DirectShow での DMO の使い方

[アーティクル]
04/22/2010

DirectShow を利用するアプリケーションは、DMO ラッパーフィルタを通して、フィルタグラフ内の DMO を使える。このフィルタは、DMO を集成し、DMO とのデータの受け渡しや IMediaBuffer オブジェクトの割り当てなど、DMO を使う際のすべての細かい作業を処理する。

DMO はフィルタによって集成されるため、アプリケーションは DMO が公開するすべての COM インターフェイスをフィルタに問い合わせることができる。ただし、アプリケーションは、DMO でのすべてのストリーミング操作の実行を、フィルタに任せなければならない。たとえば、メディアタイプの設定、バッファの処理、DMO のフラッシュ、DMO のロック、品質コントロールを有効にするか無効にするか、またはビデオ最適化の設定を行ってはいけない。

使用する特定の DMO のクラス識別子 (CLSID) がわかっていれば、以下のようにして、その DMO で DMO ラッパーフィルタを初期化できる。

CoCreateInstance を呼び出して、DMO ラッパーフィルタを作成する。
DMO ラッパーフィルタに IDMOWrapperFilter インターフェイスを問い合わせる。
IDMOWrapperFilter::Init メソッドを呼び出す。DMO の CLSID および DMO のカテゴリの GUID を指定する。DMO カテゴリの一覧については、「DMO の GUID」を参照すること。

次のコードは、以上の手順を示したものである。

// DMO ラッパー フィルタを作成する。
IBaseFilter *pFilter;
HRESULT hr = CoCreateInstance(CLSID_DMOWrapperFilter, NULL, 
    CLSCTX_INPROC_SERVER, IID_IBaseFilter, 
    reinterpret_cast<void**>(&pFilter));

if (SUCCEEDED(hr)) 
{
    // IDMOWrapperFilter を問い合わせる。
    IDMOWrapperFilter *pDmoWrapper;
    hr = pFilter->QueryInterface(IID_IDMOWrapperFilter, 
        reinterpret_cast<void**>(&pDmoWrapper));

    if (SUCCEEDED(hr)) 
    {     
        // フィルタを初期化する。
        hr = pDmoWrapper->Init(CLSID_MyDMO, DMOCATEGORY_VIDEO_EFFECT); 
        pDmoWrapper->Release();

        if (SUCCEEDED(hr)) 
        {
            // グラフにフィルタを追加する。
            hr = pGraph->AddFilter(pFilter, L"My DMO");
        }
    }
    pFilter->Release();
}

DMOEnum 関数は、レジストリ内の DMO を列挙する。この関数は、DirectShow フィルタに使われるカテゴリ GUID とは異なるカテゴリ GUID 群を使う。

DMO でのシステムデバイス列挙子の使い方

DMO を直接作成する代わりに、システムデバイス列挙子を使える。システムデバイス列挙子は、DMOEnum メソッドによってサポートされるすべての DMO カテゴリを列挙できる。システムデバイス列挙子は、一部の DirectShow フィルタカテゴリを列挙するときに DMO も列挙する。次の表は、DMO のカテゴリと DirectShow のカテゴリのマッピングを示したものである。

DMO のカテゴリ	DirectShow での同等のカテゴリ
DMOCATEGORY_AUDIO_ENCODER	CLSID_AudioCompressorCategory
DMOCATEGORY_AUDIO_DECODER	CLSID_LegacyAmFilterCategory
DMOCATEGORY_VIDEO_ENCODER	CLSID_VideoCompressorCategory
DMOCATEGORY_VIDEO_DECODER	CLSID_LegacyAmFilterCategory

システムデバイス列挙子は、モニカオブジェクトのリストを返す。モニカが DMO を表している場合、IMoniker::BindToObject メソッドは DMO ラッパーフィルタを自動的に作成し、その DMO で初期化する。したがって、DMO が含まれているという事実は、アプリケーションからは認識されない。システムデバイス列挙子の使い方の詳細については、DirectShow のマニュアルのトピック「システムデバイス列挙子の使用」を参照すること。

制限事項

DirectShow で DMO を使う際には、いくつかの制限事項がある。

DMO ラッパーフィルタは、入力のない DMO、複数の入力がある DMO、または出力のない DMO をサポートしない。
DMO ラッパーフィルタ上のすべてのピン接続は、IMemInputPin インターフェイスを使う。
現バージョンの DirectShow 編集サービスは、DMO ベースのエフェクトまたはトランジションをサポートしない。

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その他のリソース