女子高生たちが子どもの頃、初めてネット接続したのは「学習用タブレット」だったという(筆者撮影)

今の中高生は子どもの頃から身近にインターネットがあります。パソコンやタブレット、そしてスマホでつながるネットの世界に子どもたちは興味津々。でも自分のスマホはなかなか買ってもらえません。今回は高校2年生の女子たちに、親の目をかいくぐりながらネットにつないだ子ども時代と今のデジタル事情を聞きました。

通信教育のタブレットでネットデビュー


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今回、話を聞いたのは高校2年生の仲良し4人組です。学校とアルバイトの日々を楽しく過ごす普通の女子ですが、インターネット遍歴を聞くと意外な回答が返ってきました。

彼女たちが最初に自分のデジタル機器でネットに接続したのは、通信教育のタブレットだったそう。音声や動画も使って勉強できる教材として提供される機器です。Wi-Fi経由でインターネットに接続して学習コンテンツを閲覧、またはダウンロードします。

通信教育会社としか接続できない仕様になっていますが、親のパスワードがあればアプリストアに接続してダウンロードができるため、彼女たちはパスワードを知りたくてたまらなかったそうです。

「親に、引き出しからあるモノを持ってきてと言われて、引き出し開けたら私のタブレットのパスワードが書いてある紙が見つかったの。ラッキーと思ってそのパスワードを入れて、YouTubeアプリをダウンロードして見てたよ。動きが遅くて大変だったけど、頑張って見てた」

と、女子高生の1人が言うと、ほかの女子高生も「パスワードを適当に入れたら合ってたから、アプリも使えてた」と言います。

「LINEがやりたくて、でも電話番号がないからどうしたらいいんだろうと思ったら、Facebookのアカウントを作ればいいって聞いて。家のパソコンでFacebookアカウント作って、LINEアカウントも作って、めっちゃ遅いけど通信教育のタブレットでLINEしてた。ママは機械とか苦手だから、アプリ入れたことも気づいてなかったよ」

彼女たちは友人たちと情報を交換してタブレットを攻略していたとのこと。LINEやYouTubeを使うためならITの知識がなくても頑張れるようです。

試しにネットを検索してみると、小学生が通信教育のタブレットを初期化し、ホームアプリやapk(Androidアプリのファイル)をダウンロードする手順をYouTubeで配信していました。Androidの仕組みをどこまで知っているのかは不明ですが、英語の読み方も危うい小学生が解説しているのです。YouTubeさえ見られれば、自分の通信教育用タブレットでゲームアプリを楽しむ方法が学べてしまうことになります。

ゲームといえば、携帯ゲーム機でYouTubeの動画を見るのも楽しかったそうです。また、知らない人とつながる通信ゲームも夢中になったとのこと。大型ショッピングセンターなどの友達が集まりそうなところに行くと、ゲーム機にアイコンが現れて、友達がいることに気づく楽しさもあったそうです。親にその通信ゲームを制限されていた人もいましたが、「知らない人とメッセ送れるわけではないのに気にしすぎだよね」と、危険性に関しては子どものほうが熟知していた様子がうかがえました。

中学生でLINEを始める人が増える

中学生になると、ガラケーからスマホへと移行する友達が増えてきたそうです。スマホを持ち始めた人たちはLINEでつながります。

「学校でLINEの話をされるとほんとにうらやましかった。LINEグループで連絡取り合ってる人たちの話に付いていけなかったり。未読とか既読とか何のことって感じでつらかったー」と、中学生の頃を振り返ります。

スマホを持たせてもらえない人は、家族のタブレットを使っていたそう。「うちはね、スマホ買えないからタブレットを使えって言われてたんだけど、夜になるとWi-Fi(ルーター)を切られちゃって。LINEしたいのにつながらなくて。なんかね、機械でやってて設定がわからないんだ」

この女子高生の家では、夜中にタブレットを使っていることをしかられ、時間制限されることになったと聞きました。タイマー付きのルーターを使えば利用時間を制限できるため、父親が導入したとのこと。

