連続講座:映画批評_新しい映画と観客のために
第1回ドキュメンタリー映画を考える
2011年7月16日(土)14:30(終了予定18:30)
気鋭の映画批評家たちによる連続講座。「映画批評はいまだ有効か」の堂々巡りを超えて、何度も新しくよみがえり続ける映画と観客のための批評の実践です。
[関連企画] [ドキュメンタリー映画再見]
「北京」「意志の勝利」「カメラを持った男」「ルイジアナ物語」
ドキュメンタリー映画を考える 葛生賢
今日の映画状況を見渡してみると劇映画とドキュメンタリー映画とはきれいに棲み分けがなされています。極端な話、ごく少数の映画好きを除けば、劇映画の観客はドキュメンタリー映画を見ませんし、ドキュメンタリー映画の上映に足しげく通う観客は劇映画をほとんど見ません。そこまで事態は酷くないとしても、前者が抱くドキュメンタリー映画についてのイメージは例えばマイケル・ムーアだったり、後者がたまに見る劇映画は旬のハリウッド映画だったりする程度でしょう。そして今日、多くの人が「映画」という言葉で漠然とイメージするものは圧倒的に劇映画を指しています。興行的にもドキュメンタリー映画は隅に追いやられており、「ドキュメンタリー」という言葉が喚起するものも、もしかしたらNHKの特集番組だったりするかもしれません。
しかしドキュメンタリー映画は映画を考える上で本質的な問いを私たちに突きつけてくるし、何よりもまずとても面白いものだと私は考えます。映画の誕生と同時にフィクションとドキュメンタリーは共に手を携えて歩み、その相互作用によって、映画はその豊かな歴史を作り上げてきました。
今日の日本の映画状況の物足りなさは劇映画とドキュメンタリー映画の間での対話の不在によるところが大きいと私は考えます。そこで、このレクチャーでは、ドキュメンタリー映画の豊かな歴史にまず触れていただき、さらには今日のドキュメンタリー映画が抱える問題点について皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
葛生 賢
映画批評家・映画作家。映画批評家として「中央評論」「エクス・ポ」などに寄稿する一方で、青山真治監督の『AA 音楽批評家:間章』などの作品にスタッフとして関わる。監督作品に『吉野葛』(2003)、『火の娘たち』(2006)などがある。
《参加費》 1000円
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《割引》
講座参加者は[ドキュメンタリー映画再見]の鑑賞料200円引き
[次回予定]9月上旬 講師:藤井仁子