(解説)神戸市の上場会社、アシックス2.8倍で値上がり首位 年間株価ランキング

20241230値上がり率

【神戸経済ニュース】2024年の東京株式市場では、12月30日現在で神戸市に実質的な本社を置く上場会社で1年前と株価が比較できる48社のうち、23社の株価が上昇した。最も値上がり率が大きかったのはアシックス(7936)で、7月1日の効力発生日として1株を3株に分割したのを考慮すると株価は株価は昨年末の2.8倍になった。2位は川重(7012)、3位は兵機海運(9362)が続いた。総じて中小型株よりも大型株のほうが優勢だった。下落率トップはデコルテHD(7372)で51.7%下落。カルナバイオ(4572)神戸天然物(6568)が続いた。

 48社のうち最も値上がり率が大きかったアシックスは、訪日客の需要を取り込んだ日本での販売が想定を上回って推移。海外でも欧州で街履き用のスニーカーなどが好調で、北米でも主力のランニングシューズが伸びている。トップ陸上選手に選ばれるシューズを作る「Cプロジェクト」などの積極策を進める一方で、国内では野球用具から撤退するなど不採算事業の整理も進めて収益性を改善する。26年12月期を最終年度とする中期経営計画を2年前前倒しで達成し、改めて同期の営業利益目標を1300億円以上に引き上げた。時価総額は2兆円台に乗せた。

 2位の川重は、政府の防衛予算拡大を手掛かりに上昇。同業の三菱重(7011)IHI(7013)と総合重工がそろって上昇する展開になった。時価総額は1兆2000億円台に膨らんだ。海自潜水艦の乗組員向けに物品や飲食を提供していた問題や、船舶用エンジン検査データ不正問題が相次いで発覚したのを乗り越えて、株価が上昇する値動きだった。3位の兵機海運は、同社と「の提携を希望するという堂島汽船(大阪市北区)が、兵機海運株を買い進むとの期待感が同社株を押し上げている。5位のワールド(3612)は18年の再上場時に付けた初値の2755円、公募・売り出し(公開)価格の2900円が視野に入りつつある。

20241230値下がり率

 値下がり率首位のデコルテHDは社会的な婚姻組数の減少を受けて、ウェディングフォトの競争激化が警戒されている。誕生日写真(アニバーサリーフォト)に進出しているが、いずれにしても競争が激しいとの見方が多いようだ。このほか神戸天然物やケミプロ化成(4960)など化学が下落。神戸電鉄(9046)シャルレ(9885)ATAO(3550)フェリシモ(3396)など内需関連の弱さも目立った。23年の年間で値上がり率トップだった神戸鋼(5406)は13.5%下落し、値下がり率9位だった。

 神戸市に実質的な本社を置く上場会社数である48社は昨年末ど同数だったが、昨年末はランキングに含めた日住サービス(神戸市中央区)がMBO(経営陣による企業買収)のため3月7日付で上場廃止になった。半面、デコルテHDは23年末に芦屋市内から神戸市内に本社を移転したことで、今年から集計対象にした。24年の神戸市内にIPO(新規株式公開)はなかった。ただ総合建設のアスミHD(229A)とウェブサイト管理などのデジタルキューブ(263A)の2銘柄が、東京証券取引所の特定投資家(プロ投資家)向け市場である東京プロマーケットに新規上場。売買はほぼ成立していない。
(神戸経済ニュース編集長 山本学)

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