こんにちは、メディアマネージャーのそめひこです。
LIGはまだまだ小さな会社ですが、組織を細分化しているために、各事業責任者が人事担当を兼任しています。おそらくこの現状はベンチャーにはよくあることだと思うのですが、実際に人を採用する立場になると、その難しさを実感します。
そこで今回は、何かと目につく「ちくしょう。転職だ!」の広告でお馴染みの転職サイト『Green』の事業部長・森田さんからお話を伺い、採用担当者が求人を成功させるために気をつけたいことを5つにまとめてみました。
これらは、どんな求人媒体を使うのか、紹介手数料をいくら払うのかよりも重要な、採用の大前提です。僕自身、これまで自分が担当した採用が客観的に上手くいっているのかを判断できなかったため、大変感銘を受けました。
採用担当者の皆様は、ぜひぜひご活用くださいませ!
1. 採用のコンセプトは明確か
IT/WEB業界では、求められる仕事の成果や、成果を上げるために必要な能力や適性が日々変化しています。「人材こそが資産である」という考え方は採用にも大きな影響を与えており、とくに成長企業を中心に激しい人材獲得合戦が繰り広げられています。
採用の重要性がわかっていても、上手く実践できていないとき、やり方を見直そうとしても、具体的に何から手をつけていけばいいのかはなかなかわからないもの。そこで採用活動の根幹となり、立ち返るべきなのが採用のコンセプトです。
採用のコンセプトとは
採用活動を通して求職者に伝える自社の優位性や特徴など、基盤となる情報
まず最初に認識しておきたいのは、現在の採用活動においては、「候補者を選ぶ」以上に、候補者に「選ばれる」時代になっているということです。
みなさんは採用を「応募者に対して自社の魅力を効果的に知っていただく場」であると捉えて、これまで募集〜面接までを一貫して行ってきたでしょうか。
マニュアル通りの「選ぶための面接」ではなく、応募者毎に合わせて、相手の求める情報を持て余すことなく効果的に伝えられるようなコミュニケーションを取る「選ばれるための面接」をすることで、採用の成功確率が飛躍的に高まるだけでなく、応募者自身の友人や、同僚にもよい印象を与え、結果として長期的に見た、企業の採用ブランドを向上させることができます。
「選ばれるための面接」をするために、伝えるべき内容の根幹をなすものが、「採用コンセプト」となります。「採用コンセプト」がしっかりとすることにより、企業から応募者に伝えるメッセージに一貫性が出るようになります。
採用のコンセプトを明確にするためには
そのような採用のコンセプトを明確にするために必要なことは以下の2つです。
- 自社の特徴の抽出
- 競合他社の洗い出し
まず、自社の特徴について洗い出します。項目としては、サービスの優位性や、売上高、給与水準といった「対外的に得ることができる情報」と、風通しの良さや、社員のモチベーションの高さ、会社のカルチャーなどといった「対外的には得がたい情報」に分けて抽出をしていくことをおすすめします。
対外的に得られる情報については、転職サイトで一覧になっていることも多く、簡単に知ることができます。また、転職サイトや採用HPを通して、採用上競合となり得る他社が打ち出している点や、強みについても洗い出し、理解する必要があります。
ここで、採用上競合となり得る他社とは、同じ業種の競合のみならず、自社が求める人材が検討しうるすべての企業が対象となるでしょう。これが具体的にイメージしづらい場合は、求職者に直接ヒアリングをしてみることで競合が見えてきます。
ここからそれぞれについて少し詳しく説明します。
自社の特徴の抽出
自社の特徴を抽出するときに注意したいのは、「自分たちにしか言えない」と思えるまで、抽出したエッセンスを昇華させることです。
例えば、「技術力が高い」「裁量が大きく、スピード感を持って仕事ができる」といった抽象度の高い表現を聞いても、同じことを言う企業が多すぎて、求職者は見向きもしないでしょう。
「技術力が高い」なら「WordPressを使ったサイト構築において、国内大手●●社と肩を並べる実績があります!」、「裁量が大きく、スピード感を持って仕事ができます」なら「入社2年で執行役員に昇進した社員がいたり、3ヶ月でマネージャーに昇進したりする者が実際にいます」など、このレベルまで具体化できれば求職者にもリアルなイメージが湧いてくるでしょう。
また、ここで出す特徴は、自社が大事にしている理念・カルチャーと近しいもののみを出すようにしてください。少し極端な話ですが、給与よりもやりがいを優先する組織文化なのに、給与面を全面に打ち出して募集する、などといったずれが生じると、どれだけスキルの高い人材を採用できたとしても、結果的にミスマッチを生むこととなります。
競合他社の洗い出し
