イオンのプロ...主婦の立ち話に耳を奪われた話

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 専業主婦を目指す女性が多いと聞きます。

 世の男性はまぁただの堕落とみてる人が多いようですが...どうしてどうして。

 専業主婦の方が下手すると男性よりも難しい知識と技術を駆使して日夜戦場で戦っているかもしれません。少なくとも私は専業主婦のパワーというものを思い知らされた気分です。
 今回はそんな話に思った出来事を記事にしてみました。

 

 

 

 

 たまの日曜日。ちょいとケンタッキーフライドチキンなんて食べたくなりまして。
 私の家から一番近いのはイオンの中にある店なので自転車にのってぶらりと散歩。まぁ2kmほど片道であるので、ほんと散歩気分でした。

 ついでに買い物でも...なんて思ってたんですが、いやーレジが混みすぎで。
 店内放送でもご迷惑をおかけしておりますなんてやってたんですが、正直20分近くレジで待たされる雰囲気(実際に並んで人達のぼやきから推察)は辛く。
 いったん手に取った商品を棚に戻して、じゃあケンタッキーでもと思ったのですが、いったんフードコートで一息つこうと。疲れちゃいましたんで。

 その時耳に入ってきたのが「イオンのプロ」という言葉。

 近くにいた主婦の方々の声が大きく...つい聞くともなしに聞いてしまったんですが...なかなか面白い話でした。

 その時の話の中心は...まぁ仮称で橘さんとでもしておきます。この橘さんという小柄な主婦の方が集まった主婦グループの中では「イオンのプロ」と呼ばれておられまして。

 まぁなんというか...ものすごい情報量をお持ちでした。
 入荷情報。そのタイミング。夜間に届いている商品の数。陳列のタイミング。果ては買い物カートの整理のタイミングはどのような時にあるのか。

 イオンの店長経験でもおありなんだろうかと思うほどの幅広さとディープさ。

 まぁ私が聞き入ってしまったのはお茶の価格の話でなんですが(^^;

 イオンにはペットボトルのお茶とウーロン茶が売ってますが、同じトップバリューブランドでも98円のものと128円のものがあると。言われてみると確かに安いお茶ってあったよなーと。でも私が売り場に行った時にはひとつもなかった。お昼とはいえ日曜日だったからかなーと思ってたんですが、どうもこの橘さんによるとそうではないようで。


「7月からずーっと見てたけど誘導が酷いわよー。入荷比率で1対25ぐらい。もうなりふり構わず128円のお茶に誘導してるのミエミエ。店長変わってからここのイオンはそんなのばっかりなんだから」


 なんと。知らなかった。入荷自体少なかったのか!?

「どうしても欲しかったら朝くるか...ちょっと離れたアコレに行けばOK。あそこはイオンの系列だけど逆に安いお茶しか売ってないから。旦那に車出させていけばまとめ買い出来るかなー。でもあそこ袋が有料なのよねー」

 ほ、ほう...そんな店この辺りにあったのか...どうも奥まったところにあってわかりづらい模様。

 まぁそんな感じで、出てくる情報があまりに有益で。しかもまぁ声が大きいものだからたぶん聞きたくなくても耳に入ってくるレベル(笑)

 その後出てくる情報がまたディープ。
 トップバリュー商品の入れ替えのタイミング(季節というか売れ筋でデータとって商品入れ替えてるとのことで、そのデータ取得のタイミングと店が注文を出すタイミング、入荷がいつか)...なんてのも全て把握してました。

 また、店の倉庫から商品が陳列されるタイミングとか土日ならではの値動きや特売品の種類など...まぁ出てくる出てくる。メモとりてぇぇぇぇぇとか思いながら聞いてました。

 配列のタイミングややり方、消費期限の違う同一商品では奥と見せかけて新しいのはこの辺りに配置される...なんて細かいテクニックや、レジが混む時間はだいたいこの辺りだから...とか全てを把握されてる模様。総菜売り場の10%割引きの時間とかタイムセールのタイミングや商品傾向までがっちり把握。

