「私は違う」「それは承知の上です」
私も意識しないとどうも否定から入ってしまう人間なのですが、だいたい2つの理由があるんです。
一つは、職業プログラマの書くコードの半分以上は例外処理だってことです。普通に普通してくれる人は何の問題もなく処理できるのですが、ちょっとした例外でも、その例外パターンって無限にあるものなんです。だから、仕様を決めるときはメインのルートの何倍もの労力を使ってパターンに漏れが無いか探すことになるのです。なにせ、パターン漏れが最もバグに陥りやすい事象ですから。
もう一つは、仕様の輪郭をはっきりとしたいんです。たいてい顧客ってイメージで言ってくるんですよ。例えば、こんなものが欲しいんだけどって多角形みたいのを提示されても、作る側としては五角形と六角形では全然違うわけです。そこをはっきり定義させるために、「ここから先はできません」という“否定”が持つ強さによって輪郭をはっきりさせたいんです。
この輪郭をはっきりさせるって行為は、非常にSE的であり理系的だなあと感じさせる部分で、例えば数学の証明なんておもしろいところで、たった一つでも例外が見つかればそれは証明できず、逆に例外が一つもないことを証明できたらその命題は正しいってことじゃないですか。
逆にこのブログでたくさん書いてきたサイト論って、アバウトなイメージでしか書けないのですよ。自分の見てきたイメージでしか語れないわけですから。それゆえに、「私は違う」と言われるのなんて想定の上で書いているわけであって、私自身もサイト論という漠然としたイメージでしか語れないことを書くときには、「例外は存在する」ことと「○○は例外である」と認識した上で書かざるをえないときがあるんです。だから、イメージで語られた意見に反論するには、そのイメージの範囲を広げた意見しか反論できないんじゃないかって思うんです。そのイメージの広さも、主観的なものになってしまいがちで難しいところなのですが…
なんだよ、結局言い訳かよって言われたらそれまでなんですけど、そんな例外ばっかり気にしていたら、エントリの大半が例外トークで終わってしまうじゃないですか。だから、物理の問題みたく「理想気体」とか「ただし空気抵抗はないものとする」とか付けられたらいかに便利かと常に思うんです。まぁ、それをつけずにいかに納得させることができるかというのも、書き手の腕(スキル)の見せ所なんですけどね♪
今話題の「はてなダイアリーが女子ウケしない理由」のはてブコメントを見ながら、そういえば昔この記事のようなことを書いたなあと思いつつも、ここから探すのも大変なので書き直してみました☆
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コメント
簡単に言うと「答えはひとつではない」または「そもそも答えなんて存在しないのさ」ということでしょうか?
投稿: 名無し@勉強になる記事ありがとうございますっ | 2007.08.08 23:31
否定から入る(ということが、会話に現れる)のは、確かに感じます。
「それは無理ですよ」「それでは(その方法では)無理ですよ」みたいな。
でも、否定から入るのではなくて、まさしく証明をとくように、阿野アプローチではどうだろう?それってこういうことなのかな?みたいな仮説検証アプローチで接してもらえると、たぶん、頭の中にイメージ像(ぼんやりとした)を持っている人が、より具体的にイメージできるのだろうと思います。
瞬間的に反応するのではなく、コーチング的アプローチで引き出すというコミュニケーション術なのかな~とか。(自身も高めたいと四苦八苦している部分ではありますが)
投稿: たぬき | 2007.08.09 09:14
>名無しさん
主題が伝わりにくくてすみません。この記事を書いたきっかけとしては、反論を示された程度で記事を書いた人が攻撃されてヘコまないで欲しいという思いでした。
今回は「女子」という中にどれだけの「女性は○○な人が多い」という特徴を埋め込むかが問題なんだと思います。例えば、女子の8割くらいは△△の特徴を持っているという前提で書かれた記事の場合、必ず2割くらいはその特徴からズレてしまうわけです。ですので、「私は違う(私の周りは違う)」と思う人にそのことを指摘されても仕方ないのです。SEでしたら、その境目を“仕様”という形で明確にしますが、むしろこういう議論の場合は明確にする方がおかしいものだと思ってます。だから、(集団の特徴が)曖昧なまま語る際には例外はつきものだよ、ということです。
>たぬきさん
そうなんです。どうも瞬間的に反応すると可能か不可能かで考えてしまうので、否定で入ってしまうんですよね。コーチング的というか、そこはそうではなくこうしたら解決できますよとアプローチできたら良いなって思います。
投稿: まなめ | 2007.08.09 12:32
なるほど!よく分かりました!お返事ありがとうございます。
私も全ての人に賛成してもらいたくて書いた文章に反論が来て落ち込んだことがよくあります。
その度に反論の意見が出るのが怖くなって、だんたん自分の意見が言えなくなってしまったり。
最初から「反論はあるもの」「8割にあてはまることを書いても、2割には当てはまらない」ということを意識していれば
反論された時の傷は小さくなりますね。
投稿: 名無し@勉強になる記事ありがとうございますっ | 2007.08.09 18:57