彼女たちが自分のスマホを買ってもらえたのは、中学生の頃。「最初はAndroidスマホだった」という人は、「親世代ってAndroid好きな人多くない? 安全だとか安いとか」と言います。「フィルタリングも中2まではつけられてたけど、中3からはなぜかわからないけど自由になった」そうです。親が使っているスマートフォンと同じ機種になるという意見も出て、両親がiPhoneの人は初めてのスマートフォンiPhoneだったとのことでした。

家族で同じOSにそろえると、その機種の独自機能やファミリーで有料コンテンツを共有できるサービスを利用できるだけでなく、使い方がわからないときに相談し合えるメリットがありますね。また「安全」という面では、利用時間やアプリをフィルタリングで簡単に制限できるAndroidスマートフォンを選択する考え方はあると思います。

女子高生iPhoneを選ぶ理由

「私ね、ついにiPhoneデビューなんだよ!」と、4人の中で唯一Androidスマートフォンを使っている人が切り出しました。「もうずっとiPhone買ってって頼んでて、修学旅行前だからついに買ってもらえることになった。キッズケータイ、ガラケー、Android、iPhoneって流れとしてありがちだよね」

彼女たちの高校は、修学旅行にスマートフォンを持って行くことを禁じていないので、写真をたくさん撮るためにと親と交渉したもようです。


アップル製品同士なら無線でファイルをやり取りできる「AirDrop」機能(筆者撮影)

iPhoneはさ、エアドロ(AirDrop。アップル製デバイス同士で写真などを送受信することができる)が強い。速度制限かかってても写真を送り合えるし」と1人が言うと、全員から賛同の声が上がりました。AirDropはかなり重宝されているようですが、AirDropが使えないAndroidの人にはLINEで送るそうです。

「あとはケースがいいよね。iPhoneケースなら、かわいいのがどこにでもたくさん売ってるし」と、iPhone人気の理由を語ります。

「私は自撮りのときにリンゴマークが写るのがポイント」という人もいました。鏡で自撮りするとき、スマートフォンの背面が映り込むことになりますが、ここにAppleのリンゴマークが写ることがかっこいいそうです。「Androidの人ってあんまりそういう自撮りはしてない気がする」とのこと。

アップルのリンゴマークは、パソコンに関しても人気なのだそうです。「学校の先生がアップルのパソコン使ってたんだよね。一気に見直した。外国っぽくてかっこいい。部屋に置いててもオシャレだし、インスタっぽいよね」と、アップルのブランド力を熱弁していました。

「パソコンって何をするもの?」

ここで1人の女子高生が「ところでパソコンって何するの?」と言い始めました。「パソコンは何に使うのかわからない。調べ物はスマホでできるし、印刷だってスマホからプリントできるよ」と言います。

家族で共有のパソコンを使っているという人は、「うちはウィンドウズを使ってる。学校の課題とか調べるときも大きな画面でできるし、スマホに音楽CDの曲を入れるときに使ってるよ」と返事をします。「あとは、映画のDVD見るときに使う」と言うと、ほかの人が「うちはそのために(ポータブル)DVDプレーヤー買った。部屋でスマホ使って見られるよ」と話し、DVDプレーヤーとスマートフォンがあれば何とかなるのではないかという結論になりました。

彼女たちはほとんどパソコンを利用しないとのことでしたが、学校や部活に提出する書類をワードやエクセルで作っている中高生もいます。最近では受験もウェブ出願になり、進学先によってはノートパソコンを持ち歩くことも多くなります。総務省が2017年7月に発表した「平成27年版情報通信白書」によると、20代以下の「最も利用頻度が高いICT端末」はスマートフォンで59.9%ですが、PCと回答した人も32.9%います。全世代の比率はスマートフォンが32%、PCが51.3%ですから、やはり若い世代はスマートフォンが高くパソコンは低めですが、パソコンをまったく使っていないというわけではなさそうです。

今回、4人の女子高生に話を聞きましたが、携帯電話の発展とともに育ってきた世代だなと再認識するとともに、小学生でもアプリを使うためなら果敢にチャレンジしていくパワーに驚きました。保護者はITの知識を学ぶ時間が取れず、子どもに説得されてフィルタリングを外したり、子ども任せになったりという話も聞きます。毎日の食卓でスマホの話題を出すなどして、何をしているのか把握しておくとよさそうです。