アメリカで昨年出版された「子育ての衝撃」という本が話題になっている。本書で最も驚くべきくだりの一つは、人種差別にかかわる部分だ。著者の ポー・ブロンソンらの調査によれば、子供たちに人種の多様性を教えようとする私たちの方針は、根本から間違っているという。

 私たちはこんなふうに考えがちだ。現代の社会には、もう露骨な人種差別はほとんどない。いまや子供たちは、多様な人種が入り交じる環境の中で育っ ている。彼らはそうした環境の中で、他の人種とうまくつきあっていく方法を自然に学んでいくだろう。だから私たちは子供たちに対して、人種について、皮膚 の色について語るべきではない。わざわざ寝た子を起こすことはない、と。

 しかしブロンソンらの調査結果は、私たちの楽観に冷水を浴びせかけるものだった。

 事実はこうだ。白人の高校生で、他の人種の親友を持つものはわずか8%。多くの人種が通う学校の生徒たちほど、人種間の交流は少ない。白人の親の 75%は、子供たちと人種についてほとんど語り合わない。小学3年生以上になると、人種への偏見を変えるのは困難になるが、多くの両親がこの話題について 話しても大丈夫と考えるのは、その後になってからである。

 要するに、大人が人種についての話題を避けたままでいると、多くの子供はのびのびと立派な差別主義者になってしまう、ということだ。

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