<Alexander Osipovich/2024年12月11日>
世界で最も代表的な仮想通貨(暗号資産)ビットコインの価格が先週、初めて10万ドル(約1520万円)に達した。支持派はこの相場上昇が続くと主張している。その根拠は「発行可能な量に限りがある」というビットコインの技術的特性だ。
ビットコインの基盤であるコンピューターコードは、発行量の上限を2100万枚と厳格に定めている。これまでに約1980万枚が発行され、残りの採掘(マイニング)には1世紀以上かかる上、その作業は残りが少なくなるにつれ一層困難になっていく。
ビットコイン支持派は、希少であるため新規あるいは既存の発行分に買い手が殺到し、今後の価格上昇を後押しすると主張する。グーテンベルク聖書や限定版トレーディングカード、海辺の不動産を買うのと理屈は同じで、供給量に限りがあるということだ。
懐疑派は、ビットコインには本質的な価値がなく、売りが続けば足元の上昇分が吹き飛ぶ可能性があると反論する。ビットコインはその短い歴史を通して値動きが極めて不安定で、熱狂的な高騰と途方もない暴落を繰り返してきた。2021年に最高値を付けた後、仮想通貨交換業大手FTXが破綻すると、翌年の安値まで80%近く下落した。
実際の価値がどうであれ、ビットコインは世界がこれまで見たことがない類いの技術的実験だ。テック愛好家が作り出したインターネット上の通貨で、政府や中央銀行の後ろ盾がない。
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