エッセンスを具体化したら、次は自社が採用上競合するであろう他社との比較をします。例えば、技術力という側面で、自社と同等以上にその分野で長けた企業がいた場合、「技術力」を押し出すよりも、むしろ「裁量・スピード感」があることを押し出した方が、求職者には刺さる可能性が高くなります。
この場合、全てを押し出す必要はなく、強弱をつけて伝えられるとよいでしょう。例えばまず、多数の競合がひしめく転職マーケットにおいて「とにかく実力と意欲があれば誰よりも早く成長できる会社です」と具体例を含めて伝えることで興味を持ってもらい、そこから以下のような説明をします。
- 実はある分野ではトップクラスの技術力があり、著名な●●社と肩を並べるレベルである
- 社員同士の仲も良く、雰囲気がよく長期にわたって社員がイキイキと働いている
- 年収も他社と同等以上で意外に高い
これはつまり、まずはトップメッセージで自社しか言えない本質的な魅力を伝えて、興味を持ちうる人材を振り向かせ、そこから派生して気になる情報を付け加えていくことで、自社に合った求職者を効率よく見つけ、興味を持ってもらうことを可能にします。これは、その結果として採用活動全体が効率化される、ということでもあります。
2. ターゲットを把握しているか
採用計画を立てる過程で「求める人物像(=ターゲット)」を定める企業は多いと思いますが、たとえば一口に「即戦力」と言ってもそれが具体的にどんな人材なのかを説明するのは難しいこともあるのではないでしょうか。
他社の募集要項を真似て、ただ出しただけでは、求める人材にはなかなか出会えず、かえって非効率な採用活動となってしまいます。
さらに、ターゲットとする人材と、自社の採用コンセプトがつながっているのかの確認も大切です。コンセプトとターゲットがずれていると、結果的にミスマッチになるか、対象者に振り向いてもらえないかのどちらかになる可能性があるからです。
自社のターゲットを正確に把握するには
自社のターゲットを正確に把握するために、要件は具体的に絞りましょう。
例えば、よくある「法人営業経験3年以上」といった表現は、実は営業としての基礎を一通りできる状態を指していることが多く、その3年以上に求める要件の内容を具体的にイメージできていないまま、曖昧に設定している場合は危険です。
具体的には下記が「法人営業経験3年以上」に求める要件になるでしょう。
- 顧客の課題を特定できるヒアリング能力を有している
- 伝えたい内容を論理的に伝えることができる
- 自ら提案資料を作成できる
- PDCAを回しながら任された予算を達成することができる
- チームとして後輩育成などもできる器を持っている
上記の項目さえ満たされているのであれば、入社半年のビジネスパーソンでも、自社のターゲットとして該当する人物がいる可能性が高いので、表面的でざっくりとしたレジュメでふるいをかけすぎないことも大切です。
なお、この時点でこれらの項目に優先順位を付けておくと、後で採用基準としても活用できるのでおすすめです。
3. ムリな採用をしていないか
ここで、採用とは「頑張ればムリじゃない部分を頑張る」ものであることを意識しましょう。入社が成立するためには、採用する側と採用される側の意思が一致する必要があります。
企業が採用したいと思っていても、求職者の希望に対して自社が提供できる待遇が低かったり、求職者に自社よりも魅力的なオファーが競合から来ていたりすれば、その不足分を補うための誠実な対応をしなければなりません。
また、ここでの対応は、会社全体で見て無理のない範囲内で行うことが現実的です。妥協をしたくない、というのが企業の本音でしょうが、目的を達成するためのギャップを埋める努力・変化が足りないのであれば、そのターゲットは諦めるべきです。
このように、ムリをしない採用をするためには、以下の2つのステップが必要です。
STEP1. 「チャレンジ」と「マスト」のターゲットを明確にする
前述の通り、理想の人物像があっても採用できるかどうかは別の問題です。自社の魅力を客観的に分析して、チャレンジのターゲット(採用できなくてもアプローチを試みる)と マストのターゲット(計画通り必ず採用する)を明確に分けましょう。
マストを採りこぼさず、可能な限りチャレンジを採るスタンスが、ムリをしない採用であると言うことができるでしょう。
STEP2. なぜそのターゲットが必要なのかを考える
採用でムリをしない、ということを考えるとき、なぜそのターゲットが必要なのか、についてももう一度検討する必要があるでしょう。
ありがちなのは、例えば前述した「法人営業経験3年以上の人材」募集の場合に、なぜそのターゲットなのか?と問われて、「辞めた人がそのぐらいのスキルセットだったから」といった理由がまず最初に出てくる場合です。
