あづち涼『深沢さん、ありがとう。』
深沢さん、ありがとう。
作者:あづち涼
掲載誌:『少年マガジンエッジ』(講談社)2019年-
単行本:マガジンエッジコミックス
[ためし読みはこちら]
ショートカットで小柄なフリーター、「深沢さん」を愛でる漫画。
各話ごとに異なる男が彼女に魅了される。
第1話は、不動産の営業マンが登場。
深沢さんを物件に案内するが、大きめのTシャツ1枚で居眠りするので、
営業マンは後部座席が気になってしかたない。
いったい、穿いてるのかどうか。
不動産の内見は、けっこう緊張する場面だ。
本来プライベートな空間で、知らない人間が二人きりになるのだから。
しかし深沢さんは、営業マンの売り込みには大して興味をしめさず、
自身がこだわる押入れの寝心地を確認する。
あまりにマイペースなので、何事も起こらないのだった。
深沢さんは会計事務所でアルバイトしている。
クーラーが壊れてるが、マジメなので上着を着たまま仕事をする。
気を利かせた同僚が脱ぐよう言ったところ、
ブラウス姿の方がむしろホットだったという結果に。
のんびり屋の深沢さんだが、体を鍛えてもいる。
ジョギングすれば、男たちを尻目に颯爽と駆け抜けてゆく。
ただしスタイルが良すぎて、後を追われてしまうが。
己のかわいさに自覚がない深沢さんは、とんでもなく無防備だ。
あちこちで男たちの欲望を向けられるので読者はヒヤヒヤする。
しかし無表情だけど、優しく素直な性格の深沢さんは、
意外なタイミングで気配りをして、相手の毒気を抜いてしまう。
ピュアであることが最大の防御なのだった。
- 関連記事