大人における発達障害の過剰診断?
一般の方向けに大人の発達障害について講演する機会が続いた。ひとつ気になること。「家庭内暴力を含めて家族とうまくいかない、会社や学校に行けない、うつ状態などが主な問題であるが、本を読んで発達障害を疑ったとか、精神科医に発達障害と言われた。どうすればよいか」という質問が非常に多い。よく話を聞いてみると、子供の頃に自閉症スペクトラム障害やADHDと診断されたり疑われたりしたことはなく、現在の症状も環境への適応や人間関係の問題を中心に考えた方がよいように思えることが多い。
本を読んで疑ったという方には「一度専門医に相談してみてください」とアドバイスしうるが、精神科医に診断されている場合、どうすればよいのであろうか。確かに私の外来でも、他の医療機関で発達障害と言われたと受診される方で、自閉症スペクトラム障害やADHDとは診断できない方にしばしば出会う。
子供の頃、発達障害を疑われた、あるいは診断されたことが全くない方を大人になってからの状態で発達障害と診断すべき事態はあまりないように思う。精神科医の中での厳しい議論の場をもっと設けないと、「大人の発達障害」という概念の呈示は、臨床においてプラスよりマイナスの方が大きくなりかねない。
本を読んで疑ったという方には「一度専門医に相談してみてください」とアドバイスしうるが、精神科医に診断されている場合、どうすればよいのであろうか。確かに私の外来でも、他の医療機関で発達障害と言われたと受診される方で、自閉症スペクトラム障害やADHDとは診断できない方にしばしば出会う。
子供の頃、発達障害を疑われた、あるいは診断されたことが全くない方を大人になってからの状態で発達障害と診断すべき事態はあまりないように思う。精神科医の中での厳しい議論の場をもっと設けないと、「大人の発達障害」という概念の呈示は、臨床においてプラスよりマイナスの方が大きくなりかねない。