オットセイがサメを捕食する決定的瞬間が撮影され海洋生物学者が困惑
南アフリカでオットセイが大型のサメを襲う写真が撮影され、従来考えられていた生態を大きく逸脱する驚きの行動に対して海洋生物学者たちの間で困惑の色が広がっています。
Revenge of the seals: Marine mammals spotted killing SHARKS and eating their guts off the coast of South Africa | Daily Mail Online
オスのオットセイは最大で全長2.3m、体重200kgから300kgまで成長しますが、普通は小魚やイカ、カニなどを食べます。
南アフリカ・ケープタウン沖で活動する海洋写真家のクリス・ファローズ氏が撮影した衝撃の1枚がこれ。オットセイが噛み付いている相手はなんとヨシキリザメ。
オットセイがヨシキリザメのような大型の魚類を捕食するというのは非常に珍しいことで、生物学者たちはこの報告を受けて困惑したとのこと。写真を見た海洋生物学者のニール・ハマースカラフ博士は「オットセイは他の部位には目もくれず最も栄養価の高い心臓だけを食べているように見える」と述べています。
ヨシキリザメはオットセイよりも大きく成長するサメであり、小型の硬骨魚類やイカを主食にしているものの、人を襲う例も報告されるサメです。
オットセイがホオジロザメなどの大型のサメに捕食されることはよくあり、このためオットセイが比較的大きな魚であるヨシキリザメを捕食したことは、通常では考えられないというわけです。
オットセイがヨシキリザメを捕食するというきわめて珍しい瞬間が撮影されましたが、オットセイがヨシキリザメを襲った理由については空腹のためではないという見解もあります。海洋哺乳類を研究するドミニク・トリット氏は、「もしもあなたが空腹ならば、危険な相手であるライオンに喰らいつこうと思いますか?普通はより小さな獲物を狙うはずです。オットセイとヨシキリザメは小魚やイカと獲物が共通していることを考えると、オットセイは獲物を狙うライバルであるヨシキリザメを殺すことで、食料を得る機会を増やす意図があったのではないかと考えています」と話しています。
・おまけ
比較的小型のサメを襲ってむしゃむしゃ食べるオットセイの様子は以下のムービーでも確認できます。