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2013.12.24

気分で物事を直感で決めて、取り返しのつかないことが起きると部下に任せて逃げ散る経営者

 年末が忙しいというより、私の人生が慌しいです。

 ブログっつーか愚痴なんですけど、幾つか炎上案件を見ておりますと「ああ、やっぱり炎上したか」という事案が目に付きます。もっとも、弊社でも仕切りが悪くて困ったことになるケースもあるわけですけれども、何というか桁違いに損害を出してるプロジェクトが毎週数億円ロスってるのを見ると「何がいけなかったんだろう?」と思ってしまうわけです。

 で、当たり前のことですけど「それをやりましょう」と進言した現場と、「それをやれ」と判断したトップと、その双方に課題を抱えているわけで。両方いろんな要因は抱えているんでしょうけど。

 前者で困るのは、ベンチャーなんかだと賞賛される行動パターンをそのまま大手企業でやろうとする馬鹿が基点になりますね。曰く、「失敗を怖れずやってみよう」とか「リスクを負ってでもやるべき仕事がある」などといって、甘い見積もりで邁進した結果、力不足で管理しきれず炎上するケース。いや、能力が追いついてないんですよね。結構日ごろから「私に仕事を任せてください」といって失敗することを繰り返す人を見るわけですけど、世の中そんなに甘くはないので。

 もちろん、そういう甘い想定や見積もりで事業計画を立て推進することを、中間管理職や部門長はしっかりとジャッジして「何を寝ぼけたことを言っているのか死ね」といって突っ返さなければならないはずです。そのために彼らはおるわけですから。ところがですね、チャレンジ制度とか360度評価とか良く分からん仕組みがあるせいか、部下の顔色を伺って「そうか。面白いと思うのならその熱意を買おう。やってみろ」などと大見得切って決済する阿呆が出るわけですよ。

 無謀なんすよ。一度始めたら、なかなか途中ではやめられないことぐらい分かってるわけじゃないですか。

 ボトムアップはまだマシで、最近のトレンドはアベノミクスに踊る経営者でありまして、年末ジャンボじゃあるまいし、どうしてそんなに博打が好きなの? とマジ顔で心配してしまうようなトップがこのところ増えている気がします。まあ、私個人の行動半径でしか実感値はありませんので、私と周辺だけが好景気に湧いているのかもしれませんが。

 しかしですな、ある日突然「弊社ではこれをやることにしたので、山本さん協力してください」とか言われるわけですよ。それも、以前どこかの会社が手がけて失敗したような、お前もうちょっと考えろよというような事案に綺麗さっぱり騙されて、ろくに実現可能性調査もせず何となくで意志決定していたりするので本当に手に負えません。

 当然放置しますよね。「そうですね、では検討しましょう」とは言っても、折り返しでその件に触れることなど絶対にないのです。でもね、彼らはやるんです。「この仕事の有望さを見抜けない山本は馬鹿だ」ぐらいに思っているんでしょうが、でも半年ぐらいして、だんだん雲行きが悪くなってくると、改めて呼ばれて言ってみると資金調達のお願いであったり、提携先のアレンジ依頼だったりね。で、妙に提示ギャラが何だろう、おかしいなーとか思ってると、担当のクビが飛んでたりね。

 そういう空気感で仕事をしているとですね、匂いで分かるんですよ。これが。匂い。あっ、これは絶対進まない流れだ、みたいな。絶対失敗する直前で傭兵に責任おっ被せて逃げるパターンだぞこれは、みたいな。まあ、やってみたいという気持ちは分かるんですけどね。気持ちだけで成功したら、世の中に学問は要らないわけでね。

 ということで慌しい年末が過ぎてゆきます。メルマガは明日出します。皆様も年末お風邪など召しませんように。


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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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