前回、インフルエンザかな?と思ったときの対処法をお話ししました。今回はワクチンについてお話しします。

毎年この季節になると、「今年のインフルエンザは何型か?」「流行のピークは?」といった話題が出始めますね。ちなみに今年もA型とB型、両方のワクチンが用意されています。接種してから効力を発揮できるようになるまで2か月ほどかかることから、早めに接種することを勧められたりします。

しかし、「ワクチン打ったのに罹った」と言う人は少なくありません。中には「A型、B型、両方に罹った」なんていう人も。なぜこんなことが起きるのでしょうか?

打った人、打たない人に有意な差はなし!

ワクチンの有効性についてはさまざまな意見がありますが、私の結論から言うと、特別な理由や事情がない限り、インフルエンザワクチンは打つ必要はないと思います。

かつて調剤薬局で薬剤師をしていたときに、インフルエンザに罹った患者さん200名を対象にアンケート形式で、インフルエンザワクチンを打ったか、打たなかったかを調べたことがあります。調査対象には子どもが多かったのですが、その結果は、ワクチンを打ったのに罹ってしまった方99人、ワクチンを打たずに罹ってしまった方101人。ワクチンを打った場合と打たなかった場合のインフルエンザ罹患率に、有意な差は見られませんでした。

また、インフルエンザワクチンの場合、感染は防げなくても、感染後は軽症で済む効果があるといわれています。これについても有意な差は見られませんでした。

高齢者など体力が低下している方の場合は、この限りではありませんが、Suits WOMAN読者の年齢層であれば、「ワクチンを打ったから重症化せず命拾いした」というケースは、あまりないだろうと思います。

打ったところで効くかもしれないし、効かないかもしれない。それがインフルエンザワクチンです。なぜかというと、インフルエンザのウイルスは毎年少しずつ型が変化していきます。しかし用意されるワクチンは、昨年までのウイルスを元に培養するしかありません。そのため今年流行するウイルスと、ワクチンに入っているウイルスの型は異なります。その違いがごくわずかなシーズンもあれば、大きなシーズンもあります。違いがわずかであれば、ワクチンの効果は大きいと言えましょう。逆もまたしかり。

また、型が変わっていないとしても、数々あるインフルエンザウイルスの型からその年に流行ると考えられる型を培養するわけですから、大きく予想が外れることもあります。ワクチンにも当たり年、ハズレ年があるというわけです。

ワクチン自体のリスクも考えよう

当たるか外れるかわからないワクチンを打つ必要があるでしょうか? 

外れても体には一切無害というのであれば、「とりあえず打っておく」という選択もあるでしょう。しかし、残念ながらワクチンは、一切無害と言えるものではありません。

インフルエンザに限りませんが、不活化ワクチンには「アジュバント」というアルミニウムを原材料にした免疫増強剤が添加されています。不活化ワクチンとは、生きたウイルスではなく、いわば死んだウイルスを使って培養したもの。それだけ接種しても効果がないので、免疫を活性化するようにアジュバントが添加されているのです。アルミニウムですよ!このアジュバントが免疫システムに悪影響を及ぼし、「自己免疫疾患」を引き起こすリスクが知られています。子宮頸がんワクチンで問題になったように、さまざまな重篤な副作用が報じられていますね。

こうしたリスクが残る以上、効くか効かないか定かでないワクチンを接種する理由はないでしょう。もし職場で、強制的に接種しなければならないという場合も、本当に必要な接種かどうか、一度考えてみてください。あなた自身の健康に関わることだからです。

基礎知識として知っておいていただきたいことがあります。それは「ワクチンを打っても感染を防ぐことはできない」という事実です。なぜならインフルエンザのウイルスは鼻や口から入り、鼻や喉の粘膜に付着します。ですから、そこに抗体がなければ感染してしまいます。ところがワクチンで接種される抗体は血液の中です。ワクチンを打っても感染自体は防げません。

では、インフルエンザ予防に何が有効なの?といえば、原理的には鼻や喉の粘膜で、自分自身の免疫細胞でウイルスを撃退すること。そのためには基礎体力が必要になります。次回はうがいや手洗いの効用について考えてみましょう。

ちなみにワクチン接種の料金は病院によって異なりますが、高くても安くても中身は変わりません。



■賢人のまとめ
特別な事情がない限り、インフルエンザワクチンを打つメリットは見当たりません。原理的に、ワクチンを打ったからといってインフルエンザの感染を防げるわけでもありません。ワクチンを打ったから大丈夫という思い込みは捨てましょう。

■プロフィール

薬の賢人 宇多川久美子

薬剤師、栄養学博士。(一社)国際感食協会理事長。明治薬科大学を卒業後、薬剤師として総合病院に勤務。46歳のときデューク更家の弟子に入り、ウォーキングをマスター。今は、オリジナルの「ハッピーウォーク」の主宰、栄養学と運動生理学の知識を取り入れた五感で食べる「感食」、オリジナルエクササイズ「ベジタサイズ」などを通じて薬に頼らない生き方を提案中。「食を断つことが最大の治療」と考え、ファスティング断食合宿も定期開催。著書に『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)など。