本来であれば、ただ欠けた穴を埋めるようにターゲットの設定をするのではなく、そもそも「社内で人材の育成はできないのか?」などの採用以外の選択肢を検討するのが先決でしょう。
それが困難である場合は、辞めた人と同じレベルの即戦力を募集することになりますが、このとき「その採用が社内にどのような影響を与えるか?」のような、社内に向けた視点を持つことも大切です。せっかく即戦力の採用をできたとしても、その結果として、別の社員のモチベーションが下がったり、辞めてしまったりしては意味がありません。
例えば社内で成長著しいAさんに、欠けてしまった人材の役割を担うべく期待と機会を提供し、辞めた営業担当のスキルセットよりもハードルの低い人材募集を実施すれば、そもそもの採用活動の成功確率が上がるだけでなく、中長期で見た営業チームの成長や成果につながることも往々にしてあります。
このように「今、必要なのか?」「なぜ、必要なのか?」といった事項を考えれば、不必要にハードルを上げすぎたり、下げすぎたりすることもなくなり、採用後の既存メンバーとの相乗効果も期待しやすくなるでしょう。
4. 全社的に採用に取り組んでいるか
採用担当にとって頭が痛いのは、経営陣や現場社員をどう採用活動にアサインするかではないでしょうか。求職者に自社の魅力を実感してもらうため、そして純粋なマンパワーの観点からも、全社的な協力は必要不可欠です。
しかし、ただでさえ多忙な日々の業務時間を採用活動に割くことは非常に大きな負担であり、簡単に協力を得られない場合もあるのではないかと思います。
そこで、全社的に採用を重視するために採用担当者がするべきなのは、以下の2つのことです。
POINT1. 経営陣が採用の重要性を理解している
まずは経営陣、あるいは現場のトップが、その採用活動が自社の成長において極めて重要であると理解し、全社に対して発信をしたり、意識付けをしたりすることが大切です。
ここの理解がないと、部署間をまたいだ協力や、通常業務との優先度の付け方が社員間で異なってしまうため、採用活動のスピード感はどんどん遅くなり、結果として選考遅延などが理由で魅力的な候補者から飽きられてしまいます。
これを営業活動に置き換えた場合、どうしても受注したい企業がいて、同程度の実力の企業数社で競合している場合と同じです。
その状況下で、提案をするコンペの場や先方からの質問や要望の1つ1つに対し、他社よりも低いクオリティでプレゼンテーションをしたり、その後の質問や要望に対して必要以上に時間がかかったりしてしまった場合、そのクライアントを受注することは難しくなることは想像いただけると思います。
一事が万事とは良く言ったもので、採用活動の現場についても全く同じことが言えます。特に、ベンチャー企業で多い失敗例は、以前は経営者が直接採用活動に携わり上手くいっていたが、専任担当者を置いた途端に上手くいかなくなる、というパターンです。
その主たる原因の1つが、経営者が直接的に携わっていたときと比べて、全社的な採用活動の優先度が低くなり、現場社員からの協力が集められなくなったり、無理に協力をあおいだ結果、知らず知らずの内に面接がやらされ仕事のようになってしまい、事務的にこなしてしまう場面などが出てきてしまうことだったりします。
いくら予算を獲得するか、いくつ外部のサービスを利用するか、の前に、まずは自社における採用活動の優先順位を上げる努力をしましょう。普段から経営陣、各現場のトップと定期的なコミュニケーションが取れている採用担当者は、このPOINTをクリアしているケースが多い印象を受けます。
POINT2. 全体像を示し、結果を蓄積していく
自分が関わっている面接が何のために、どのタイミングで行われているのかを協力してくれる社員に示すことで、自分のアクションの成果が目に見え、協力するモチベーションにつながります。フローは前もってチャートなどの形にしておき、全社員に全体像を理解してもらいましょう。
また、全体像を示すことで、戦略的に候補者の魅力付けを行うことも可能になります。採用という結果を残すためには、候補者を見極めつつも、その人が志望する企業群の中で、自社が最終的に1番になる必要があります。
この際に重要なことは、候補者と自社とのやりとりによって、良い印象を蓄積していくことです。上記を踏まえて、自社の手札(打ち出せるポイント)の数や、それを出す順番については、候補者に合わせて戦略的に変えられると、より成果につながりやすいと言えます。
ここで、面接には例えば以下の2つの種類が考えられます。
- 「とにかく自社に魅力を感じてもらう」ための面接
- 「候補者を見極める」ための面接
前者の面接であれば、「応募者は裁量権があることに魅力を感じてくれているが、会社の雰囲気と給与の面が気になっているので、その点をクリアにしつつも競合との違いを明確にしよう!」と言った戦略が立てられます。
