はまりどころが多くて大変だったので今後同じことをやろうとする人のために一連の作業をメモしておきます。
実機インストールするだけなら通常のデベロッパーアカウントでも大丈夫ですが、UDIDの登録なしにwifiから配布するためにはエンタープライズプログラムに参加する必要があります。
エンタープライズプログラムに参加すればapp storeを経由せずに自由にインストールできるようになりますが、アクセスできるのが特定の組織内に限定されるように適切に制限をかけなければ規約違反になります。
https://developer.apple.com/jp/programs/ios/enterprise/
http://golog.plus.vc/iphone/3355/ などを参考に、xcodeからprovisioning profileを設定します。
また、最近のxcodeではデフォルトではarmv7用バイナリしかビルドしないので、armv6用もビルドするように設定しておきます。 Build SettingsのArchitectures に 'armv6' を手動で追記すれば大丈夫です。
jenkinsでビルドする際は後述のビルドスクリプトを使うのですが、provisioning profileの設定等が正しくされていることを確認するために、一旦ここでxcodeのUI上で作成したipaファイルをiPhone構成ユーティリティを使って実機インストールしてみます。 xcodeでipaファイルをビルドする方法はすぐにでてくると思うので、適宜調べて下さい。
ここで正常にインストールできなければ、provisioning profile等の状態を確認してください。
jenkinsを用意します。ビルド専用macが用意できない場合でも、開発に用いているmacをJNLP経由でそのままスレーブとして使うことができます。
jenkins自体の細かいセットアップ方法は割愛しますが、JNLP経由でスレーブを起動する場合は以下のようなスクリプトをバックグランドで起動するようにしておくと便利です。
#!/bin/sh eval `ssh-agent` ssh-add ~/.ssh/id_rsa java -jar slave.jar -jnlpUrl http://jenkins.example.com/computer/mac1/slave-agent.jnlp
ここでの注意点は以下のとおりです。
以下のようなmakefileをxcodeプロジェクトのトップディレクトリに配置します。 (お好みのビルドツールを利用してください)
ソースコードのコンパイルはxcodebuild, ipaファイルの生成はxcrunというコマンドを使います。
APP_NAME = MyApp SRCTOP = $(shell pwd) RELEASE_BUILD_DIR = $(SRCTOP)/build/Release-iphoneos BUILD_HISTORY_DIR = $(SRCTOP)/build DEVELOPER_NAME = "iPhone Distribution: XXXX." PROVISIONING_PROFILE = path/to/in_house.mobileprovision all:: dist .PHONY: clean compile dist dist: compile /usr/bin/xcrun -sdk iphoneos PackageApplication -v ${RELEASE_BUILD_DIR}/${APP_NAME}.app -o ${BUILD_HISTORY_DIR}/${APP_NAME}.ipa --sign ${DEVELOPER_NAME} --embed ${PROVISIONING_PROFILE} ./gen_dist_page.sh compile: xcodebuild clean: rm -rf build
配布用のplistとhtmlを生成するスクリプト(gen_dist_page.sh)は以下のようになります。(BUILD_NUMBERなどの変数はjenkinsの環境変数から取得できます)
PACKAGE_NAME=MyApp PLIST=build/${PACKAGE_NAME}.plist INSTALL_PAGE=build/${PACKAGE_NAME}.html cat <<__PLIST__ > $PLIST <?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <!DOCTYPE plist PUBLIC "-//Apple//DTD PLIST 1.0//EN" "http://www.apple.com/DTDs/PropertyList-1.0.dtd"> <plist version="1.0"> <dict> <key>items</key> <array> <dict> <key>assets</key> <array> <dict> <key>kind</key> <string>software-package</string> <key>url</key> <string>${DIST_URL}/build/${PACKAGE_NAME}.ipa</string> </dict> <dict> <key>kind</key> <string>display-image</string> <key>needs-shine</key> <true/> <key>url</key> <string>http://jenkins.example.com/job/myapp/ws/icon.png</string> </dict> </array> <key>metadata</key> <dict> <key>bundle-identifier</key> <string>com.example.myapp.MyApp</string> <key>kind</key> <string>software</string> <key>subtitle</key> <string>b${BUILD_NUMBER}</string> <key>title</key> <string>${PACKAGE_NAME}</string> </dict> </dict> </array> </dict> </plist> __PLIST__ cat <<__HTML__ > $INSTALL_PAGE <html> <head> <title>${PACKAGE_NAME}: build #$BUILD_NUMBER</title> <meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0, maximum-scale=1.0, user-scalable=0"> </head> <body> <div style="text-align: center; vertical-align: middle; margin-top: 100px"> <div style="padding: 10px;">$JOB_NAME</div> <a href="itms-services://?action=download-manifest&url=${DIST_URL}/${PLIST}" style="border: none; text-decoration: none; color: #888;"> <img src="http://jenkins.example.com/job/myapp/ws/demo.png"/> <br /><br /> Install ${PACKAGE_NAME} b$BUILD_NUMBER </a> </div> </body> </html> __HTML__
htmlはリンク先さえあっていれば大丈夫なのですが、plistの方はいくつか注意が必要です。
ここではxcodeデフォルトのsdkバージョンを使用していますが、必要に応じてxcodebuild等のコマンドラインオプションを追加してください。
通常通りjenkinsのjobを作ります。適切にソースコードをチェックアウトして、ビルドフェーズで上記スクリプトを実行するようにします。
make clean && make DIST_URL=${BUILD_URL}artifact
ビルドに成功するとipa, html, plistファイルが生成されるので、これらを成果物として保存します。 成果物のhtmlページにiPhoneでアクセスしてみて、アプリがインストールできれば成功です。
今回は触れませんでしたが、以下についても考慮しておいたほうがよいと思います。
また、TestFlight というサービスもあるのでそちらの利用も検討してみてもいいと思います。
iOSアプリをコマンドラインからビルドするスクリプトを作成して、jenkins上でビルドから配布までを行なうための手順を紹介しました。