水陸両生の新タイプ恐竜を発表、まるでアヒル

暗い水中で獲物を感知し、小魚を捕まえていたか

2017.12.07
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
見たこともない奇妙な恐竜化石
モンゴルで発見されたハルシュカラプトル・エスクイリエイ(Halszkaraptor escuilliei)は、現在のアヒルのような姿で、アヒルのように獲物を捕らえていた。(解説は英語です)

 奇妙な新種の恐竜が見つかった。今から7000万年以上前に古代の地球の湿地を歩き回り、そしてアヒルに似た姿で、アヒルのような方法で獲物を捕らえていたようだ。この獣脚類の恐竜は、ハルシュカラプトル・エスクイリエイ(Halszkaraptor escuilliei)と名付けられ、科学誌『ネイチャー』12月6日号に発表された。

 この恐竜は、白亜紀後期に現在のモンゴルにあたる地域に暮らしていた。当時のこの地域は現在のナイル川流域に似た環境で、砂漠の中を流れる川や湖が生命を育んでいた。ハルシュカラプトルはこうした環境のもと、水陸の両方で暮らすことができた。

 まず、現代の水辺の捕食者と同じように、この恐竜の顔の触覚は非常に鋭かった。暗い水中で獲物を探すのに役立っていたと考えられる。ほかにも、歯が小さく、小魚を捕まえるのに便利だったことや、しなやかな背骨とヒレのような前肢をもち、水を切って泳いでいたことがわかる。(参考記事:「実は凶器? ティラノサウルスの短すぎる腕に新説」

 ハルシュカラプトルほど明確に半水生生活に適応していた恐竜は、ほかにほとんど知られていない。泳げることが最初に明らかになった恐竜はスピノサウルスで、2014年のことだった。スピノサウルスは魚を食べる巨大な獣脚類で、ただ泳げるだけではなく、ほとんどの時間を水中で過ごしていた可能性があるとされた。一方、ハルシュカラプトルの力強い後肢は、陸上を長時間歩けたことを示唆している。(参考記事:「白亜紀の王者スピノサウルス」

「初めてこの化石を見たときには衝撃を受けました」と、イタリア、ボローニャ大学の古生物学者で、今回の論文の共著者であるアンドレア・コー氏は語る。「化石は文句なしに完全で、美しく保存されていると同時に、不可思議で異様であり、奇妙な特徴が混じり合っていました。古生物学者にとっては、これ以上ないほどワクワクさせてくれる挑戦でした!」

密売との戦い

 この奇妙な恐竜の化石は、同じく奇妙な経緯で科学者のもとにやってきた。おそらくモンゴル南部のジャドフタ層という白亜紀後期の地層で何千万年も眠っていた後、近年、密売人によって発掘され、国外に持ち出された。中国経由で、ヨーロッパの化石市場に送られたと考えられている。

 全恐竜の5%以上もの種類が出土しているモンゴルは、以前から化石の輸出を禁止している。しかし、発掘現場は辺ぴな地域にあるため、実際に取り締まるのは困難だ。何十年も前から密売人たちが化石市場を賑わしてきた。(参考記事:「世界最大級の翼竜化石をモンゴルで発見、東大」

「私たちは、展示物や観光の目玉としての価値はもちろん、科学的価値についても一顧だにしない人々によって、貴重な化石標本が台無しにされるのを見てきました」と論文の共著者であるカナダ、アルバータ大学の古生物学者フィリップ・カリー氏は言う 。「密売人たちは岩全体を取り出さずに、頭蓋骨や手や足が見つかるまで岩を破壊してしまうのです」

次ページ:ワニや鳥との共通点

  • このエントリーをはてなブックマークに追加