こういうチラシがネット上で出回ってるみたいですね。

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64万人の在日朝鮮人のうち、46万人が無職で、2兆3000億円が彼らの生活保護に使われているらしいです。こりゃすごいですね。


もちろん大嘘です。「ご存知ですか」って、そんなのご存じなのは、世界中でこのチラシ製作者だけでしょうね(笑)。なぜこんなデマを作る人がいるのか、信じる人がいるのか、理解に苦しみますが、今回はこの有名デマチラシを検証します。


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46万人が無職というのもデマなんですが、それは長くなるので別に記事を立てましたのでそちらをお読みください。



今回は2兆3000億円という数字をまず見てみます。


この2兆3000億円という数字、どっから持ってきたんでしょう? 恐らく、無職46万人全員が生活保護を年間500万円もらっているとして計算したんでしょう(46万×500万=2兆3000億)。



しかし、そもそも「無職=生活保護受給者」でないことは言うまでもありませんね。小さな子供や専業主婦が生活保護を受けるわけないですからね。この時点でこの数字が大嘘であることがわかります。


実際の在日韓国朝鮮人の生活保護受給者は、平成23年の総務省統計局のデータ(これの15番)によれば28,796世帯


これで合計2兆3000億円を受給するためには、1世帯当たり8000万円もらっていることになってしまいます。あるわけねえww


というわけで、2兆3000億円というのは、大嘘中の大嘘でした。こんな嘘をつく奴も理解できないけど、引っかかる人も自分で計算してみないのかな?


なお、日本全体の生活保護受給世帯は146万9290世帯。在日韓国朝鮮人の割合は約2%ですね。2011年の生活保護の総額は3兆5000億円ほどなので(みずほ情報総研参照)、もしも2兆3000億円が在日韓国朝鮮人に使われていたら、日本人は1世帯当たり年間約80万円。1か月にしたら1世帯当たり平均で6万円ちょっとになりますね。日本人に年間6万円、韓国人に年間8000万円。そんな馬鹿な(笑)。



なお、このチラシの左に書いてある「税金は納めません」だの「医療、水道、いろいろ無料」だの「住宅費全額支給」だの「試験免除」だのは言うまでもなく大嘘です。


(※公務員については、地方によっては国籍規定がないだけで、韓国朝鮮人以外の国籍の人も公務員になれます。例えば大阪市には英国籍公務員がいます(詳細)。


「試験免除」は多分司法試験センター試験のことだと思いますが、デマ。詳細はリンク先参照。


「パチンコ産業ほぼ独占」だけは事実ですが、「パチンコ産業を独占しているから帰化しない」って意味不明すぎですね。帰化したらパチンコ経営ができなくなるんでしょうか? あと、パチンコが禁止されてないのは、在日特権じゃなくて、おそらく税収が大きいからでしょう(法人税の全体の約2%、サービス業の13%がパチンコから))


このわけのわからん情報はどっから持ってきたんでしょう? チラシの右下に「国民が知らない反日」で検索しろとあるので、検索してみました。そこに「在日特権の正体」というコーナーがあったので見てみると、驚きの情報ソースが!!!

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「2ちゃんねるに書かれていた在日特権の噂」

なんとこのチラシの情報ソースは2ちゃんねるの噂だったのだ!!!

2ちゃんねるの書き込みをもとに、「在日特権がー!」って言ってたんですね…。驚きです。


さらに、この噂のリストさえ、彼らが作成したものではなく、瀬戸弘幸という人物が作ったもののコピペです(参照)。この瀬戸という人物はネオナチを自称したり、ホロコースト否定論を好意的に紹介したり、「今日の日本にアイヌ民族は一人もいません」なんて言えちゃう人です。こんな人物のブログ記事をそのまま引用する点でも、このチラシ作成者の意識の低さが見えてきます。


数字はでっち上げ。
情報ソースは2ちゃんねる。
しかもそれさえも他人の個人ブログのコピペ。
さらにその個人ブログ主はネオナチを自称する男。



まことにあきれ果てた内容のチラシであったわけです。


なお、このリストは、在特会も嘘だと認めているほどの何の根拠もないバカバカしいデマです(参照)。「こんなバカなデマに騙される人なんていないだろ」と思っている人もいるかも知れませんが、「2兆3000億円 生活保護」で検索すると騙されてる人がいくらでも見つかります。それを根拠に「在日は生活保護で反日活動をしている」なんていう妄想にまで発展するのだから困りものです。どこの誰なんですか、生活保護で反日活動している在日って…。


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↑このデマチラシに基づいたツイートの数々。いくらでも見つかります。

在日韓国朝鮮人の生活保護受給率は確かに日本人より高いですが(詳しくは次回)、「受給率高いのは在日特権だ」というのが成り立つわけがありません。普通に考えれば「日本人より生活困窮者が多い」ことを意味するはずです。もしも在日特権で優遇された生活ができているのであれば、そもそも生活保護にならないはずです。


生活保護をもらうくらい生活が苦しい人が多いことのどこが「特権」なのか、私には全く理解できません。なお、在日韓国朝鮮人の生活保護受給率が高い最大の原因は、国民年金に加入できなかった無年金世代だそうです(参照)。それのどこが「特権」なんでしょう?


資料批判精神はゼロなくせに、人種批判精神ばかり旺盛な人たちが、自分で調べずこんなチラシを作り、無批判に受け入れて積極的に騙され、頭を使わず嫌悪感情に突き動かされて、ネットで、リアルで、デマや偏見、そしてヘイトスピーチをまき散らしているのです。


もしこのチラシに騙されている人を見かけたら、このチラシがいかに卑劣かつレベルの低いデマに満ちているか、教えてあげてください。


次回は「在日朝鮮人64万人のうち46万人が無職」について検証します。

===愛国カルトに騙されないための心得===
・自分で計算してみよう。
 (計算すれば、46万人無職で2兆3000億円なんておかしいと気付くはずだ)

・SNSで流れてきた数字ではなく、統計の数字を見よう。
 (64万も在日はいないし、生活保護支給世帯数を見れば
  2兆3000億なんて大嘘中の大嘘だとすぐわかるはずだ)

・常識的な判断をしよう。
 
(無職の人全員が生活保護の対象になるわけがないし、年間500万も600万も支給されるはずがないとわかるはずだ)

・2ちゃんねるの噂を鵜呑みにしないようにしよう。
 (というより、どうして2ちゃんねるの噂を信じられるのか理解できない…)

・2ちゃんねるの噂を信じる人を信じないようにしよう。
 (このチラシの製作者のことだ!)
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