「ストライクウィッチーズ」の宮藤芳佳役などでおなじみの声優・福圓美里が松崎亜希子と結成する演劇ユニット「乙女企画クロジ☆」。その第10回記念公演となる『異説 金瓶梅』が2012年4月26日~30日、東京・新宿のシアターサンモールにて行われる。
「乙女企画クロジ☆」は福圓と松崎の2人で結成され、2005年の旗揚げ公演より現在に至るまで、公演ごとにさまざまな脚本家や演出家とコラボレーションし、魅力的な客演陣を迎えて公演を続けてきた。そんな「乙女企画クロジ☆」の10回記念公演は明朝時代の中国の長編小説『金瓶梅』を題材に、クロジ☆流の大胆なアレンジを加えた挑戦的な作品。関智一、生天目仁美、酒井香奈子など、豪華声優陣を客演に迎えての公演となる。
なお、本公演はもともと昨年3月に開催される予定だったが、震災の影響によって延期。1年間の時をおいての、まさに待望の公演となる。そこで今回は、公演を前に、「乙女企画クロジ☆」の福圓美里が語った『異説 金瓶梅』の魅力を紹介しよう。
福圓美里が語る『異説 金瓶梅』の魅力
――1年越しとなる『異説 金瓶梅』の公演が4月26日よりスタートします
福圓美里「『金瓶梅』は昔の中国の長編小説で、『三国志演義』や『水滸伝』とともに"四大奇書"などと呼ばれているのですが、ほかの作品に比べるとあまり陽の目を見ていないと言いますか、性風俗を扱っていて、当時から下世話なんて言われていた類の小説なので、これまであまり映画化や舞台化がされていない作品なんですよ。それをざっと読んでみたところ、これはすごく面白い舞台が作れるのではないかと。そう思ったのが2年前のことで、昨年の延期を経て、ようやく皆さんに観ていただくことができます」
――『金瓶梅』を読もうと思ったのがすごいと思うのですが
福圓「ストーリーの概要をみて、これは面白そうだと思って読んてみたんですけど、『金瓶梅』ってすごく長いんですよ。日本語訳されている岩波文庫でも10巻出ていて、とてもじゃないけど、そのままだと2時間の舞台に収まらない。なので、どこを抜粋して芝居にしようかと悩んだのですが、結局のところ、大幅にカットした挙句、基本的な事象は原作どおりなんですけど、そこに至るまでの流れや事件の当事者などはかなり改変しているので、もはや原作とは別のものになっています」
――作品のエッセンスだけを抽出したような感じでしょうか?
福圓「そんな感じですね。なので、"異説"とつけさせていただいているのですが、本当にかなり原作とは変わったお話になっています」
――実際に小説を読んでから形になるまでにどれくらいかかりましたか?
福圓「1年前の段階ですでにひとつの形としては出来上がっていたのですが、まだ少し気になっている部分があったんですよ。この芝居の中で、テーマとして掲げているものに対して、答えが出きらないと思っていた部分であったり、西門慶という、女性をとっかえひっかえするような男性像が少しふわふわしていたり……。延期ということになったので、その部分をこの一年の間にきっちりと突き詰めることによって、よりはっきりさせられたのではないかと思っています」
――延期になったことで、さらにブラッシュアップされたわけですね
福圓「そうですね。気になっていた部分がすべて解消されたので、一年前よりもすごく面白く仕上がっていると思います。実際、台本はほとんど書き換えています。残っているシーンは2つぐらいですね。98%ぐらい変わっていると思います。意外と納得のいかない部分が多かったので、そのあたりを綺麗に直すことができて良かったと思います」