後者であれば、「一次面接で人柄が確認できたのはよかったが、ロジカルシンキング力については見ることができていなかった。そこで、今回の面接ではロジカルシンキング力を重点的にチェックしよう!」と言った戦略が考えられるでしょう。
このように、戦略を立て、その結果を蓄積していくことが、さらによい結果を生む秘訣となることがわかりますね。経営陣、現場とのコミュニケーションを密に取り、採用を社の重要な戦略的目標として認識を一致させるとともに、目的実現のためにしっかりとした戦略・戦術をたて、実行することが採用担当者の役割です。
ここまでで、採用担当者が実はかなりのスキルを要求される役割であることがお分かりいただけたかと思います。
5. 残りたいと思う企業でいられているか
さて、直接的に採用に関わる話ではありませんが、実はこの項目が人材を採用する上で、最も優先すべき項目になるものです。
企業にとっての大きなジレンマとして、人材を採用し、育成をした結果、その相手が相対的に自社よりも魅力ある存在となり、自社に魅力を感じなくなったり、他社にヘッドハントされ、結果として去ってしまったりする可能性があります。
これはある種仕方がないと割り切る企業もあるかもしれませんが、採用をする上では、何よりも辞めてほしくない人材の離職率低下に力を入れることが最重要課題であると言えます。
採用活動の目的を、企業が成長する上で「必要な能力を持った人材を必要な数集めること」だと定義するのであれば、必要な人材を採用すること以上に、必要な人材が辞めないことも目的達成の大きなカギとなってきます。
これをWebに置き換えると、PV数と離脱率の関係のようなもので、いくらPVを2倍にしても、離脱率も2倍になれば、最終的にコンバージョン(CV)には至りません。
- PV数 = 採用数
- 離脱率 = 離職率
- CV = 必要人員数
と考えると分かりやすいかと思います。
では、辞めてほしくない人が残りつづける組織を作るために、採用担当者は何をすればいいのでしょうか。
残りたいと思う企業でいるために採用担当者がするべきこと
優秀な人材が残りたいと思う企業でいるために、採用担当者は以下の3つのことを実践しましょう。
- 企業のカルチャーを明文化する(誰の何のための会社なのかを明確にする)
- カルチャーに合う人材を採用する(短期的な能力以上に長期にわたって貢献できそうな人材を採用する)
- カルチャーを体現する社員が評価をされる仕組みを作る(自社にフィットする社員の離脱を防止する)
苦労して採用した人材だからこそ、長く貢献してくれることによって、会社、個人の双方がイキイキと働けるようになります。そのために、採用担当者、人事部が率先をして魅力的なカルチャーを作り出し、育めているのが理想的だと言えます。
事業責任者、マネージャーが事業サイドにおける中心的な役割だとするならば、採用担当者、人事部は組織サイドにおける中心的な役割と言えるでしょう。
もし企業が今以上に採用力を高めたい、組織力を高めたいと強く思っているならば、事業サイドの責任者・マネージャーと同等に、会社に対する高いロイヤリティや、ビジネススキルを有する人材をこちらのポジションに配置することをお勧めします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。組織における採用活動では、必要な人材を定義し、興味を持ってもらうことだけでなく、魅力的な人材が辞めないこともポイントとなってきます。
この過程において、企業は外的・内的な問題に多く直面し、それを解決するための新しい考え方や行動様式を選択することで、クリエイティブに進化するでしょう。とくにIT/WEB業界では、変化に耐え得る新しいDNAを取り込むために、今後もますます採用が重要になるとともに、効果的な採用手法の確立が急務になります。
当初は採用担当者としてお話を聞いていましたが、途中から経営者・事業責任者としても勉強になる内容だと感じました。これらはすべてのビジネスパーソンが頭に置き続けないといけないチェック項目だと思います。今回ご紹介した5つを今後の僕、およびLIGの課題として頑張ります!
事業部長の森田さんに、上記のような具体的なアドバイスをもらいつつ、Greenで採用をし、「予想以上に、凄い良かった」結果はこちら
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最後にもう一度Greenのご紹介!今回リクルーティングで使用したGreenは株式会社I&Gパートナーズが運営する「ちくしょう。転職だ!」でお馴染みのIT/Web業界の採用に強い転職サイトです。参画後の求人掲載、登録者スカウトなど、サイト内での操作は基本無料で、採用が決定した際にインセンティブを支払う成果報酬型になっています。