空から降ってくるような危険を冒さねばならない女の人は、少なくとも勝ち組ではない

空から女の子が降ってくる１０００字以下の話を書くのが大流行しているので、ぼくも書きました。

【降臨賞】空から女の子が降ってくるオリジナルの創作小説・漫画を募集します。

条件は「空から女の子が降ってくること」です。要約すると「空から女の子が降ってくる」としか言いようのない話であれば、それ以外の点は自由です。

字数制限 : 200〜1000 字程度

　http://q.hatena.ne.jp/1231366704

ぼくはここ一月ほど、空から女が降ってくるという夢に悩まされていた。なぜ悩まされていたかというと、上空から女が降ってきて、かろうじて「性別が女である」と判定できた瞬間に目が覚めるので、どういう容姿をしているか気になっていたからなのだけれど、いよいよ仕事が手につかなくなってきたので、心療内科に行くことにした。

―重症ですね。
まず、空から降ってくる女が美しい女性であるという思いこみが問題。絶世の美女は勝ち組ですから、危険なことはしなくてもよいのです。降ってくる女の人がいたとしたら、おそらくは普通の女性です。冬は露出度が低くなるので、腋毛の処理が適当になっていて、空気が乾燥しているため、頬のあたりはちょっと粉っぽい。気になるほどではないにせよ、口や足は状況によって臭いますし、そこらへんは男性と変わらないので、妙に期待すると、がっかりすることでしょう。
しかし、そういうところも含めて受け止めて、「女性は素晴らしい」と思っていただきたい。
あと、顔がどうとか、そういうのも瑣末な問題ですよ。美人は三日で飽きるといいますが、やはり長くお付き合いするには、気立てのよい人に限ります。降ってくる女性が落ちてくるときの様子で、性格のよしあしはすぐわかるんですよ。気立てのよい人は、全身、ほどよく力が抜けている。そう、運命に抗わないで、受け入れようとする姿勢を持っているので、そういう人と一緒になったらケンカも少ないでしょう。もし降ってくる女の人から結婚相手を選ぶ場合はそのへんをご確認ください。
そもそも、女性が降ってくる夢を見る、というのも、あなたの願望を表しているだけでしょう。常識的に考えて、女性は降ってこないので、そんな意味のない夢を見るのはおよしなさい。
ただ、いきなり夢のない生活というのは、文字どおり夢がないので、人間に似た動物が降っているところをイメージし、徐々にイメージを遠ざけて、最終的には、きな粉がさらさらーと降ってくる夢を見るところまでこぎつけて、そこで治療は終わりです―

ぼくはアマゾンマナティのポスターを持たされ帰宅した。
人間に似た動物として有名なジュゴンではなくマナティとは…とにかく天井に貼って、寝る前に見られるようにした。

口許の卑猥さがなんとも恨めしい。
こんな馬鹿なポスターを貼っていたら友達を家に呼ぶことができないので、一刻も早く、きな粉が降ってくる夢がみられるようになりたいと思う。