 あげく販売応援でくる丸大のセールとか(店頭でソーセージ焼いて売ったりしてるアレ)にいたってはいつ来るかだいたい把握してるという。その時は当然同じメーカーの商品もプッシュしてくるので、狙うならいつとかそんな話もさっとしている。

「ほんとスーパーって戦場よねー。旦那もこのぐらい働いてるのかしらねー(笑)」

 なんて言葉を聞きながら。
 たぶん旦那の方はここまで高度なことしてないんじゃないかなーと思ったり思わなかったり。

 ここまでの会話は全てメモとかなしに記憶だけで紡がれておりまして...聞いてる限りでは彼女の脳内にはグラフやチャートまである感じ。昨対(昨年対比。企業では同じみ)もさらっと出てきててなんというか普通にすげぇぇぇぇとなってました。

 橘さんがイオンのプロなら他の方は...というとそれぞれ得意な分野があるみたいで。ペットフードが安いのは今ここですよ、とか。子供服の古着セールがどこそこであるから今度行きましょうとか。なんというかそれぞれに持ってる情報がハンパない。

 IT系の人ならわかるでしょうが、データ配列やデータの整理までは浮かんでもデータ内容を暗記しようなんて普通は思わないしやらない。膨大なデータはどう取り出したら早いか、活用出来るかを考えるもの。

 けれど専業主婦でも出来る人たちは違う。
 データを全て暗記した上で。
 脳内でそれらをさっと整列させてすっと連携させて過去との対比もした上ですでにある程度の集計を終えてから対話に望んでいる。ちょっと出しづらそうな古い話もちょっと悩むふりをしてる間にさっと出してきている。

 そしてそれにの情報ソースを井戸端会議で共有しているわけで。
(データの整理。DBのバキューム。事前バッチ実行による中間集計と情報連携と書くと格好いいかも)

 こりゃITを超えるのは井戸端会議なのではないかと思った日曜日だったり。

 個人的には...次行くときは得た情報にしたがって98円のお茶とウーロン茶を狙ってみようかな...とかちょっと小さな活用だけなんですけれど(^^;

 正直なにところ...トラックが到着する時間、商品の陳列時間、昨対情報による今年の特売傾向まで話されたらそりゃあんた「こいつら何者だ」と思うんですけれど。

 思うんですが、ある意味で主婦とは...専業主婦とは職業なんだよというのを見せつけられたかもしれないなと。

 仕事を超えた仕事であると。
 買い物ひとつでこれなのだから。他のことも含めて圧倒的な知識量と情報収集能力で家族の生活を支えるその技たるやそこらの技術者より上かもなーと。
 それに支えられる旦那は感謝すべきだろうと思う。

 それこそ店長名とかコーナー担当の名前まで全て把握してましたよ主婦の方々。
 総菜担当が変わったから味どうとかそんな話まで。

 ツイッターでこの話を書いたら、当然ですよという声もありまして。

「1ヶ月の価格変動から真の価格をわりだしていますよ。例えば豚バラとかね」

 さらっとそう言われると...なんか格好いい。

 過去データとの比較や現在の人材配置や商品状況。あらゆるデータをものすごい早さで並列処理して...今日も主婦は買い物の戦場に。

 ここまでやってこそ専業主婦なのかあるいはこの程度当たり前なのか。

 なんにしろ独身サラリーマンが午後にちょっと買い物を...とスーパーなんかに行くともう特売品はまったくなくてうわーとかなるのは...なんとなく納得いっちゃったかなと。

 きっと全てのイオンにたくさんのイオンのプロがいて。
 それはスーパーの種類や数だけいるんだろうけれど。
 毎日の価格と商品とをいろいろと見ながら。
 積み重ねたデータと共有した他人からの情報ソースも絡めて毎日を戦う女性達。

 専業主婦なんてと言わず。主婦業のプロと言った方がいいかも。
 その戦場を垣間見てみると...いろいろとわかるんじゃないかなと。
 少なくとも旦那さん方は苦労がわかってねぎらいたくなるかもしれませんよ(^^)

 私は今更嫁をもらうこともないかもしれませんが、もらうなら...こういう生活力のある人っていいなと思ったりした日でもありました。
 いやまぁ。
 レジでの迫力は見なかったことにして(笑)