番外編 ドラマ「海に降る」の撮影現場に潜入してみた

第2回 初物づくしのドラマ撮影

 連続ドラマ「海に降る」の放送は、2015年10月10日から、WOWOWでスタートした。

 なぜナショジオのサイトでドラマの話をしているのかというと、このドラマは有人潜水調査船「しんかい6500」のパイロットを目指す女性が「深海の宇宙」を追い求める物語で、舞台がJAMSTECだからだ。撮影にもJAMSTECが全面協力し、実物のしんかい6500も母船よこすかも登場する。JAMSTECがドラマの舞台になるのは史上初。つまり、作る側にとってもJAMSTECを舞台にしたドラマの製作は初めてだ。

 監督を務めたのは山本剛義さん。山本監督は、「しんかい6500」完成25周年を記念した潜航に実際に乗船し、沖縄の水深1500メートルの深海を体験した。研究者以外の一般の人を乗せる潜航をJAMSTECでは広報潜航と呼ぶが、山本さんはめったにない広報潜航の機会を、2009年のしょこたんこと中川翔子さんに続いて手に入れたことになる。

 率直に言って、うらやましいです。そう伝えると、山本監督は恐縮気味。

「よくそう言われてしまうのですが、しんかい6500には、一般人はもちろん研究者でもなかなか乗れないと知ったのは、後になってからなんです。最初はカメラマンが乗るはずだったのを『監督のほうがいいのでは』と言われ、軽い気持ちで受けてしまいました」

 軽い気持ちが重くなっていったのは、搭乗直前に、パイロットによる説明が始まったときだ。万一何かあっても、同乗するパイロットとコパイロットが対応しますといった説明を聞いているうちに怖くなり、実際にしんかい6500に乗り込んで頭上のハッチが閉まったとき、その恐怖はピークに達した。

ドラマ「海に降る」の山本剛義監督(左)
ドラマ「海に降る」の山本剛義監督(左)
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