グリコ、増税対応で「ひとつぶ324メートル」に これは嘘ニュースです
低下を続けるグリコ1円当たりの走行CP
キャラメル菓子「グリコ」は1922年、1箱10銭(0・1円)で発売。今日よく知られるキャッチコピー「ひとつぶ300メートル」は、ハート型のキャラメル1粒に含まれるエネルギー(15・4キロカロリー)が300メートル走るのに必要なエネルギー量に相当することに由来する。
グリコ1円分で走れる距離を示す走行CPは、発売当初3キロメートル/円。これは現在のレギュラーガソリンの走行CP・125メートル/円と比較しても非常にパフォーマンスに優れていた。だが、戦後のデノミネーションと物価高を境にCPは急激に低下。1964年には1箱20円と戦前の200倍にまで暴騰したため、CPは15メートル/円とガソリンの8分の1を下回った。その後も経済成長に伴うインフレの影響で、80年には6メートル/円、さらに消費税3%が初めて導入された89年にもCPを下げ、5%に増税された97年には2・86メートル/円と、初めて1円あたり3メートルを割り込んだ。グリコ1円あたりの走行CPは発売後70年で1000分の1にまで暴落したことになる。
さらに今年4月の8%増税時には2・78メートル/円、15年10月にも実施を予定している10%引き上げ時には2・73メートル/円にまで低下が見込まれることから、今後消費者へのしわ寄せが一層厳しくなると予想されていた。
だが今回、江崎グリコでは消費者利益の観点から、走行CPを上げるため、増税のタイミングに合わせてパッケージのキャッチコピーを「ひとつぶ300メートル」に増税8%分を上乗せした「ひとつぶ324メートル」に変更することを決めた。値下げを選ばずコピー変更に踏み切ったのは「まさに苦渋の決断」(同社広報)だったという。これによりCPは2・86メートル/円から3メートル/円まで改善する。
駄菓子に詳しい私立ドキドキ学園の坂本義太夫客員教授(フルタ論)は、「増税対応とは言え、同社の看板コピーである「ひとつぶ300メートル」さえも変更せざるを得なかったところに、昨今の消費者のCP志向の強さがうかがえる。だが何としてもおまけを外さないところに、同社の矜持を感じなくもない」とコメントした。