を意味する「デザインシンキング」を体系化したのはTim Brown氏で、現在IDEOのCEOを務めている。記事が引用するBrown氏の言葉を借りるなら、デザインシンキングとは
「デザイナーの感覚とメソッドを用いて人々のニーズを技術的に可能なものに適合させることで、実行可能なビジネス戦略により顧客のバリューと市場のチャンスにするための練習」
となる。
問題解決やイノベーションの方法とも言われるデザインシンキングだが、どうやって正しい問題を見出し、技術的かつ商業的に可能な解決策をデザインすれば良いのか――。
デザインシンキングのプロセスは、「共感」から「問題定義」「創造」「プロトタイプ」「テスト」の5つだ。ここでは導入として、最初の共感と問題定義を詳しく見てみよう。デザインシンキング特有の考え方を理解していただければ幸いだ。
仲間同士のブレストも重要
デザインシンキングの土台となる共感は、次の問題定義で正しい問題を見出すために重要な部分となる。
例えばAirbnbは、ユーザーへの聞き取り調査をたくさん行ったという。
ユーザーがどんなことを便利と感じるのか、やってみたいのか、不便と感じていることは何か、このような問いを繰り返して問題を見出していく。
具体的な方法としては、「フィールド調査」と「ユーザーのペルソナ」「ユーザーエクスペリエンス・マップ」「ユーザーインタービュー」の4つを挙げている。
フィールド調査は現在を知るもので、現在どのようなの製品をどのように使っているのかを知るために行う。その後、ペルソナ(顔)としてさまざまなユーザープロフィール(職業、性別、年齢など)に合わせた仮想ユーザーを作る。
これにより、そのユーザーの心理や行動をより深く理解でき、ユーザーのニーズ、ユーザーが怖い、嫌と思っていることなどに基づいたデザインが可能になる。
ユーザー・エクスペリエンス・マップは、自分たちの製品をユーザーがどのように使うのかという過程をたどるものだ。各ステップをどのように進めているのかをたどることで、ユーザーが製品を使う前、使いながら、使った後に製品に対してどう感じたかがわかってくるはずだ。
最後のユーザーインタビューは、じっくりユーザーから話を聞くことだ。使い勝手などをいろいろと聞いてみよう。
こうやって問題定義を進めていくことになるが、もう1つの方法が"ダイバージェント・シンキング"だ。
何でもかんでも思いついたことを洗い出し、その後スコープを狭くしていくというものだ。製品開発だけでなく、マーケティング、セールスなどさまざまな部署から参加してもらい、アイデアを出してもらう。
鉄則は「オープン」と「フラット」。
"○○したらどうだろうか?(How Might We;HMW)"というアプローチで意見を出してもらおう。全員が参加すること、大きめの部屋を選ぶこと、時間を決めることも大切という。
ネット上にはほかにもデザインシンキングに関するさまざまな記事が出ている。自分たちもやってみようと思われたら、今回紹介した部分以後のステップについても調べられたい。